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放射線技師のための胃X線撮影の参考書(初級者向け)

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“これで胃X線撮影が上手くなる!” 著者が3Dモデルを使って初級者に向け「講演・講義」してきたことを“動く参考書”としてテキスト化しました。
診療放射線技師で胃X線撮影に従事する「初級者」のための参考書です。このマガジンを読めば『悩みは解決… もっと詳しく
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記事一覧

18.前壁撮影で前壁写ってますか?

『17.前壁撮影はなぜ難しいのか』でお話ししたように、とても難しい「前壁(下部)撮影」ですが、標的部位(見たいところ)と描出範囲(写っているところ)について考えたいと思います 前壁撮影で前壁を撮影している? みなさん、とても難しい「前壁(下部)撮影」、頑張って撮影していると思いますが、撮影している(写っている)ところは『前壁』でしょうか? こんなことを言うと「なにその質問?」と思われるでしょうが、筆者は立場的にいろいろ、たくさんの技師の画像を見る機会があり、そのなかの「前

17.前壁撮影はなぜ難しいのか

胃の撮影、基準撮影法の中で一番難しいのはやはり“前壁撮影”だと思います。自分もいつも「難しいなぁ」と思いながら撮影しています。もう30年近く胃の撮影をしていますが、いまだに難しくうまく撮影できないこともしばしばです。 「前壁撮影は簡単だよ!」っていうひとはいないでしょう。 では、なぜ前壁撮影は難しいのでしょうか? 前壁撮影は頭低位で 前壁撮影は『うつ伏せ』で頭側を低くして(寝台頭低位)撮影します。 後壁撮影は、だいたいが仰向けになれば撮影できます。 なぜ後壁撮影は仰向けにな

16.背臥位第二斜位での頭低位について

ここでは、後壁撮影(第二斜位)のときの 「寝台頭低位」について考えてみます。 後壁撮影の第二斜位は難しい 「第二斜位のときの頭低位の角度は?」「どれくらいの角度が良いのか」これ、みなさん悩んでいるのではないでしょうか? 第二斜位を撮影は、寝台を「頭低位」にしてから受診者を「第二斜位」にする。 で、バリウムが前庭部側に流れてしまう。「あぁぁ〜やり直しだぁ」ってことあると思います。 では、頭低位はどれくらいの角度にして、第二斜位の角度はどれくらいにする? 頭低位の角度と第二斜位

15.後壁撮影(仰向け)のときの “寝台頭低位” について

ここでは、後壁撮影のときの 「寝台頭低位」について日々思っていることを書いてみます。 教科書では後壁撮影(背臥位正面位、第一斜位、第二斜位)のとき 「寝台頭低位」を勧めています。正面位では「広い領域を描出するには透視台をやや頭低位にして撮影すると良い」 第二斜位では「撮影像の名称」が「背臥位二重造影第2斜位(頭低位)」となっており、「頭低位で撮影」することになっています。 寝台に上がったことはありますか? みなさん、ご自分で撮影台に立ったことはありますか?寝台水平や頭低位

14. 撮影法 背臥位二重造影第二斜位

基準撮影法の前半、仰向けの状態での3方向(正面・左ななめ・右ななめ)の撮影。正面位と第一斜位、第二斜位で胃の下半分(大体です)の後壁を撮影します。 撮影と撮影の間は“必ず!” バリウムの再付着動作を! 正面位を撮影したあと、ローリング1回転ののちの第一斜位撮影。そしてまた、ローリング1回転ののちの第二斜位撮影。第一斜位を撮影したあと“必ず!” ローリングでバリウムの再付着を行ってください。撮影が始まったばかりでバリウムの付着はまだまだです。バリウムの再付着動作をせず撮影はあ

13.撮影法 背臥位二重造影第一斜位

基準撮影法の前半、仰向けの状態での3方向(正面・左ななめ・右ななめ)の撮影。正面位と第一斜位、第二斜位で胃の下半分(大体です)の後壁を撮影します。 撮影と撮影の間は“必ず!” バリウムの再付着動作を! 正面位を撮影したあと、ローリング1回転ののちの第一斜位撮影。正面位を撮影したあと“必ず!” ローリングでバリウムの再付着を行ってください。撮影が始まったばかりでバリウムの付着はまだまだです。バリウムの再付着動作をせず撮影はあり得ません。 背臥位二重造影第一斜位 標的部位;胃

12.呼吸は? 息は吸って撮影?吐いて撮影?

撮影時の“呼吸”は? みなさん、後壁撮影(正面位・第一斜位など)のとき「息を吸って」撮影していますか?「息を吐いて」撮影していますか? 立場上、いろいろな施設、いろいろな撮影者の画像を見ることが多いのですが、大半の皆さんが「息を吸って撮影」しているようです。 これは、撮影を教わった先輩に「息を吸って撮影」と教わっているからだと思います。 なぜ息を吸って撮影? 息を吸うと肺は広がり「横隔膜」は下へさがります。それにともなって「胃もさがる(下に伸びる)」。そして胃の「後壁」が“

11.撮影法 背臥位二重造影正面位

ここから撮影法、一つ一つの撮影体位について考えていこうと思います。 食道は後回しにして、ローリング3回転の後の『背臥位二重造影正面位』から。 基準撮影法、前半は仰向けの状態で(若干角度はつきますが)背臥位二重造影正面位と背臥位二重造影第一斜位、背臥位二重造影第二斜位と胃の下半分(大体です)の後壁を撮影します。 この3方向(正面・左ななめ・右ななめ)の撮影で『胃の下半分(大体です)の後壁をくまなく撮影』します! 背臥位二重造影正面位 標的部位;胃体部から胃角部、前庭部・幽門部

10.なぜ? はじめから空気足りない?

みなさん、検査をはじめから「空気不足?」と思うことありませんか? 撮影中に仰向けやうつ伏せ、カラダを回転させたり、逆さま状態になったり、そんなときに胃の中の空気量が減ってくる。「そりゃゲップ我慢するの大変だよ..」と受診者に同情しながらも、心を鬼にして発泡剤の追加をしていると思います。 でも、検査をはじめから「空気不足?」、「どうもゲップしていないように思うのに..」「どうしてだろう?」 「発泡剤の量をもっと増やす必要があるんじゃないかなぁ」 と悩んでいる方いると思います。

9.撮影の基本;その2付着②胃の回転軸を意識したローリング・体位変換

胃の粘膜面、標的部位の胃粘膜に“適度に”バリウムを付着させるには、『ローリング』や『体位変換』が必須となります。 ローリング:カラダを仰向けからうつ伏せ(うつ伏せから仰向け)、そして仰向け(うつ伏せ)と寝台の上で1方向に回転してもらう動作 体位変換:「仰向けからうつ伏せ」や「側臥位から仰向け」など。寝台の上でカラダの向き(角度)を変える動作 「ローリング」や「体位変換」をすることにより、目的となる粘膜面にバリウムを『流す(通す)』。これによりバリウムの付着が良くなります。

8.撮影の基本;その3 標的部位を意識する

バリウム検査での『撮影』、日本消化器がん検診学会の新撮影法ガイドラインやNPO精管構の基準撮影法では一コマ一コマ「どこを撮影するか」が決まっています。そして1検査トータルで胃の粘膜面を一通り「隈なく」撮影するようになっています。基準撮影法や新撮影法ガイドラインは、粘膜面を『隈なく」『効率よく』撮影するように考えられています。 一コマ一コマ撮影するにあたって、わたしたちはいつも「標的部位」「どこを写したいか」を考えながら曝射ボタンを押す、撮影する。それにより「より多くの画像情

7.撮影の基本;その2付着①バリウムのしごと

良い画像とは? 『検診』での良い画像とは、『バリウムの付着』が “適切” で、『胃の膨らみ』も “適切” が基本です!その他にも『良い画像』のポイントはいくつもあるとは思いますが、まずは『バリウム』についてお話しします。 バリウムのしごと 「バリウムのしごと」はザックリと ・胃を写す(胃を白く見せる) ・粘液の除去(洗浄・洗う) ・発泡反応(発泡剤を発泡させる) だと思います。 X線画像上、胃はそのままでは「ほとんど見えません」。 胃の粘膜面にバリウムを『適切に』付着させる

6.胃の部位(場所)の名前

前回は『撮影法』についてお話ししました。“撮影法”「どこをどんなふうに撮影するのか」を勉強する上で、胃の部位(場所)の名前を覚えておかなければなりません。「この撮影では “どこを” 撮影しているのか?」、「『標的部位』はどこなのか?」を的確に知るうえで、胃の部位(場所)の名前は重要です!

5.胃がん検診での撮影法

ふたつの撮影法 胃がんX線検診には、日本消化器がん検診学会による「新・撮影法ガイドライン」と日本消化器がん検診精度管理評価機構の「基準撮影法」があります。ふたつの団体から検査・撮影法の規定があることになります。ちょっと混乱しますよね? とはいっても、基本的なところでの違いはほとんどなく 新・撮影法ガイドライン ≒ 基準撮影法 で良いと思います。