見出し画像

silent 7話感想文(DC版含む)

silent放送1周年記念?木曜更新の各話感想文7話です。

結局放送されたのが完成版では?という気もしますが、私はsilent制作陣を全面的に信頼しているので、課金して(しかもお安くない)円盤を買ったファンに届けようとしてくれたDC版を信じる。
放送されたのしか見てないよー、シナリオブックもDC版もネタバレしないでーという方はここで閉じてくださいね。よろしくお願いします。

トークインベントで村瀬Pが仰っていた「世の中の考察はほぼハズレ(でも楽しませてもらいました)」という言葉は常に胸に刻んでおきたい。
これは考察とかではなく、ただの私の偏愛の叫び集です。

※確認不足のシーンもあるかと思います。申し訳ございませんが、ご指摘下さると助かります。
不快に思われる方はどうかここで閉じて下さいませ。

切ない6話から引き続きのシーンから始まる7話。
紬と奈々が逆方向に歩き出しちゃって「えー!そんな!想くん大変!」ってリアタイしてる時声に出しちゃった笑。
でもここで中途半端な優しさ出さないで紬を追いかけてくれてよかった。

DC版では場面が変わって、コガセンのフットサル場に来る湊斗のシーンがあります。

フットサル場受付
湊斗、入ってきて
湊斗「こんにちはー」
古賀「おっ、みんなもう始めてるよ」
湊斗「はい」
古賀「今日は青羽いないの?会いたかったなあー」
湊斗「……」
古賀「ん?」
湊斗力なく笑う。
古賀「(察して)……」

silentシナリオブック p222 下段

シーン前後しますが、このままコガセンと湊斗のシーン。
この回の裏テーマ『自己満足』の伏線が貼られるので注目。
このシーンDC版に入ってます。

ベンチで話す湊斗と古賀。
古賀「あれだよなあー、振ったほうって悪者っぽくなるもんな。事情知らない奴から見たら」
湊斗、笑って返事を濁す。
古賀「青羽、別れたくないって感じだったろ」
湊斗「(頷いて)……思ってたより」
古賀「じゃあ、なんで?」
湊斗「……んー、自己満足?」
古賀「……」
湊斗「二人がどう思うか、もう途中からどうでもよくて。ただの、俺の自己満足だったんで。だから満足です。大丈夫です」

silentシナリオブック p224 下段

“振った方が悪者“もあとで出てくるし、自己満足だったから満足、って湊斗らしい言い回しでこの回のテーマをさりげなく差し込んでくる。うまい。カットされてるけど。
青羽別れたくない感じだっただろ、って分かってくれてるコガセン!
友達でもなく、2人(と想)のこともよく分かっていて、年上の立場からフラットな意見言ってくれるコガセン。良い役だ……。

紬を追いかけて行った想くん、2人でベンチでしゃべってるシーン。
このシーン、何がどうってわけではないけどすごく好き。
ドラマ全体を通しても上位に来るくらい好き。
今までは暑い中季節先取りでロケしてたんだなあって空気感だったけど、やっと季節が追いついた感じがするからかな?(でも想くんのダウンはまだ暑そう。でも最後は冬にたどり着くんだから、やっぱり連ドラワンクールってほんとすごい)
ちょっとだけシナリオブックにしかないセリフ。

ベンチに座っている紬。
想、やって来て横に座り、紬に「どっちがいい?」と缶のコーヒーとココアを見せる。
以下、二人手話で
紬「……どっちか?」
想、頷く。
紬「(少し笑って)ありがと」
と、ココアを受け取る。
(中略)
想「奈々、泣いてて」
紬「泣いてた……うん、泣いてて、私のせいかもしれなくて……わかんなくて」
と焦って手話せずに話す紬。
想「……」
紬、手話してないと気付いて、
紬「あ……えっと、なんて言えばいいんだろ……」
想「青羽は大丈夫?」
紬「ん?」
想「何か嫌なこと言われた?」
紬「……(首を横に振る)」
想、安堵して一息ついて、
(後略)

silentシナリオブック p223 上段

そっかそっか、いきなり2人で缶の何か飲んでたけど、想くんが買ってきてくれたんだね。心配して追いかけたの伝わる。
そしてそこはコンポタって言わない紬。やっぱり湊斗といる時は想くんの面影を追ってコンポタって言ってたのかなあ、目の前にいると言わなくても平気なのかなあと思ってしまう(深読みしすぎな気もする)。
(奈々に)何か嫌なこと言われた?って一言は放送ではなかったけど、ここでこれ言っちゃう想くん好きよ。
自分もいっぱいいろいろ言われたもんなあ……紬も言われないといいけどって心配してるけど、紬がひっかかってるの、そこじゃないんだよ……。
はーーほんとにズレる。ズレるけど、そういうところが恋しくなっていくのも分かる。恋って切ない。

自分の部屋で想くんに返す本を準備してる奈々のシーン。

奈々の部屋
奈々、着信履歴を見ると【佐倉想】とあって、
奈々「……」
紙袋を持って部屋を出る。

silentシナリオブック p224 上段

着信履歴ー!着信履歴だけで、あのシーンがよみがえる。
ほんとにsilentはひとつの出来事がその人に影響を及ぼしていく様子をみっちりと描いてくれるから信頼できる。
なかったことになる出来事やセリフがないから、人物に齟齬がでないし、だからみんなのこと好きになちゃう。

このあと、DC版にしかないシーン。(その中でもシナリオブックにしかないセリフもあり)
奈々と会ってお茶して想くんとベンチで喋ってる紬を紬の部屋で待ってる真子ちゃんと光くん。

紬のアパート
光と真子、紬の帰宅を待ちながら二人で飲んでいる。
真子「恋愛ってほら、自己満足のぶつかり合いでしょ」
光「なんかすごい怖いこと言ってる」
真子「相手のためにって自己犠牲ばっか払ってもバランス取れなくなって上手くいかないんだって。結婚とかなると違うかもだけど、恋愛なんて一時の感情と口約束なんだからさ、自己中振りかざしても上手くいく相手と一緒にいるのが正解なんだって」
光「真子ちゃんなんかあった?話聞くよ」
真子「光くん恋してるか?」
光「ううん。他人の恋愛客観視してるほうが楽しいんだよね。参加するの疲れるし」
真子「いいね。賢明だね。」
二人、ビールを飲んで一息つき、
光「湊斗くん呼んでい?」
真子「ここに呼ぶなよ。人の心ないんか。今度戸川くんち押しかけて飲も。あいつんち無駄に広いんでしょ」

silentシナリオブック p225 上段

“紬を幸せにし隊“ここで発足してる!笑
この真子ちゃんの自己犠牲ばっかり払って……って、この後紬ママが出てきてからの大きな伏線。ここで張るのか~すげーと思ってしまった。放送されてないけど。
「ここに呼ぶなよ、人の心ないんか」ってほんと真子ちゃん好き笑。
そこに紬が帰ってきて、

紬「ただいまー。真子ごめんお待たせー」
真子「おかえり。遅かったね。」
光「また手話のこと質問攻めしてたの?」
紬「手話で質問攻めされてた……」
真子「ん?」
紬「……いや、あの、この前話したさ、佐倉くんの友達」

silentシナリオブック p225 下段

ここの『手話で質問攻めされてた』って表現すごくて唸ってしまう。
実際には奈々にも想にも“質問攻め”にはされてないんだけど、どう答えていいか分からないことばっかりで、その感想として『手話で質問攻めされてた』って出てくるの、紬の混乱と疲れがよく伝わるし、この一言である意味面倒くささが表現されてるの、ほんとすごい。やっぱり生方さんって天才だな。

想に本返しに来た奈々。そうだよね、さらっと想くんのお家知ってるよね……。
と思ってすぐに、部屋に上げない想くん!ううう!ナイス!
初見で『えーー、どうするんだろう、想くん』と思ったけど、ト書きもすごくよかった。

奈々「全部そろってるか確認して。また会って返すのめんどくさいから」
想「……わかった」
想、部屋の鍵を開けるが、
「奈々のことどうしよう」と思う、顔を見る
奈々「(察して)……ここで待ってる」

silentシナリオブック p226 上段

奈々のことどうしよう、って思ってるのいい。
奈々、想くんのお家普通に知ってたし、きっと何回も遊びに来た事あるんだろうけど、「奈々の気持ち無視して曖昧にしてきたけど」って言ってしまった以上、部屋に入れるのもなって思っちゃう想、正直すぎて良い。
それを察して「ここで待ってる」って言う奈々もえらい。
このポジションの女の子(しかも最初から厄介そうな空気バンバン出してる)だったらひと悶着しそうだけど、スッと引くの良い。
やっぱり奈々も可哀想だよなあ、って気持ちが芽生えちゃう。

湊斗くんの時もそうだったけど、奈々もどんどん別れへのポイントが溜まっていく感じが伝わるの切ないけど、それはそうだよなあってなる。
ここで最初のコガセンの振った方が悪者、を回収しちゃう奈々。
ここの2人切ないけど可愛くてね、奈々の想くんとはずっと友達、って言葉もウソじゃなく聞こえるのいいよね。
全然優しいばっかりじゃないけど、でもやっぱり優しいドラマだなって思う。
それでここで図書館の本混ざってるのもうまい!
奈々のちょっとドジ、なのが、あざといだけじゃないの、好感度上がっちゃうし、この本が後々重要ツールになるのすごい。

そして!!!この後、DC版にしかないシーン。
ほんとに数秒くらいだから、どうにかねじこめなかったのか涙、ってなったけど、でもDC版で見せてくれてほんとにありがとう!!!買ってよかったDC版。

想のアパート
仕事中の想。
パソコンにメールが届き、開く。
【契約の更新手続きがあるので、今週中に一度本社に来てください】
想「……(溜め息)」

silentシナリオブック p229 上段

ここの!夜に一人で部屋で仕事してる想くん!ほんと素晴らしい。好き。
しかもパソコンじゃなくて書き仕事してる。やだ、グッときちゃう。
想くんの生活をのぞき見させてもらえると、ほんとに“尊い……”って気持ちになってしまう。
ああほんとに見せてくれてありがとう。
DC版が出てなかったらこれを見ないまま死んだのかと思うと、私が不憫。
大好きです、このワンカット。

この後、出版社で社員さんに喋れないもんなの?って聞かれて困ってしまう想くんのシーン。
ここの想のオフィスでの所在なさが素晴らしいよね、ほんとに……。
あの、ほんとは誰かの席なんだろうけど、隣空いてるから今ここ座ってって感じとか、職場に急に連れてこられた人だ!感あってすごく良い。
そのまま紬ちゃんに会って、当たっちゃう気持ちもめっちゃ分かる。
そしてあの一瞬だけでサラっとあの演技を見せてくれた安井さん素晴らしかった。

想「人と関わるの嫌で今の仕事に落ち着いたのに、時々こういうことあって。緊張して疲れた」
と、独り言のように話して、紬に手話が伝わらず。
紬「……あ、ごめん。もう1回言って、わからなかった」
“想、筆談するほどでもないと思って”
想「(首を横に振って)大丈夫、仕事の愚痴」

silentシナリオブック p230 下段

“筆談するほどでもないと思って”っていいト書き。
嫌な思いした、とかじゃなくて“緊張して疲れた”って言う想くんいい子。
このあとの【声が好きなんだもんね】って、手話で言えそうなのにわざわざスマホに書くの、見てる側にだけ想のこじらせ始めた気持ちが見えてうまい演出すぎて初見の時ほんとにすげーって言っちゃった。
字で見る方がよりインパクトがあるし、“言いかけてやめる”ってなかなか可視化できないから、これほんとにすごいって思った。
あの2話の公園のシーンを想くんが8年間ずっと大事に抱いて生きてきたのもここですごく伝わる。
そしてドリンクバーで割れたコップに象徴させて、ずれていく2人を見せるのうまい。

そして紬の部屋で飲んでる紬と真子。
湊斗くんの電話の声にホッとしちゃう~~~!!!
やっぱり想くんといると見てる方もドキドキしてしまうから、湊斗落ち着く……電話ありがとう……。
紬に佐倉くんと会ってる?って聞かれて、想と会わない方がいい?って言っちゃう湊斗くん。いつまで優しいねん。
“湊斗の声「あ、名前は呼ばれたけど」
紬、驚きとショックで
紬「(えっ)……」“
そうか、紬ちゃんそこショックだったんだな。
湊斗も紬のこと、紬って呼んであげて、って言ってたもんな。
はあ、どんどん想くんへの気持ちが見てる側も溢れていっちゃうよ。
この辺の見てる側とシンクロさせる感じめっちゃうまい。
そして湊斗に
「大丈夫だよ、顔見て話せば大丈夫だよ」
って言われて、想じゃなくて奈々と顔見て話そうと決める紬。そっち!

DC版にはこの後奈々に伝えたいことを便せんに書く紬と、春尾先生に頼みに行くシーンがもうちょっと長く入ってるんだけど、
ここバッサリ落としても、ああ春尾先生に手話助けてもらったんだなって分からせたのほんとすごい。
説明が少ないと感じる人もいそうだけど、見てる側を信頼してくれてる感があって私は好き。

春尾、紬が書いてきたメモを読み終わり、
春尾「全然かまわないですけど……もしあれなら、通訳しに行きましょうか?」
紬「いや、自分で伝えます。自分で直接、言います」
春尾「……はい。わかりました」
と、再びメモに視線を戻す。
紬、恥ずかしくなって
紬「あ、あの、内容は全然気にしないでもらっていいんで、そのまま訳していただければ……」
春尾「内容気にしないと訳せないですよ」
紬「そうですよね……よろしくお願いします」

silentシナリオブック p237 上段

通訳しに来てくれてたら、奈々と春尾先生再会だったのー!マジ!?笑。
でも本文の中に“奈々”って出てきてたような。でも世の中にはいろんな奈々ちゃんがいるもんな。
お手紙渡すんじゃなくて、手話で話そうとする紬えらい。
(そんなこと紬に言われても奈々困っちゃう!って内容だったけど笑)
春尾先生に『覚えてやったぞって押し付けになりかねない』って言われたけど、想くんと関わっていく中で手話を言語として捉えだしてるいい描写だなって思う。

紬と奈々のシーン、最初に
「最後にまとめてご不満、質問聞きます」
って言う紬かわいいし、ちゃんと最後に
「質問受け付けます」
って言うのもかわいいし、はい、って手上げる奈々もかわいい。
あれ、この2人もしかして仲良くなれそ?って思わせられる。
ほんとに心底嫌な役回りの人がいないドラマだよなあ。
そんで奈々が、このあと行くとこあるから、ってあの図書館の本返しに行くのうまいなー、ほんとに。

そんでまんまとその図書館にいる想くん笑。
図書館のシーンいいよねえ。胸がギュっとなる。
やっぱり奈々と想2人にしかない世界観があって、恋愛になってもならなくても、その世界が愛おしいなって思う。
ここで奈々ちゃんがこの回の裏テーマ『自己満足』を回収するんだけど、
“想くんに手話教えたの、私と喋ってほしかったからだよ”
“だから満足”
ってすごくいい回収の仕方だったな。
回収っていうと言い方があれかもしれないけど。

最後、紬の部屋で2人でいるシーン。
まずシナリオブックにしかないセリフ。

想「最近覚えた手話、教えて」
紬「最近?そうだね……片想い!」
想「(苦笑して)覚えなくていいよ」
紬「(笑って)だよね」
想「あとは?」
紬「あとはね、あ、パンダ」
想「日常生活で使うもの覚えなよ」
紬「動物いっぱい覚えた」

silentシナリオブック p246 下段

まず、これは放送にもあったけど、なんで片想いって覚えなくていいよって言うの想くん!ねえ!笑!!!ほんとそういうところなんですけど!!!
なに?もう片想いじゃないよってこと!?ねえ!!!!笑。
あとパンダ覚えてる紬ちゃんかわいい。
日常生活で使うもの覚えなよって言う想くんもいい。かわいい。
撮影してほしかった。うう。
ここで和んだ気持ちになってるの、重要。

そして声出そうとする想くんを、止める紬ちゃん。
ここも全話通してかなり好きシーン上位にランクインする。大好き。
はあーーー、そりゃ抱き寄せちゃう。
湊斗には「しゃべった方がいい?」って声で聞けるのに、紬にはこうなってしまう想くん。
紬ちゃんの背中さすさす、もね。こんな受け入れ方してもらったら泣いちゃうよ。
4話で書いた文章、
『3話の萌ちゃんの時もそうだったけど、声出す前の想くん、目黒くんのお芝居がものすごく繊細で素晴らしいんだよなあ……。
想にとって声を出すのがどれだけハードルが高いか一発で伝わって心臓ちぎれそうになる……。そしてこの感覚が7話まで繋がっていくの凄い。
目黒連くん、本当に良いお芝居です!!!』
7話でまたここ掘り下げたの、佐倉想がずっとブレてなくて素晴らしい。
全員の解釈が一致してないとなかなかできないよね……。
ほんとに“人間”を描いてるドラマだよなあ。


しかも8話ってサッカー中継で1週あいたから、この辺の種明かしお預けになちゃったんだよねえ!
もうほんとにはちきれそうな気持で過ごしたの2週間……懐かしい……。
というわけで、ちゃんと去年をなぞるために来週は1回お休みします笑!
抱き合ったままの想と紬を想って過ごしましょう……。

この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?