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ゼロイチとイチヒャクの話  

ポッドキャスト「恥を抱きしめて」#22「MV撮影の0から100まで|自分の聖域とひとりでは見られない景色」の後書きです。

https://www.youtube.com/watch?v=lkjNDqMqJY0&t=383s

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さて新しいオープニングで始まった今回。

初めてのMV撮影を終えての、音楽活動全般にも通づる
「ものづくりのゼロイチとイチヒャク」の話をしました。

ゼロイチとはものづくりにおける企画、構想、具体的な資料作りの段階を意味しています。
そしてイチヒャクは
その企画を成り立たせるための知識や技術を持っている方への依頼と打ち合わせ、備品の準備、作品完成までの過程を意味しています。

今回のMV撮影では、MVを作ろうと決めてから撮影するまでの間に4回も娘が風邪を引いたり自分もインフルエンザ貰ったり夜泣きが続いたり、鬱状態になったりしました。
なんとか仲間の力をたくさん借りながら、最高の形で乗り切ることができました。

今回はものづくりにおいて一人で完遂したい気持ちの強さと、仲間に協力してもらうことの可能性について話しています。

①ゼロイチはもちろん、イチからヒャクまでも携わりたい

音楽活動においては基本的に曲作りもレコーディングも全て自分で完結できたらベスト、と思っているところがあります。

それは細部に至るまで、「こうしたい」というこだわりが強かったり、納得して決めたいという気持ちが強いためです。
私にとって音楽制作は自分の聖域を築き、守ること。(宇多田ヒカルさんの名言にもろ影響されています)
自分のその時々の感覚に素直であり続けることが非常に大事です。

音楽制作の過程に第三者が入ってくると、
・自分の理想を相手に伝えることが大変
・要望と違うことをされ、それを指摘して擦り合わせることに精神的負担を感じる
・自分も途中意見が変わったりして、その進捗のすり合わせが大変
・擦り合わせる過程で諦めたり妥協することになる
・思い通りにいかないことにモヤモヤする自分の器の小ささに落ち込む

前のバンドではこれが本当にうまくいかなくて、散々な思いをしており、
ある種自分の中で大きなトラウマにもなっています。

再開後の活動をソロプロジェクトにしたのも、そういう苦い経験を経て最終的にこの活動が自分の聖域で、誰かに捻じ曲げさせない、という線引きをするためでもありました。

また育児という、可愛い娘にペースを乱され続ける毎日を軸としている私。
自分の期待や夢が萎えさせられたり、捻じ曲げさせられたり、中断させられたり、妥協させられたり、そういうことの連続です。

だからこそ音楽制作だけは、誰にも何も言わせたくない。
そういう強い気持ちがあってしまいます。

自分がゼロイチを作るし、そこから先の完成系までの決定権も譲りたくないし、クレジット権利ももちろん自分。
誰にも踏み込まれたくないし、傷つけられたくない。
そういうエゴがあります。

②イチからヒャクまで〜心を開きあった仲間との初めての景色

今回MVを作るにあたって私が行ったゼロ前とゼロイチの作業が以下の通りです。

・ゼロ前の作業
アルバムの曲を揃える
アルバムのプロモーションとしてこの曲のMVを作ろうと決める
レコーディングをする

・ゼロイチの作業
こういうMVにしたいという資料を作り込む
曲やMVのコンセプトをまとめる
場所や美術、衣装など予算や日程と照らし合わせながら決める

これらの作業をやっていく中で、イチからヒャクにする過程を一人で完遂させるのは無理だな、と確信していました。

前日までの準備段階では、ベースのさっちーにかなり助けてもらい、彼女なしでは成し遂げられなかったなと思っています。

・私との打ち合わせと助言
・レンタル場所との交渉
・ロケハンと細かい寸法の書き起こし
・撮影編集をしてくれる方の紹介とやりとり
・美術準備のサポートetc…
こちらの意図を汲みながら仕事ばりにめいいっぱい動いてくれたことに何度も助けられました。

また実務面のみならず、精神面でもかなり支えてもらいました。
というのも撮影の二週間前に一家全員でインフルエンザになってしまった私。
9月から続く娘の発熱看病&自分の喉風邪感染というループで溜まったストレスや不安が、インフルエンザという大病によって爆発。
思うようにいかないインフルエンザ生活で準備が十分にできないこと、声が出ないこと、今後の音楽活動の見通しへの不安などからかなりの鬱状態になってしまいました。(詳しくは前回の配信にて)

彼女はそんな私の話をしっかりと聞いて受け止めてくれつつ、冷静にリスケジュールの提案をしたり、「絶対にうまくいくよ」と励まし続けてくれました。
彼女自身仕事や別のバンドなど忙しい中、実務面でも精神面でも支えてもらったのでした。

当日には、お互いの夫たちがいつも通りばっちりサポートをしてくれたのはもちろん、3人もの強力な仲間からのサポートを得ました。

・さっちーが引き合わせてくれたプロの映像制作をしている勝一くん
人当たりが良く、カメラ苦手な自分でも自然体でのびのびと撮っていただけました。 
一回の打ち合わせでこちらの意図を汲んで、
「そういうタッチにしたいならこういうカメラがいいかも」などと、
技術、知識、経験とでもってバッチリな撮影をしてくださいました。

・昔から繋がりがあったライティング担当ぶんちゃん
しばらく疎遠になっていたものの、「なんか仲間になってくれそう!」という直感から久しぶりに遊び、意気投合。
「一緒に仲間になって素敵なものを作ろうよ!」なんてけしかけて、本当に協力してくれました。

こちらの意図を汲み取って素敵な電飾を用意して、素敵な空間を身体と頭を目一杯動かし、一緒に作り上げてくれました。
それどころか当日少し遊びにきた娘の相手もしてくれたり
みんなの分パッとあったかいお茶を買ってきてくれたり・・・
細やかな気配りに、さらに大好きになってしまいました。

・対バンしたりして仲良くしてくれているherveilのヒデくん
美術設置の手伝いに、カメラ撮影など、当日いきなり参加したとは思えないほど臨機応変に動いて手伝ってくれました。
さらに「いい曲だ」「売れちゃうなあ」「売れたら嫌だなあ」などとお褒めの言葉をこれでもかというほど言ってくれて、心の支えとなってくれました。
こういう人がいるから頑張れるんだよなあ、と改めてモチベーションを現場であげてくれました。感謝感激・・・!

自分自身は
・仲間にイメージを共有したり頼み事を細かくする
・イメージに合う美術・衣装を時間とお金をかけて買い集めたり製作
・前日に美容院に駆け込み髪型を仕上げる etc

この美術集めと製作が最も大変で、思うようなものが置いてなかったり、娘の発熱でお迎え行ったり、連続する夜泣きで寝不足な中、最後の最後まで出来る限りのことをして完成させました。 

自分自身初めてのMV撮影ということで、ゼロから限界まで頑張ったのは間違い無いのですが、今回はさらに仲間が「これをしたい、こういうふうにしたい」という私の熱をまっすぐ受け止めて、提案したり考えて動いたり一生懸命尽くしてくれました。

みんなにもそれぞれ家庭や体調や仕事などいろんな制約がある中で、限られた時間と気持ちとお金を私のMV作りに費やしてくれて、その優しさや誠実さ、情熱、そしてみんなの持っているそれぞれの知恵や技術に本当に支えられました。

仲間と何かを作り上げるということが大失敗に終わった経験をしてる私としては、人を信頼したり委ねることが怖くて避けてきました。
しかし今回のMV製作は一つ、自分一人ではできないことを仲間とできた、という大きな成功体験になりました。

「子育てで何もできない」
「自分のやりたいことが何もうまくいかない」
という状態から
「できるじゃん!」
「これからも、がんばりたい!!!」
という自信や希望、勇気をもらいました。

今年はこのMV撮影だけでなく、アルバム制作も人の力を借りて進めています。
まだまだ人と一緒に何かを作り上げることの難しさを常に感じながらも、とりあえずやり遂げてみた、MV製作とアルバム。
どちらも皆さんにお届けできる日が待ち遠しいです!

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