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人見知りの恥ずかしがり屋が恋する話 #10


※東村芽依目線。




〇〇の手術が終わってから、芽依は就職の準備とお風呂に入るのに家に戻る以外、ずっと病室の隣にある会議室で過ごしてた。

芽依もなんとか気の動転は落ち着いたけど、まだ〇〇のことはなんも受け入れられへんかった。

やから、〇〇にはあやが付きっきりでいてくれた。

芽依より付き合いが長いあややったら、〇〇も安心できるやろうから……

あやは芽依のことを気遣ってくれてるんか、会議室にご飯を持って来てくれる以外入ってきいひんかった。

そんな時、あやが会議室に入ってきた。

ご飯を持って来てくれたんやと思ってんけど……





高本)めぇめ、〇〇のところ行くよ。

東村)いやや!!
行きたくない!!!

高本)分かってるよ。
でも、〇〇のそばにいてあげられるのは私とめぇめしかいないんだよ?
それに、〇〇はめぇめに会いたがってるよ。

東村)……〇〇が?

高本)行ってあげなよ。
〇〇のお願いだから。





担架から垂れ下がった〇〇の腕を見たとき、もう助からへんって思ってしまった。

運ばれるときもさっきも今も、芽依の本心はそれを受け入れられてへん。

芽依なんかを助けるためにこんなことになった〇〇には、謝っても謝り切れへん。

合わせる顔があらへんけど、〇〇のお願いやったら………

芽依は〇〇がいる部屋に、あやに連れて行ってもらった。





東村)〇〇………

〇〇)……お、芽依ちゃん来てくれたんだ。
来てくれないかと思った笑

東村)そんなこと……そんなことあらへんもん!!
芽依は、芽依は!!!
助けてくれて……ありがとう。

高本)やっと素直になれたね、めぇめ。





ここで涙が止まらへんくなった。

芽依を守ったことでこんなにもボロボロになって、やのに笑ってくれたら……





〇〇)そんなに泣かなくても笑
泣き虫芽依ちゃんに戻っちゃうよ?

東村)今は泣き虫でええもん……

〇〇)そりゃそうか。
芽依ちゃんが落ち着くまで、好きなだけ泣いていいよ。

東村)〇〇………
ごめんなさい、ごめんなさい!!
うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!





そう言われて、ホンマに止まらへんくなった。

夜やのに、病院やから静かにせなあかんのに、そんなん考えてられへんかった。

〇〇は唯一、そして少しだけ動く右手で頭を撫でてくれた。

悲しいことがあっても、楽しいことがあっても、体調を崩したときでも、どんな時でも芽依の頭を撫でてくれた手。

それは今までで一番暖かくて、今までで一番優しくて、でも今までで一番弱々しかった。

30分ぐらい泣き続けて、ようやく落ち着いてきたときに、〇〇が口を開いた。





〇〇)あや、アレ持って来てくれた?

高本)うん、引き出しに入れておいた。

東村)アレ?

〇〇) 芽依ちゃん、一番上の引き出し開けてみて。

東村)引出し?





言われた通り、芽依は一番上の引き出しを開けた。

中には小さなピンク色の箱が入ってた。





〇〇)開けてみて。

東村)これって……

〇〇)こんな形になって申し訳ないけど、今までの感謝の気持ち。
ホントはこれからもよろしくお願いします、って言おうと思ってたんだけどね。
受け取ってほしいな。





箱の中に入っていたのは、婚約指輪やった。

あやが〇〇と芽依の家に取りに戻って、持ってきてくれたらしい。

こんな時にプロポーズなんてズルいやん。





東村) 婚約…指輪?

〇〇)芽依ちゃんが大学卒業したらプロポーズしようと思っててね。
今となってはカッコ悪すぎるプロポーズだけど笑
元気になってもう1回プロポーズしたいから、これからも支えてほしい。

東村)う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!





さっきよりも泣いた。

思ってへんかったプロポーズ。

今までで一番嬉しかった。

元気になってからもう1回プロポーズするから支えてほしいって言われたから、これから芽依は頑張らなあかん。

〇〇の支えになって、気な〇〇にもう1回プロポーズしてもらうんや!













その後。

芽依は就職の準備をしながら、あやはモデルとかの仕事があったのを最低限に減らして、交代で〇〇のそばで過ごすことにした。

その間は、暗い話は絶対にせえへんってあやと決めて、できる限り〇〇が元気が出るようにした。

〇〇が好きなバイクやアイドルの話、会社の話、芸能界の話、旅行の話。

いつまでもこの時間が流れててほしいって、心の底では思ってた。

でも、先生が言ってた通り〇〇の内臓へのダメージが大きくて………

ゴールデンウィーク直後。

最後は芽依とあやに見守られて。

………〇〇は旅立った。











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