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#78 本当に辛かったこと(後編)

 スタートアップの講義内容自体はすごく良かった。シリコンバレーで活躍している起業家やグーグルで実際に働いている人、投資家などが実務経験を交えてビジネスの成長に必要なスキルを教えてくれた。

 また、同じグループの方も本業は新聞屋さんなのに無人の販売店舗を考えている人や、元キックボクサーなのに大学と共同研究してビジネスをやっている人など本当に尊敬できる人ばかりだった。逆にそれが辛かった。

 問題は100%自分にある。自分でやると決めた…でも出来ない…逃場のない思考回路がジワジワと自分を追い詰めていった。

歩く以外にやり始めたことは仏教のユーチューブを見ること。以前から興味があったが苦しみを手放す方法を求めて貪るように大愚和尚の動画を見た。

なんとか精神と肉体が壊れるのを堪えながらスタートアップ講座が終わった。自分は何者でもない普通の人間なんだと悟った。今まではどこかで、やれば出来る人間だというプライドがあったのかもしれない。 

 やれば出来る人間だと思っていたが、フツーの人間だと分かった。このことが一番大きな学びだったと思う。

そんな諦めた日々の中で、友人の親がやっている稼業の後継者がいないという話を聞いた。いや、実は以前にも聞いたことはあったのだが、自分が出来ることとして改めて認識したのかも知れない。

稼業は設備設計業務なのだが、自分の持っている設計スキルと近く、自然と手伝いたいと思った。初めてまだ2ヶ月程度だが、今は凄く楽しい。なり手が少ない職業らしいので、そこに自分のスキルを提供出来ているのが健全なマインドに繋がっているのかもしれない。

 子供の頃はやりたい、やる、できない、辞める、次に行く。こんなサイクルは日常茶飯事だったのに、大人になると何故か失敗をしないように進めることが良いことだと思い込んでいる。こんなマインド捨ててしまえばいい。諦めても、諦めなくても人生は死ぬまで続いていくのだから…


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