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人間らしく川で生きる

自然環境リテラシー学 参加コース:川 2回目 参加日:7月2日・3日

私は、今回、自然環境リテラシー学の川コース2回目の実習に参加した。今回の実習は、三重県紀北町のキャンプinn海山さんが今回のベースキャンプであり、銚子川をメインフィールドとして実習を行った。

銚子川について

銚子川の様子

皆さんは銚子川という川を知っているだろうか。
銚子川は堂倉山を源として、山間部を流れ、熊野灘にそそぐ約18kmの清流である。
銚子川は、「奇跡の川」として2018年11月のNHKスペシャルに取り上げられた。
銚子川の魅力はその透明度だ。川に浮かべたカヌーが、まるで空中に浮いているかのように見える。
そのような「奇跡の川」と呼ばれる銚子川が今回の実習のメインフィールドだった。

1日目 

集合時の様子

今回は、銚子川下流のまいこみ淵で集合し、簡単なガイダンス等を行った。今回の実習1日目は三重県の農山漁村の活性化のための取り組みの一つである「みえアウトドアヤングサポーター育成事業」と連携したものだった。(「みえアウトドアヤングサポーター育成事業」の詳細はこちら
そのため、ガイダンスでは三重県職員の方から「みえアウトドアヤングサポーター育成事業」についての説明も聞いた。この取り組みは、三重の自然を活かしたとても面白そうなものだと感じ、また今後も様々な形で関わっていくことができれば嬉しいと思った。

川でのレスキュー

レスキュー中の様子

ガイダンスが終わった後は、早速、銚子川に移動して、2班に分かれて川でのレスキューの練習とゆらゆら帯の観察を行った。
私は、まず川で流されている人のレスキューの練習を行った。
川で人が流されているときのレスキューの基本として大事なのは、救助する側が川に入らないことだ。救助する側の人が川に入ってしまうと、救助する側の人も流されてしまうリスクが高くなる。そのため、できるだけ川に入らない状態でレスキューを行う必要がある。
今回は二人一組で、一人が流され役、一人が救助する役としてロープを使ったレスキューの方法を学んだ。

川に入っているとき

レスキューの手順としてはまず、救助する人は流されている人の少し奥側をめがけてロープを投げる。流されている人は、ロープを掴んで飛んできた方と反対の肩にロープを巻き付け固定する。その後、救助する人がゆっくりとロープを引き、流されている人を岸までたぐり寄せ、レスキューが完了する。救助する人がロープをたぐり寄せている際、流されている人が流れに対して軽く身体を傾けることで、救助する人はより小さな力で引くことができる。
今回は、流れが緩やかな場所で行ったので、比較的楽に行えたが、これが流れが急な川や水量が多い川だととても大変だと思った。

レスキューを見ているとき

このとき、この日初めて銚子川に入ったのだが、川の水の冷たさにとても驚いた。この日は気温が30度を超える真夏日だったので、その冷たさのおかげか、とても気持ちよかった。さらに銚子川の川底まで見ることのできる水の透明度にも感動した。

ゆらゆら帯について

ゆらゆら帯の観察

レスキューの実習が終わった後は、ゆらゆら帯の観察を行った。
ゆらゆら帯とは、川の汽水域で海に向かう川の水と海からの海水が混ざり合うときに、水がシロップのようにゆらゆらと揺れて見える現象のことだ。
このゆらゆら帯というものは本来、海につながる川全てで存在している。しかし、それを観察するためには川の水も海の水も非常に透き通っている必要がある。そのために、普通の川では見ることができない。
だが、銚子川は河口部まで透き通るような水の透明度を維持しているため、ゆらゆら帯を観察することができるのである。
初めは、ゆらゆら帯がどこにあるのか見つけることができなかった。しかし、箱メガネを使いながら川を覗いていると川の水がゆらゆらと揺れる様子を観察できた。川の中で水が変わった形で揺れ動いていてとても興味深いものだった。
また、川に入っていると水面付近と川底付近で水温の違いを感じることもあり、面白かった。

エビ取り体験

エビ取りのレクチャー

ゆらゆら帯の観察を終えた後は、歩いて銚子川の少し上流の方にあるキャンプinn海山へ向かった。
キャンプinn海山についた後は、ガイドの田上至さんの案内でエビ取り体験を行った。エビ取りは初めての経験で、上手くエビを取れるか心配だったが、田上さんのレクチャーのおかげで、簡単にエビを捕まえることができた。

捕まえたエビ

今回の実習の参加者全員で捕まえたエビは、その場で田上さんがガスバーナで焼いてくださった。焼かれたエビはとても美味しそうな匂いがして、食べてみると何とも言い難い奥深い味がした。

焼いたエビ

田上さんのお話

田上さんのお話を聞いている様子

エビ取りを終えた後は、ベースキャンプに戻り、ガイドの田上さんから銚子川にやキャンプinn海山などについてのお話を聞いた。
田上さんのお話によると、銚子川の水の綺麗さの理由には、銚子川の川底にある丸石が関係しているということだ。銚子川の独特の地形の影響によって作り出された丸石の間を水が流れることで水がろ過され、透明度の高い水が伏流水として再び銚子川に合流する。そのような現象によって銚子川の水の透明度は保たれているということのようだ。

また、田上さんのお話の中で特に心に残った言葉として、「人間らしさを忘れない」という言葉があった。この言葉は、自然の中で目一杯遊ぶことで人本来の人間らしさという部分が出てくる。その事を大切にしてほしいという意味だと私は感じ、全くその通りだと思った。

火起こし

火の付け方のレクチャー①

その後は参加者それぞれでテントを立て、もう一度集合した。
集合した後は、田上さんから火起こしのレクチャーを受けた。
私は、今まで焚き火はしたことがなかったのだが、火は好きだった。その理由は、火の暖かさがとても好きだからだ。
火の付け方のレクチャーでは、薪割りに使う斧やナイフなどを見せてもらい、その様々ある種類の説明も受けた。また、ファイアースターターでの火の付け方なども見せてくださった。
ファイアースターターで火をつけるのはとても難しそうで、コツが必要だなと見ていて思ったが、同時に私もできるようになりたいと思った。

火の付け方のレクチャー②

ホタルの観察

その後は簡単なブリーフィングを行い、ホタルの観察会を行った。
キャンプinn海山には小さな池があり、そこにホタルが生息している。もともとその池にはホタルはいなかったそうだが、田上さんたちの取り組みによってホタルが住むようになったということだ。
私はホタルを見るのは小学校の時以来であり、最近はあまり見る機会がなかったので、久々にホタルを見ることができ、とても嬉しかった。また、多くのホタルが光りながら飛んでいる様子はとても素晴らしい光景だった。

その後は、夕食の準備をした。
今回の夕食はBBQで数人でグループを作り、焚き火を囲みながらの夕食となった。自然の中で、火の暖かさを感じながら食べる食事は格別に美味しかった。

2日目

早朝の銚子川

2日目は朝から生憎の雨だった。
私は、予定されていた時刻より少し早めに起きたので、軽く朝から散歩した。

全員が起きてから、朝食を取った。その後、雨の中ではあったが歩いて大きな一枚岩を見ることができる銚子川上流の魚飛渓に向かった。

魚飛渓へ歩いているときの様子

魚飛渓

魚飛渓の様子①

少し寄り道をしながらも魚飛渓にたどり着き、河原に降りて川遊びを行った。
魚飛渓は銚子川下流や中流とは景色が全く違い、大きな岩がゴロゴロ転がり、川の流れも早くなっているところが多かった。だが、水の透明度は今まで見てきた銚子川と変わらず、透き通るようにキレイだった。
また、川遊びをしている途中で雨も止み、過ごしやすくなった。
私は、このときは前日の疲れが残っていたのか、少し身体の調子が悪かったので川に入らなかったのだが、調子がよかったら川に入ってみたかった。

魚飛渓の様子②

川遊びを終えた後は、もう魚飛渓の少し上流にある吊り橋まで歩いて行った。
吊り橋に行くまでの途中でも様々な大きさの石を見ることができ、様々な様子を見せる銚子川に驚いた。

吊り橋

カナディアンカヌー体験

魚飛渓からベースキャンプのキャンプinn海山に戻ってきた後は、昼食を取り、カナディアンカヌーの体験を行った。
朝から雨だったので、最悪カナディアンカヌーの体験はできないかもしれないと思われていたのだが、雨も止んでいたため行うことができた。

カナディアンカヌーのレクチャーを受ける様子

私は、以前の実習でシーカヤック乗ったのだが、今回の体験を行ったカナディアンカヌーはそのシーカヤックとは少し違いがあり、慣れない部分があった。違いとして、船の大きさもあるが、それ以上にパドルに大きな違いがカヤックとカヌーにはある。カヤックは両端にブレードのついたダブルブレードパドルを使うのに対して、カヌーは片側のみにブレードのついたシングルブレードパドルを使うことになる。そのため、初めは少し漕ぐのに苦労したが少しコツを掴むとある程度上手く漕ぐことができた。

今回はカナディアンカヌーを漕いで、前日の田上さんのお話に出た伏流水の湧き出る地点へ向かった。
カナディアンカヌーを漕いでいるとき思ったことは、陸から見る銚子川とカヌーの上から見る銚子川では見え方が違うということだ。カヌーの上から見る銚子川は、陸から見る銚子川よりも鮮明に水の中を見ることができ、美しさが段違いであると感じた。

カナディアンカヌー

伏流水を見ることができる地点に着くとカヌーから降りて、伏流水が湧き出ているところを観察した。伏流水が湧き出ているところは、明らかに銚子川の本流とは水の透明度が違っており、より透き通っていた。
また、水の冷たさも段違いで、これが銚子川の綺麗さを作っているのかと思った。

水中の様子

伏流水の観察を終えた後はキャンプinn海山に戻り、後片付けを行った。その後最後の振り返りを行って今回の実習は終了となった。

今回の実習を終えて

今回の実習では銚子川の様々な景色を見ることができた。
1日目は青空が広がり、2日目の朝は雨、昼間は曇り空と様々な天候の中で銚子川について学ぶことができた。天気が移り変わる中でも銚子川の水の美しさはいつも一定で『銚子川ブルー』と言われる銚子川の水の色を見ることができた。
このようなきれいな川を実際に見たことがなかったので、とても素晴らしい体験となった。

それと同時に、この自然環境を守り活用していく必要も感じた。このような貴重な自然が壊されることは、とても勿体ないことだと思った。だが、守るだけでは、美しい自然が勿体ない。だからこそ、守り活用していくことが必要だと思うのだ。

また、今回の実習を通して、川遊びをするときの安全管理についても理解することができた。比較的身近に感じる川も自然の一部であり、安全管理や危機管理、リスク管理が必要だと感じた。

私は、個人的に銚子川周辺の構造物に興味が惹かれた。銚子川には、吊り橋やトラス構造の橋、ダムや堰などもあり、土木構造物に興味がある人にはとても刺激になるのではと思った。

魚飛橋

最後に今回の実習で、美しい自然は人の本能を刺激し、人の人間らしい面を引き出すことができるのだろうと感じた。

銚子川の下流の様子

今回お世話になった施設
三重県 紀北町 キャンプinn海山
https://camp-inn-miyama.com/

参考サイト

みえアウトドアヤングサポーター育成事業(三重県)
https://www.pref.mie.lg.jp/NOZUKURI/HP/m0278100138.htm

銚子川について(紀北町観光協会公式サイト きほくのたび)
https://kihoku-kanko.com/see/608/

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