かわいすぐり

1993年生まれ。たまに音楽イベントを開催しています。 https://twitter…

かわいすぐり

1993年生まれ。たまに音楽イベントを開催しています。 https://twitter.com/suguri_drums

最近の記事

名前の無い日々に

眠れなくて怖かったこと。 朝日がカーテンから覗いていたこと。 雨の音にも抑揚があるって気づいたこと。 誰かとすれ違った散歩道。 熱帯魚の水槽は濁っていった。 ぼくたち、いつまで息をするんだろう。 一度でいいから、姿を消したい。 名前を返してくれよ。 お前のせいだ、お前のせいだ。 心を返してくれよ。 お前のせいだ、お前のせいだ。 気づかれないように、そっと近づく。 あなたは気づいていないフリをした。 二度と見れない夢はぼやけていく。 助けてくれてありがとう。 そう伝え

    • 見えなくても良かった

      幻想、だとしても騙されることを良しとするなら、満ちていく月に吸い込まれてしまえばいい。 現実、だからといって正義を言い当てるだけの生き方で、欠けていく月に一切の風情も無いなんて言わないでおくれ。 優しいってことについて、ずっと考えているし、 優しい人って、案外たくさんいるんだな。 ちょっとは大人になったのかもね。 眠れよ、眠れよ。子守唄を歌うよ。 誰にも見つからぬように。 眠れよ、眠れよ。月も帰ってゆくよ。 明日が迎えにきちゃうよ。 さまよう白い明かり 見

      • 流れ作業の円周

        腰を上げるつもりもないのに「買わなきゃ」と何度か唱えていた。本屋の近くを通る用事がようやくできたので、スケジュール帳を買い求める。 日曜始まりの、いつものやつ。使いやすいというより、馴染んでるからこれにする。流れ作業みたいに買い物が終わった。 ここ最近、コンパスの半径がどんどん短くなっている。 小さな円周の中で、事足りると物足りるの違いについて考えている。

        • スリンキー#4(完)

          スリンキー、スリンキー。 空が呼んでる気がするの。 また会いたい人が待っているの。 スリンキー、スリンキー。 息を殺して生きる人よ。 いつまでそこにいるの。どこに行くの。 ---------- ぽっかりと、心に穴が空いている。そんな感覚はしばしばある。物心ついた頃から何度もある。 悲しいことや寂しいことを選り好んでいるわけじゃないが、それらに囲まれていると妙に落ち着いてしまう。むしろハッピーなものに囲まれていると時々どうしようもなく寂しい気分に襲われるのだから、不思議な

        名前の無い日々に

          スリンキー#3

          スリンキー、スリンキー。 過ぎ去った時を想うの。 思い出せないことばかり増えていくの。 スリンキー、スリンキー。 帰る場所を探す人よ。 細長い飛行機雲に見惚れてる。 ---------- 飛行機雲ってどんな仕組みでできるんだろう。ググればわかりそうだけど、わかってしまうと途端に美しさを感じなくなる気がして、やめておいた。 人生は点と線に例えられることが多い。親の離婚とか、中学時代に初めてドラムを叩いたこととか、気を病んで転職したことなんかを線で結んで人生と呼ぶ。 でも最

          スリンキー#2

          スリンキー、スリンキー。 星もいつか壊れちゃうの。 ほら、無くなった光を忘れてくの。 スリンキー、スリンキー。 泣くこともできぬ人よ。 新しい朝の光に壊されそう。 ---------- 宇宙のスケールでみたら自分の存在はなんてちっぽけなんでしょう、と月並みなことを考えている。 138億歳の宇宙、46億歳の地球、波瀾万丈の歴史を生き抜いた奇跡の命が我々には宿っております!と言われても別に感動はしない。よくもまぁこんな面倒くさい世の中を作ってくれたな神様よ、とすら思う。

          スリンキー#1

          スリンキー、スリンキー。 夢を見て怖くなるの。 昨日と同じ私だと思えないの。 スリンキー、スリンキー。 息を殺して眠る人よ。 騒がしい夜の螺旋に耳を塞いで。 ---------- 右手で拳を握ろうと意識する。右手がおよそ思い通り、拳を握る。左手を目一杯広げようと意識する。左手がおよそ思い通り、大きく開く。 時々、たまらなく恐ろしくなる。意識した通りに体が動くこと。心臓の音が聞こえること、それを止めることはできないということ。過去があるということ、アイデンティティがあるこ

          毎日

          朝が本当は美しいってこと 僕は知ってたはずなのに 勝手に嫌いになっちゃったんだ 朝が怖い、怖いよ 夜が本当は恐ろしいってこと 僕は知ってたはずなのに ライトがあるから大丈夫さ 夜は優しい、優しいんだ 太陽が顔を出したとき 何か奪われるみたいです 太陽が顔を隠したら 何か思い出すみたいです 忘れていただけ だからごめんね、許してね こんな風にしたのは毎日のせいです 美しい朝と恐ろしい夜 永遠に繰り返す 冷え切った朝と火を点けた夜 永遠を切り抜いて 毎日と呼んで、 息苦

          夜と朝

          目が覚めてしまったので、いっそ起きてしまうことにした。 やめていたタバコ、最近また吸い始めてしまった。 この時間にベランダで吸うタバコはまじで美味い。百害あって一利なし、いや一利か二利くらいはあると思うよ。 夜と朝の境目は曖昧で、このぼんやりした感じが心地良い。 まだ街は眠っている。ぽつぽつと灯りがついていく。 コロナ禍、これは百害あって一利なしなんだろうか。 一利か二利は見出せているのか? 夜が終わってしまう、いつもと同じことなんだけど、それを見つめているとなんだか

          ひかりのかくれ家

          なんだか億劫になってしまったな、と思う。 世界がこんな風になっちゃってから、僕らが大事にしているモノについて、大声で話せなくなってしまったような。 皆それぞれ、必要としているひかりがあると思うんだけど。 それに優劣を付けてみたり、石を投げ合ってみたりしてさ、嫌になっちゃうよな。 『ひかりのかくれ家』を開催することの意味を、ずっと考えていました。ところどころで露出してしまった迷いが、関心を寄せてくださる方々に戸惑いを与えてしまったと思います。申し訳なかったと思います。 そ

          ひかりのかくれ家

          或る影、或る光

          5/30(日)、笛吹川フルーツ公園にて野外演奏会『ひかりのかくれ家』を開催します。 ふるってご来場ください、とは心から言えないのです。 もちろん感染対策は講じます。フルーツ公園では、山梨県の感染症予防ガイドラインのほかに独自のガイドラインを作成して運営管理されています。 演奏場所を変更しより広大な観客スペースを設けました。 入口広場→野外ステージ ご来場の皆さまにもマスク着用、ソーシャルディスタンスの確保、大声を控える等、ご協力をお願いします。発熱・体調不良の方は入

          或る影、或る光

          「身内ノリ」について

          「身内ノリ」をアレルギー的に嫌っているふしがある。結局、なんか楽しそうなコミュニティに溶け込めなかった経験を積み重ねてそうなったんだと思う。単純に僻みみたいなモノだ。 で、そういう「身内ノリ」に過剰な反骨心を抱いたまま長いこと過ごしてきたわけだが、くだらないな自分、と思ってしまった。 いかなるコミュニティも、社会も、全ては「身内ノリ」から始まるわけで。だから過剰にそれを排除した先にあるのは「みんなで手を繋ぎましょうね」みたいな、それこそ僕が一番苦手なノリになっちゃう気がす

          「身内ノリ」について

          海の底

          『ひかりのかくれ家』本日の開催は雨天のため叶いませんでした。悔しい。つらい。神様のいじわる。ぴえん。 とはいえ長いこと気を張ってたのでようやく小休止。ワカメのごとく脱力。 企画のことをたくさんの人に知ってもらうべく、水面から顔を出して精一杯手を振っていたわけだけど、ちょっと陽の光を浴びすぎました。やっぱり僕は、海の底で卑屈になっている時が一番落ち着きます。 こんなんですが、支えてくれる人や応援してくれる皆さま、本当にありがとう。いったん沈んで、また浮上します。次こそは。

          立ち止まってもいいんだぜ

          「前向きな言葉」がいつだって僕を取り囲んではプレッシャーを与えようとしてくる。基本的に地面か空か、他人の庭を見ているから、そんなに煽られたって僕は前を向かないのだ。 売れっ子歌手が「ほら笑って!」とテレビから強烈なエールを送る。だが笑えない時は笑えない。 ニュースキャスターが「試合には負けてしまいましたが、選手たちの頑張りに勇気をもらいました!絆の力ですね!」と強引に結論づける。悔しい気持ちを尊重することも必要じゃないだろうか。 YouTube広告は「冴えない僕が半年でモテ

          立ち止まってもいいんだぜ

          少年が、はんぺんから落ちた

          小学校三年生ぐらいだったかな。たまに遊びに行く公園(のちによわフェスの会場となるフルーツ公園なんだけど)があって。そこに水上アスレチックがあるんよね。その中に、浮かぶはんぺんみたいなモノに乗ってロープを手繰って対岸に行く、みたいな遊具があった。 土曜か日曜だったから人がたくさんいて、同じ年頃の少年少女たちが1人ずつ、順番にはんぺんに乗っていく。やっと自分の番が来て、はんぺんに飛び乗る。みんな律儀に順番を守っていたし、1人ずつロープを手繰っていく様子になんの疑いも持たなかった

          少年が、はんぺんから落ちた

          閉鎖と開放

          コロナ禍の生活がもう半年以上続いている。 イベントの企画はできず、ライブも見に行けず、人と会う機会が激減した。 「何かできることを」という言葉は希望の姿をしているように思えて、気づけば呪いの言葉に変わっていた。 何かできることをやろう。 何ができるかな。 何かあったらどうしよう。 何もしない方がいいか。 世界とのあらゆる接点を切り離した時に、自分だけのオアシスが作られる。居心地は良いし、水は美味しい。でもそろそろ、枯渇してしまうかも。 見渡す限りの砂漠、だろうか。ラクダ