はぐれたくじら


母親とはぐれて夏の由比ヶ浜 流れ着きたる幼きくじら

「見に行こう」せがむおんなの傍らでおとこはこう言う「死んでるんだぜ」

その浜に寄せるはくじらや夜光虫そして人とか人や人など

見に行くと解体されていたのよと 困ったように佐野さんは言う

過ぎ去ればやはりかなしいできごとのような気がする秋の入り口

あたたかくやさしい誰かががきみのこと童話に綴ってくれはしないか


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