17.前壁撮影はなぜ難しいのか
胃の撮影、基準撮影法の中で一番難しいのはやはり“前壁撮影”だと思います。自分もいつも「難しいなぁ」と思いながら撮影しています。もう30年近く胃の撮影をしていますが、いまだに難しくうまく撮影できないこともしばしばです。
「前壁撮影は簡単だよ!」っていうひとはいないでしょう。
では、なぜ前壁撮影は難しいのでしょうか?
前壁撮影は頭低位で
前壁撮影は『うつ伏せ』で頭側を低くして(寝台頭低位)撮影します。
後壁撮影は、だいたいが仰向けになれば撮影できます。
なぜ後壁撮影は仰向けになれば撮影できて、前壁撮影は頭側を低くして(寝台頭低位)撮影するのでしょうか?
バリウムがジャマ
仰向けでの胃のカタチは穹窿部後壁が低くなり、胃角部から穹窿部にかけての後壁は“穹窿部”に向かって傾斜がかかっています。これによりバリウムは、仰向けになれば自然に低い位置にある穹窿部に向かって流れていきます。なので、撮影したい(標的部位)ところである「後壁面」は自然に二重造影になってくれるわけです。
では前壁はどうでしょう?
前壁を撮影するためには「うつ伏せ」になります。前壁は後壁と違い、うまい具合に傾斜がかかっていません。ただうつ伏せにしたのでは、撮影したい(標的部位)前壁は『バリウム』によって全く見えない状態です。
なので後壁撮影のように「傾斜」をかけ、ジャマなバリウムを穹窿部側へ流したい。前壁撮影のとき、寝台角度を頭低位にするのは、標的部位である『前壁』に仰向けでの後壁のような傾斜をつけるためです。
ここから先は
“これで胃X線撮影が上手くなる!” 著者が3Dモデルを使って初級者に向け「講演・講義」してきたことを“動く参考書”としてテキスト化しました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?