大学に泊まろうと思ったら追い出されたので野宿することにした。【ヒッチハイクなし】
字数:4,930字
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朝起きれない。
でも、明日も一限から授業だ。
そんな時に、絶対に遅刻しない方法を知っているだろうか。
そう、それは、大学に泊まることだ。
大学に泊まりたい
事前準備
大学に泊まるにあたって、私は周到な準備を進めた。
私の大学は22:00に完全消灯する。
そして、図書館は21:50まで開いている。
警備員は恐らく常駐しているが、消灯する前後の時間帯に最も詳細に見回りをする。
つまり、21:50まで図書館に滞在した後、
21:50から22時過ぎまでのおよそ30分間をやり過ごすことができればいいのである。
では、どのように30分間をやり過ごそう?
そこで私はある場所に目を付けた。
そう、多目的トイレである。
学生数の少ない本学では、必然的に多目的トイレの利用者も少ない。
そのため、本学の多目的トイレは何かとスルーされがちだ。
トイレ内の設備も整っていないし、
清掃員も、トイレ掃除の後に多目的トイレをスルーして帰っていくのを何回か目にしたことがあった。
じゃあ、警備員もわざわざ多目的トイレの中を覗いて確認したりしないんじゃないの?
更にこの多目的トイレ内にコンセントを発見した私は、こここそが我がホームであると確信した。
ここに住もう。
そして、当日である。
20:00
私は一夜を過ごすため、十分な食料と暇つぶし材料を持って大学図書館へ向かった。
21:50
予定通り、閉館時間まで図書館内で適当な作業をした後、私は速やかに多目的トイレに移動する。
大丈夫、誰も見ていない。
22時半頃まで、警備員の巡回が落ち着くであろう時間まで、イヤホンをつけて静かにYouTubeを見ながら、息を潜める……。
普通にバレた
22:10
普通にバレて追い出される。
強めのノックが2回あって、
「誰か入ってますか?」
「消灯時間です。出てきてください」
仕方なくトイレから出ると、そこには当然、警備員が。
しかも今まで何回かお世話になった警備員の人に当たってしまったので、気まずい。
泊まる気満々だったのに……、意気消沈である。
しかし警備員がこっちをじっと見ている以上、退散せざるを得ない。
畜生。
私は肩を落とし、普段よりゆっくり歩いて出口へ向かう……。
これが私を追い出した憎き二松學舍大学である。
クソッ!
学生に優しくない大学め!
それだからいつまで経っても國學院の下位互換なんだよ!
野宿することにした
22:30
まだ電車はあるし、正直、帰ろうと思えば帰れる。
しかし、明日は一限だ。今から帰って眠ったら、私は確実に遅刻するだろう。
それに、泊まろうと思っていた計画があえなく潰えて呆気なく帰宅、というオチは、なんというかすごく悔しい。
ということで、野宿することにした。
暇だ
22:40
野宿しようと決めたはいいものの、まだ寝る気分ではない。
しかし、大学から追い出され、外は暗いため、本が読めない。
それに、電源がない今、無暗にパソコンは使いたくない。
つまり、暇だ。
私はベーコンエピを食べながら、これから何をしようか考える。
友達がいない
暇なので誰かと電話で話したいと思ってInstagramにストーリーを上げるが、
日頃の行いが祟って誰からも連絡が来ない。
この時間にストーリーを上げている人の投稿に片っ端からいいねして主張してみたりもしたが、特に意味なし。
(この時間にストーリーを上げている人の中には、今まで何回も電話したことがある人も何人かいたのに!)
本当にガチで誰からも連絡が来ないので、仕方なく私は歩き始めた。
歩くか……
眠くないし暇だし友達もいないので、歩くことにした。
法政大学
私はふと、近くにある法政大学の存在を思い出した。
天下のMARCHの法政大学さんなら、迷える私を泊めてくれるのでは?
きっと敷地も広いだろうし、安心して私が眠れるスペースくらいあるんじゃないか?
私は早速歩き出した。
23:10
法政大学に到着した。
しかし、めちゃくちゃ閉まっている。
クソッ!
MARCHの端っこにいるだけでお高くとまりやがって!
それだから第一志望0人なんだよ!
明治大学
法政大学は諦め、今度は明治大学に向かうことにした。彼なら私を優しく受け入れてくれるはず……!
明治大学へ向かう途中、仕事帰りか飲み帰りか、ゆっくりと歩く女性二人組がいたので、私は自然に歩幅を合わせて盗み聞きしていた。
「今の彼と結婚しようとは思ってるんですけど、これから入社して出会いとかもあるだろうし、どうしようかなって」
「今はあんまり会えてないんだっけ?」
「そうそう、なんか2年くらい海外行っちゃうらしいんですよ」
「じゃあ、待てない?」
「いや、それは全然大丈夫なんですけど。大学生の時もそんなに頻繁に会ってなかったし。ただもっといい人いるかなあって思って」
そんなグロめの会話をしていた二人も、地下鉄の入口へ降りて行った。
そうか、みんなは家に帰る時間か。
23:50
明治大学に到着した。
しかし、めちゃくちゃ閉まっている。
クソッ!
MARCHの先頭にいるからってお高くとまりやがって!
それだから……
明治大学への悪口は特に思い浮かばなかったので、彼は許してやることにしよう。
私は齋藤孝先生が好きなのです。
秋葉原
さて、他大学に潜り込もうという計画は見事に潰えたため、再び歩き回って暇をつぶすことにする。
先程から夜の静けさに飽きてきていたので、少し賑やかな場所に行きたい。
明治大学から歩ける範囲で、賑やかな場所といえば、
そう、秋葉原である。
0:30
秋葉原駅に到着した。
この時間にはもう終電もなくなり、本当に野宿が確定して、密かにテンションが上がっていた。
深夜の秋葉原は明るくて、少し歌舞伎町のような雰囲気も感じる。
その辺に寝転がっている人やなぜかテンションの高い外国人なども神保町周辺より格段に増え、深夜のこの時間でも街には活気があった()
深夜の秋葉原に来て私が驚いたことは、この時間になってもまだ、そこらにメイドが立っていることである。
皆一日の疲れを身体に滲ませて、ゾンビのように突っ立っている。もはや話しかけてくることもない。
こんな時間までお疲れ様です……と思いながら、暇なので私はその辺のゾンビ、もといメイドに話しかけ、30分くらい雑談をして営業妨害するなどしていた。
ヒッチハイク?
1:30
秋葉原を練り歩いたりメイドにダル絡みしたりしていたらもうこんな時間になってしまった。
明日は9時から授業だし、そろそろ寝ようかなと思うが、そのためにはまた大学まで戻らないといけない。
しかし、疲れた。
深夜のハイテンションで歩き回って秋葉原まで来てしまったが、これから大学まで歩こうとすると普通に1時間弱かかってしまう。
今まで何時間も歩き回り、単純に日中の疲れも溜まっている。
正直言って、もうそんなに歩きたくない。
ということで、大学までヒッチハイクすることにした。
しかし、ここで問題発生。
この時間帯、タクシー率が高すぎてタクシーしか捕まらない。
というか、普通の車が全然通っていない。
ぶっちゃけ、タクシーしかいない。
この期に及んでタクシーにお金を使うのも馬鹿々々しい。
ヒッチハイク失敗、私は仕方なく、自分の足で歩くことにした……。
膀胱
2:00
ここで再び、問題発生。
膀胱がピンチである。
24時間営業のコンビニは深夜2時になっても光り輝いていて、それは私たちの希望だ。
しかし、立ち寄ったコンビニ1軒目、トイレなし。
立ち寄ったコンビニ2軒目、トイレ故障中。
3軒目、トイレなし。
4軒目、トイレなし。
なぜ?????
千代田区のコンビニにはトイレがないのか??
あっても貸し出さないのか??
ここに死にかけている人間が一人いるというのに??
結局、トイレを求めて三千里、どのコンビニでもトイレを借りることはできなかった……。
そんな中、私は、駅のトイレなら使えるだろう! と閃いた!
そして揚々と地下鉄の入り口へ向かうと……
しかし、めちゃくちゃ閉まっている。
クソッ!
結局、九段坂にて神のような公衆トイレを発見し、私の膀胱のピンチは免れた。
しかし、私にトイレを貸さなかった千代田区のコンビニは許さん。
そろそろ寝ようか
2:15
色々あって、大学に帰ってきたのは早朝2時半になろうという時間。
しかし、興奮や空腹もあって、中々眠れそうにない。
私はとりあえず用意していた食料を食べて空腹を満たしつつ、大学のWi-Fiを使って短編映画を観ることにした。
寝るか
3:00
短編映画を観終わって空腹も満たされた。
そしてだんだんと眠気も出てくる。
寝るか。
私は中庭の松のそばにあるベンチに横になり、眠ろうとした……。
寒い
3:30
またまた問題発生。
そう、寒いのである。
寒くて、眠れないのである。
気温は16度。無論、外なので風もある。
下着にワイシャツに安物コート1枚という私の貧弱な装備では、秋の夜の寒さから身を守ることはできなかった。
私はどうにかその寒さから、特にその風から身を守ろうと、風が来ない場所を探し歩いた。
そして私はある場所に辿り着いた。
そう、あの神のような公衆トイレである。
この中なら風は来ない!
私は風のないトイレの中で、ようやく眠りにつこうとした……。
4:00
やっぱり、眠れない。
トイレの便座に座る形なので、体勢がきつい。
あと、普通に寒い。
そう、風がないとはいえ、気温は依然16度。
風がなくても普通に寒いのである。
地下鉄、あったかい!!!!!!
4:10
本当に寒くて本当に眠れないので、私は再び夜の中をふらふらと歩き出した。
そして、地下鉄の出口が開いていることを発見した!
私は早速階段を降りる。
地下鉄、あったかい!!!
私の冷え切った体を、顔を、地下鉄の暖かい空気が優しくなでる。
あったかい、本当にあったかい。
ホームレスの人たちが地下鉄に集まる気持ちが、この瞬間、
「言葉」でなく「心」で理解できた!
私は駅のホームまで降りて、そこのベンチで1時間ほどの眠りについた……
そして夜は終わる
電車内は快適
5:11
始発の電車が目の前に到着した。
ホームの固い椅子にも疲れてきたので、私は目の前の始発電車に吸い込まれるように入っていった。
九段下駅から終点の中央林間まで寝た後、そのままバウンドして反対の終点である清澄白河まで寝た。
そして清澄白河から九段下まで寝て、私は電車を降りる。
8:30
すっかり、朝である。
もう大学には少しずつ人が増えて、皆一限の授業の準備を始めている。
こうして、私の長い夜は終わった……
終わりに
長くて疲れる夜だったが、とても楽しい時間だった。
それに丁度今、ホームレスが登場する小説を書いていたので取材という意味でも有意義な夜だった。
ちなみにその日は授業が終わった後、保健室の柔らかいベッドでめちゃくちゃ寝た。
今回はこの辺りで筆を置くことにしようか。
それでは次回、
【復讐】完全防備で野宿リベンジ編
でお会いしよう。
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