#7 ものの見方【江戸の舞踏会】

 tunnel visionにならないように。

 医学の勉強が本格的に始まった2年生においても、週に一回は教養の授業が組まれていて、文系の科目などを選択することができる。エンタメ好きな人間としては、演劇の言語という言葉が名前に入った授業があったので、それをとることにした。まだ数回だが、そのなかで明治初期にフランスの海軍士官であったロティという人物が書いた、鹿鳴館について記録した文章を扱っている。

 当時の日本は開国したばかり。不平等な条約を各国と結び、非常に不利な状態に置かれていた。その解消の一つの切り口として鹿鳴館による外交政策というものが行われる。国賓や諸外国の外交官の接待のための社交場として用いることで、不平等条約の改定を目指した政策である。当然そこでは日本の西洋化が進んでいるのが目にみえるのであるが、それに対するロティの講評がなかなか面白かった。簡単に言うと、良く評価しているところが多いのである。 

 「ロク・メイカンそのものは美しくない」などという批判的な意見もあるのだが、洋服を上手に着こなすとか日本の人々や歓待について高評価なのである。この本のレポート(?)みたいなのを書くときに、この本についての論文(細かすぎて読んでもわからないことが多いのだが)をみてみたが、議論を醸しているようだ。ロティがこの部分をみてよく思ったのか悪く思ったのかなど。

 「この時代の外国の人々は日本に対して優越感をもっているものだという認識を、歴史を一部にせよ学んできたわたしたちが思うのはもっともだが、その外国の人々の中でも近代化、西洋化しようとすることに対し、楽観的視点を向ける人がいたというのは非常に興味深かったし、それを作品として後世に残すことでさまざまな議論が醸されているということも関心をそそられるものであった。」というのが読んだ後の感想だったが、今思うと僕がロティの好評を意外だと思っているところに少し偏見がある。誰が何を言っていようとフラットな視点で見なくちゃな、とも思った。芥川がこの作品に着想を得てまた作品をつくっている。それも扱うらしいが楽しみである。


 今年はもっと本を読む習慣をつけたい。



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