RIZAPのインターン生がJaSST ‘23 2nd Tokai に参加してきました!
▶︎プロフィール
植草悠介/ RIZAPテクノロジーズ ‘24新卒内定者。プロダクト開発統括1部QAエンジニアインターン中
JaSSTとは?
NPO法人ソフトウエアテスト技術振興協会が、ソフトウエア業界全体のテスト技術力の向上と普及を目指して全国各地で開催している、ソフトウエアテストシンポジウムです。
最新の研究発表、実践事例、ツールの適用事例や活用など、幅広い情報が得られる場であり、発表者や参加者同士のコミュニケーションの場として、情報交換会も盛んに行われています。
テーマは「令和時代の製品品質」
今回のJaSST ‘23 2nd Tokai はZoomを使ってオンラインで開催されました。「みんなで作ろう、令和時代の製品品質」というテーマのもと、令和時代の製品品質を作り上げるためのプロセス、 そして心理的安全性の2点についてさまざまな議論が行われました!
また、スポンサー企業としてRIZAPグループも参加しております。
当日は主に五つのセッションが行われました。その中でも私がとくに興味を持った二つのセッションについてご紹介します!
◾️「FearlessChange」と「心理的安全性への旅」
川口恭伸氏 (YesNoBut)
このセッションでは継続的に価値を出す高効率な組織文化作りについて、講演者自身が米国のアジャイルカンファレンスで学んだことをお話しされました。「心理的安全性」とは、自分の意見や気持ちを安心して表現できる状態を指し、昨今、製造業などで流行し始めている概念ですが、IT企業においても重要なことだそうです。
たとえば質問したい時に、周りを見て手を挙げなかったことはないでしょうか?(私は過去に何度もこの経験をしました。。。)
このようなことが起こると、私たちが遠慮するたびに私たち自身で小さな学びの瞬間を奪い、イノベーションを生み出せなくなってしまいます。
それだけ、組織において心理的安全性を高めることは非常に重要だというお話でした。
また皆さんは「ヒヤリハット」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、危ないことが起きたが幸いにも重大な問題が発生しなかった事象のことです。
重大な事故を未然に防ぐために、このヒヤリハットは報告・周知することが推奨されているのですが、その報告がされないというのは、まさに心理的安全性の低さによるものだそうです。
議論に参加する人達たちにやる気がない、というわけではなく、やる気はあるが社内にいると躊躇(ちゅうちょ)してしまい、その結果として問題などが発生してしまうとのことでした。
ではどのように心理的安全性を高めるのか、セッションでは三つの点が紹介されました。
一つ目は仕事を実行の機会ではなく学習の機会と捉える。
二つ目は自分が間違うということを認める。
三つ目は好奇心を形にし積極的に質問する。
これらをもとに、心理的安全性を高めていけるとのことです。
また、心理的安全性はGoogle re:Work(※)で紹介されているチームの効果性を高める五つの因子の中で、最も重要な一つであるというお話もありました。(ちなみにほかの四つの因子は、相互信頼、構造と明確さ、仕事の意味、インパクト、だそうです)
Google re:Work についてはこちら
【所感】
心理的安全性という言葉は知っていましたが、実際にどのように用いられているのかまでは分からなかったので、今回非常に勉強になりました。とくに、心理的安全性が低い状態が会社に与える影響や、イノベーションにおいてその役割が大きいことなどは興味深かったです。
Googleでは、イノベーションとは新しいアイデアを取り入れて形にし、それを試して実装するプロセスとしています。確かにこれらを行うには、チームメンバーが心理的安全性を感じていられることが不可欠であると思いました。
心理的安全性を高める3点は意識を変えるだけで実践できるので、積極的に周りを巻き込みながら、取り組んでいきたいと思います。
◾️「みんなテスト観点ってどうしてるの?」
山上直宏氏(JaSST Tokai実行委員会)
現役QAエンジニアの方々が20人ほど参加して、それぞれのテスト観点について議論する、という内容でした。
▶️まず初めに
四つのチームに分かれ、Miroというオンラインホワイトボードに付箋を貼りながら、ふだん行っているテスト観点について話し合いました。私のチームではユースケースシナリオを作成してから、マインドマップツールを使用して管理するという方法が多かったです。ほかのチームも、テスト観点の出し方はほぼ同じとのことでした!
私はテスト観点をエクセルシートにまとめているので、マインドツールについて知ることができて、たいへん勉強になりました。
講師の方々はほかに意地悪漢字(曼荼羅:まんだら チャート)、Ostrandの四つのビュー、品質特性(ISO25000)などの観点出しの方法を紹介しておりました。
▶️次に
チームで実際にテスト観点を出すワークを行いました。
テスト対象は電気やかんがモデルとなっており、この製品の仕様と機能説明を読んでVstep法を使用しテスト観点を出しました。
Vstepとは西康晴氏(NPO法人ソフトウエアテスト技術振興協会(ASTER)の理事長、電気通信大学の研究者)が考案したソフトウエアテスト技法であり、主にテスト観点図、テストコンテナ図、テストフレームの三つで構成されています。
今回はテスト観点図だけをワーク内で作成しました。西康晴氏によると、「テスト観点」はテスト対象のテストすべき側面や、テスト対象の範囲やつくり、テスト対象が達成すべき性質と定義されています。
さっそく、先ほどのチームの方々とテスト観点を出していきました。
まず5分ほど時間を取り、仕様書を読み進め、どのような機能なのかざっくりと理解しました。
次にチームの皆でテスト対象、観点のカテゴリー、観点の順に分かるところから書き込んでいきました。
一通り観点出しができたところで「沸騰の定義とは?」、「終了時の音声のタイミングと内容が不明」、「点灯ないし音声故障の場合はどのように沸騰するか判断できるか?」など、仕様書には書かれていない重要な観点も出てきたので、これらは疑問点として書き留めました。
ワーク終了後はチームごとに発表がありました。どのチームのテスト観点も似ており、大差はありませんでした。また、疑問点は、ほかのチームでも出しており、中には「耐久性について、沸騰後保温状態なのかどうなのか」など私たちが考えつかなかったものまでありました。
最後に講師の方々より「テスト観点ではほかのチームと同じような内容が多くて良かった」という統括をいただき終了しました!
【所感】
実際にテスト観点出しを行っていくことで、体系的に学べました。テスト経験が少なかったため、うまくできるか非常に不安でしたが、同じチームの方々が優しく、意見を言いやすい雰囲気があったので良かったです。
今までソフトウエアのテスト観点出ししか行ったことがなく、電気やかんのハードウエアの観点出しについて戸惑ってしまいました。今回は他社の方々と一緒にワークを行ったので、いつも自分がやっている方法と異なるところもあり勉強になりました。
QAエンジニアの奥深さを学びました!
今回初めてJaSSTに参加しQAエンジニアの奥深さについて学べました。
というのも、QAエンジニアは日常の仕事のプロセス改善や、高効率な組織文化を作るために心理的安全性を高めるなど、IT技術以外にも必要とされている要素があったからです。
実際にワークを行うセッションでは、他社様と一緒に取り組むことで、いつもと異なるやり方や、普段取り扱わないテストの観点出しを体験できました。
私自身、内定者としてQAの学習は行っておりましたが、分からない部分も多々あり、自分の知識の浅さとQAエンジニアの奥深さを痛感しました。次回はもっとQAエンジニアの知識を持って参加したいと思いました!
(了)
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