No.04 『起業の天才!』
著者:大西康之 発行日:2021/2/11
おすすめ度:★★
リクルートを創った男の話。
自分よりも優れた人間が世の中にはいっぱいいる。だからといって、リーダーになれないわけではない。
リクルートという企業を生み出した起業の天才は、マネジメントの天才であり、「ならず者」であった。
おすすめの読み方
この本を手に取った人はおそらく、少なくともリクルートという会社を創った江副浩正(えぞう ひろまさ)について知りたいと思っているはずです。
しかし、その知りたいにも色々と種類があると思います。
例えば、起業家・江副を知りたいのか、悪人・江副を知りたいのか、江副と周囲の人物の関係性を知りたいのか、江副と時代の流れを知りたいのか。
この本には、その全てが掲載されています。
江副のエピソードを通じて、江副がGAFAのような企業を日本から生み出すことが出来たかもしれない逸材であることを、説明しています。
しかし、この本は長い!ページ数にして450ページ強。
『起業の天才』という題名に魅了され、起業家・江副に興味を持った私には、興味のない内容が半分以上でした。
もし私同様に、将来起業を目指しているような人で、起業家・江副を知りたくて、この本を手に取った人は、全て読んでいると、疲れるし、時間もかかります。
そんな人にお勧めした読み方が、「」読みです。
本書にはたくさんの「」があります。
本を読むにあたり、面白い・為になると思った箇所には印をつけていますが、本書で印をつけた箇所のほとんどが「」内でした。
「」とその前後を少々読むだけで、本の内容を理解できると思いますし、吸収できる点はたくさんあると思います。
私のように読むことが苦手な方は、是非この方法で読んでみてください。
リクルートの始まり
創業当初の社名は、「大学新聞広告社」。
資本金は父親から出してもらった60万円のみの小さな会社でした。
大学生当時の江副は、東大新聞の広告取りアルバイトをしており、その派生で会社を起こしました。
そして会社を立ち上げると、コネで決まっていた当時の学生の就職活動を、「学生」と「企業」をマッチングさせる「求人広告」で変化させようと、「広告だけの本」を学生に配り、企業から広告費を得るというビジネスモデルまで生み出し、見事「日本株式会社の人事」と呼ばれるまでに企業を成長させたのでした。
カリスマ性を補う〇〇
江副には、カリスマ性はなかったそうです。
江副にとって、成長企業のリーダーとして、カリスマの「リーダーシップ」に置き変わるもの、それは社員の「モチベーション」でした。
だからこそ、「こうしろ」とは言わず、「君はどうしたいの?」と問いかけることを繰り返し、社員一人ひとりに当事者意識を持たせたそうです。
誰しもがリクルートを江副の会社ではなく、自分の会社と思い働く文化が根づきました。その結果、読売新聞などの多くの大手企業に打ち勝つことが出来たのです。
リクルートの旧・社訓「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」の文化を企業に浸透させ、江副はリクルートで数々の成功を収めたのです。
江副がカリスマ性を補う上でもう一つ行っていたのが、人に会うということでしょう。
彼のスケジュールは、平日も休日も面会でぎっしりで、夜は毎日2階建てでスケジュールが組まれていたそうです。
創業当初も、情報誌のインタビューという名目で、たくさんの経営者に会い、色々なことを学んだそうです。
自分にない視点・経験・知識を持つモノから学ぶ姿勢。
これこそ、カリスマ性を補う上で最も大切なことなのではないかと感じました。
起業家に必要なマインド
”Stay hungry, stay foolish”
画期的なゼロ・トゥ・ワンを生み出す起業家として成功するためには、アメリカのペイパル・マフィアのマインドのように、既存の秩序をぶち壊す「ならず者」であるべきです。
江副は、ならず者であり続けたからこそ、リクルート事件の当事者として悪者として、記憶に残る人物になりましたが、悪者になっても良いと思えるくらいの気持ちが大切です。
江副の持つ「ならず者のマインド」を、本書の最初から最後まで常に感じました。
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