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零細起業の経営実務(17)売れる名刺を作る

起業を志す研究者さんへ、リーゾの起業体験をお伝えしています。今回は、ビジネスに必須の「名刺」の作り方の話です。

私の名刺はどちらかというと、素人の手作り感あふれる、貧乏くさくて情報量の多い、「センス」と言う言葉とは縁遠い名刺です。

どうしてそんな名刺になったのか?と言うと、創業塾で習った「売れる」名刺の要素とされるものを、できる限り盛り込んでみた結果なんです。その効果があったかどうかはわかりませんが、リーゾが8年目までそこそこ順調に続いてこれた要因の一つにはなっているかもしれません。

ということで、その要素を復習してみます。

まず、表面から。

(1)「何をやっている会社か?」をアピールする

社名だけでわかる場合はいいのですが、リーゾのように社名だけでは何やってるのか全くわからない場合、社名の前に何をやってるのか、キャッチフレーズ風にひとこと入れると、名刺交換直後の会話のスムーズさがぜんぜん違います。
リーゾの場合は、「つくばの小さなバイオベンチャー」と入れてます。

(2)「電話番号」は大きく書く

自分は若いから(?)字が小さいことが気にならなくても、お客様はもしかしたら老眼で、小さい文字は読みづらいかもしれません。

お客様が、名刺を見ながら電話をするシーンを想像してみてください。電話をするとき、左手に電話器を持ち、右手でプッシュします。
ということは名刺はデスクの上。
この状態で、電話番号がラクに読めるサイズが目安です。

同様に、部署名や役職、氏名なども、電話しながら読み上げる必要がありそうなものの文字はできるだけ大きくするのが親切です。 

(3)ウェブのアドレス(URL)は短くする

・・・が理想ですが、都合により短くない場合(リーゾも最初の頃はそうでした)、「検索ワード」を書いてしまうという奥の手があります。

お客様に、入力の手間をおかけしないことが目的なので、そのワードでトップに表示されなくては意味がありません。でも、通常、検索で自分のページがトップに出るようにするには、広告費がかかります。

そこにも奥の手が。1語だと難しくても、「2語の組み合わせ」ならトップに出る。そんな組み合わせを探せばいいんです。
リーゾの場合は「リーゾ」だけだとレストランや食品のサイトが出てしまうのですが、「バイオ」を組み合わせるといいことがわかりましたので、名刺の右下に『リーゾ/バイオ で検索!』と印刷してました。 
(※現在は、十分に短くなったURLを記載しています)

(4)できれば「似顔絵」入りにする

マイナス要因のない似顔絵(イノセントパーソナル)をプロに描いてもらい、名刺に盛り込みます。写真を使う方も多いですが、さらに印象が良いそうです。
これについては、プロに描いてもらうのにお金がかかるので見送ったまま、現在も保留中です。
 
(5)裏面も見てもらうように誘導!

名刺交換直後、本人の目の前で裏返して、白紙だとちょっと気まずいものです。
右下の方に赤字で「裏面もご覧ください」と書いてあれば、遠慮なく裏返しにしていただけます。 

そして裏面。

(6)裏面には情報を盛り込む

裏面には、役職や氏名を英語表記している名刺が多いと思いますが、研究者ならともかく、外国の方と名刺交換する機会なんて滅多になければ、もったいない話です。

リーゾの場合は「営業品目」を入れてありますが、営業品目、経営理念、地図、など何でもいいので、チラシ並みに情報を盛り込むべき。

使い方としては、名刺交換後、裏面をご覧頂きながら、「こんなことしています」とざっと説明するようにしています。専門性の高い情報の羅列なので、大概の方にとってはちんぷんかんぷんでしょう。でも「難しいことしてるんですね!」というリアクションもコミュニケーションのうち。私の方も、法律やITのことはわかりませんから、お互い様です。知らない世界を垣間見る楽しさを交換しあうつもりで説明し、相手の仕事についても興味を持って質問します。

(7)裏面にも会社名、電話番号を!

裏面を見ながら電話してくださる場合もありますから、お手間をかけないように配慮して、裏面にも電話番号と会社名を入れておきます。

以上7点なのですが、これを習ったときには、情報盛り込み過ぎでうっとおしいんじゃないか、ダサすぎてお客様がひいちゃうんじゃないか・・・と思ったものです。

きれいな紙を使い、余白をたくさんとって、しゃれた書体で会社名と役職、名前を印刷しただけのおしゃれな名刺にしたいところでしたが、お金がかかるわりに実用性がない名刺を使うような身分ではないと、ぐっと我慢。パソコンでデザインして、名刺用の印刷用紙にインクジェットプリンタで印刷して手作りし、少しずつバージョンアップしながら現在も使い続けています。

起業したての新米経営者の名刺としていちばんつまらないのは、後で、「この人と何してる人だっけ?」が思い出せない名刺だと思います。

自分の手を離れた後で、どれだけ自分の身代わりとなって宣伝してくれるか、相手の役に立ってくれるか。そして、「もう少し詳しく知りたいな」と思っていただけたお客様を、ちゃんと自社のウェブサイトにご案内してくれるか。

要するに、マンパワーに乏しい零細起業におけるささやかな「営業マン」としての機能があるか、ということが重要なのではないでしょうか。

かといって、どんな業種でもこれでいいわけではありません。
リーゾのような業種ならとりあえずデザインは二の次(余裕があればかっこよくしたいですけど)でよいですが、センスを問われる業種であれば、デザイン性はお客様にとって重要な情報になります。おおいにセンスを発揮した名刺を作ってください。

以上、創業塾で習ったことですが、独自の解釈で書いてますので、自己責任で実践してくださいね。

ずいぶん前ですが、ブログに載せた話題です。

(2016年6月1日配信のすいすい通信より)

「すいすい通信」
https://rizo.co.jp/merumaga.html

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