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研究者のキャリアパスとしての起業

通常、研究者がベンチャーを起業するというと、素晴らしい研究成果が特許になっていて、それを事業シーズとしてベンチャーキャピタルから多額の出資を受け、数年後の株式上場を目指して華々しくスタートする、というイメージがあります。ちょっと考えただけでもすぐ2、3社思い浮かぶと思いますが、こんなことができたら、ほんとに素晴らしいことですよね。

でも多くの「普通の」研究者には、このような華々しい起業は別世界の話。研究業績はたくさんあっても、特許になっていなかったり、事業シーズとして弱かったりします。

では、こんな普通の研究者には、起業の道はないのでしょうか?
 
そんなことはないのではないか?ということは、リーゾをご存知の読者の皆さんなら、うすうす感じていただけると思います。

リーゾを作った頃は、粗末な部屋で、廃棄品や中古品、家庭用品の代用で実験していることが、恥ずかしくてたまりませんでした。信用を無くすのではと怖くて、特にお客様(研究者さん)にはひた隠しにしてました。

でもあるとき逆に、「工夫すればこれだけできるということは、誇りにしていいんじゃないか?」と吹っ切り、いっそのこと貧乏を売りにしてしまおう!と180度考えを変え、貧乏ラボならではの工夫をブログなどで積極的に紹介するようにしました。

そうこうしているうちに、「バイオハッカー」、「DIYバイオ」なんて言葉が出てきて、個人レベルで実験や研究をすることが、ちょっとしたトレンドになっています(その筋のサイトでリーゾのことが紹介されていたりします)。

最近、研究者や、大学・大学院の学生向けにも、
「どうやってお金をかけずに分子生物学実験のできるラボを作れたのか」
「どうやったら運転資金を稼ぎながら好きな研究をすることができるのか」
というお話を、よく頼まれるのですが、研究内容の話では眠そうな学生でも、
「どうやって」の苦労話になると目を輝かせて聞き入ってくれます。

『好きな研究を続ける道として、こういうやり方もある』ということは、少し大げさではありますが、研究者のキャリアパスのひとつとして考えてもいいかもしれません。私の経験が、そのキャリアパスを少しでも安全確実に進むための誘導灯になるのであれば、隠すことは何もありません、喜んでお話しします。
  
お話ししている主な内容としては、
・不意の失業から、特許もお金もない状態で起業を選択したのはなぜか?
・お金をかけずに実験するには?
・あるものを最大限に利用して、ビジネスを考えるには?
・小さなビジネスをきちんと成功させるために大切なことは?
・なぜ研究者がビジネスに向いているのか?(←意外ですよね)
・「仕事」とはそもそもなんだろう?
・将来、起業したい人へのアドバイス(かなり実践的)
などを、対象となる人に応じてアレンジしながらお話ししています。
起業したい主婦が対象となる場合には、「主婦力がビジネスにどう生きるか?」
みたいなお話もしています。

リーゾを6年やってこれて、どうやら一人前の会社になれそうなところまで来れたのは、先輩社長たちやお客様を始め、出会った全ての方に有形無形の支えをいただけたおかげです。
感謝の気持ちは、「ペイフォワード」の精神で、次に起業していく方たちへの支援としてお返ししていきたいと考えています。
つくばからの日帰り圏内しか行けませんが、もしお役に立てそうな機会がありましたら、ご連絡いただければうれしいです。

だいぶ古くなりましたが・・・
起業体験談をまとめた小冊子はこちらです(その後、もう少し成長してます)

(2014年12月3日発行のメルマガ記事より)

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