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零細起業の経営実務(4)ランチェスター戦略

起業したい、するかもしれない研究者さんのために、リーゾの経験談をおったえしています。前回までに、「会社を作って、各種手続をする」ところまできました。今回は、いよいよ小さなビジネスをするにあたり、知っておいて絶対に損にはならない戦略があるので、ご紹介したいと思います。

それは、「ランチェスター戦略」、別名「弱者の戦略」です(零細起業にぴったり!)。
もともとは、第一次世界大戦時に航空力学研究者のランチェスターが発見した法則をベースに第二次対戦時に軍事戦略として考え出されたものなのですが、その後、マンパワーと財力の乏しい中小企業のマーケティング戦略として経営にも生かされるようになりました。

マンパワーと財力の乏しい中小企業が勝てる戦略とは、一言で言えば、「ナンバーワンになる(※でも局地戦で)」というものです。

起業したての零細に、ナンバーワンなんて無理!と思われるでしょうが、例えば研究者って、自分の研究の専門分野についてはそれぞれが「第一人者」(ナンバーワン)です。

それと同じように、分野や顧客層を限りなく絞っていき、自分にとって最も戦いやすいところ、つまり「局地」で戦えば、零細でもナンバーワンになれるというわけで、これが第一のポイントです。

局地化を進めていくと、大勢いたライバルがどんどん減っていき、戦うべき相手をひとり(一社)くらいに絞り込むことができます。ランチェスター戦略の第二のポイントは「一騎打ち」。絞り込んだ相手を深く研究して、シェアを奪い取ることで、第一位を目指します。具体的には、ライバルの顧客の不満を解消する方向で商品やサービスを作るなどの作戦が考えられます。

零細は、大手のように、人海戦術を使えません。でもご安心を。ランチェスター戦略の第三のポイントは「接近戦」。
少人数、ましてや社長だけの会社であれば、意思決定の速さは無限大です。
なので、そこを活かして、全ての顧客とone to oneで対応し、小さなニーズをくみ取って、臨機応変に、完全に満足していただけるまで対応します。

時には、お客様の抱える問題点を聞き取り、お客様も気づいていないニーズを掘り起こし(「こんなのが欲しかったんだ!」ということ、ありますよね)、商品やサービスをカスタマイズして提案することも可能です。
手間がかかりマニュアル化ができないことは大手企業の苦手とするところで、零細の最大の優位性を最大限に生かすことで、大手とも戦えるというわけです。

さて、振り返ってみれば、零細中の零細であるリーゾの商品やサービスは、必要な人にはとても喜んでいただけるものだけれど、要らない人にとってはどんなに安くても売り込まれても絶対に要らない(!)ものばかり(今でも友人などには「こんなものが売れるの?」と心配されること多しです)。

が、「ランチェスター戦略」の観点から見れば、スーパーニッチな分野できめ細かく対応することで生き残ってきたリーゾは、意外と理にかなっていたわけです。

そういうわけで、小さなビジネスを始める際には、ぜひ
(1)「土地」「分野」「顧客層」などを絞り込んで「局地戦」に持ち込み、
(2)できるだけライバルのいないところに行って、戦うとしても「一騎打ち」で戦い、
(3)商品やサービスに柔軟性を持たせ、一人ひとりのお客様の仕事に丁寧に対応する「接近戦」を心がける、
を試していただければと思います。

「いやいや、自分は大企業相手の大きなビジネスがしたいんだ」という方がいらっしゃるかもしれません。正直、リーゾだっていずれはそうしたいです。
でも、大きなものを入れるには大きな容器が要るように、ビジネスにもそれなりの「器」が必要なもの。。
まずは小さなビジネスをきちんと積み重ねることで、会社や経営者の「器」を作ることから始めるのが賢者の道かと思います(・・・余計なお世話かもしれないですけど)。

※「ランチェスター戦略」については、専門書もたくさん出ていますし、ネット上にも情報があります。特にリンクは張りませんので、ご興味ある方は検索してみてください。

(2015年4月1日配信のすいすい通信より)

「すいすい通信」はリーゾのウェブサイトでまとめ読みできます。
https://rizo.co.jp/merumaga.html

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