見出し画像

激アツコンテンツ語り-遊戯王デュエルターミナル編-

さて、今回のおたぴー激アツコンテンツ語りは…
「遊戯王 デュエルターミナルシリーズ」について、その栄枯盛衰を語ろうと思います。(先に謝っておきます。今回2000字超えます)

説明しなくともご存じかもしれませんが、まず概要から。
遊戯王デュエルターミナル(以下DT)は、2008年~2013年まで稼働していた、100円で1枚払い出される専用カードをスキャンして遊ぶことができる子供向けアーケードカードゲーム(以下ACG)です。
ゲームとしてはミニゲームで競う「アクションデュエル」と、簡略化した本格デュエル「スピードデュエル」のモードがあり、スピードデュエルに関しては、ルールはほぼデュエルリンクスと同じ。そしてもちろん払い出されるカードは、普通にカードゲームでも使用可能となっていました。(Pixiv百科事典より引用)

ミニゲームも原作リスペクトが強くて面白かったし、スピードデュエルも中々楽しかったんですよね、楽しかったんですが…。
ヤバかったのは、このDTでしか手に入れられないカードが、まぁ~~~強かったこと。
”デッキに入ってない=負け”だったブリューナク
デパートで強奪事件が起こったトリシューラ、
そして某有名TCG販売店が大炎上したラヴァルバルチェイン…どれも1枚数千円~1万円超で取引されてました。

釣り上げだ!!ってめっちゃ当時荒れた

そのため、当時は稼働初日なんて子供より大人が一斉にDTに並んでカードを買い占めて帰る、なんてことがザラに起きてましたね。というかもはや、DT産の強いカード目当てでみんなやってて、カード自販機なんて呼ばれたりもしてました。
ここまで聞くと、皆さまこう思うんじゃないでしょうか。

「めっちゃ人気だったんだねぇ、なんで終わらせたんやろ?」と。

ところで、小売店における子供向けACGでのカード1枚の利益って、大体いくらだと思いますか?
実はこれは情報が出ていて、小売店が仕入れるカードの原価は、1枚約40円だそうです。100円1プレイ、1枚払出ですから、利益は単純計算で1枚60円、となります。
ACGは基本200枚が1ロットなので、1ロット全てが売れた場合の粗利は60円×200枚=約12000円。
ACGは2ヶ月に1回のスパンで新弾稼働、工場のライン制約上再販がほとんどないことを考えると仕入れは原則年6回。
例えば一度の仕入れで毎回10ロット仕入れて、毎回全て売切れた場合の年間粗利は、12000円×10ロット×(12ヶ月÷2ヶ月=6回の仕入れ)=72万円、となります。

・・・これ、高く感じます?

これは、基本的にどのACGも同じなのですが、実はACGってクソほど儲からないんですね。上記の例は決してDTが特別利益率が低かった、ということではないんです。じゃあなんでデパートはあんな機械を置くのか。理由は一つで、「お客さんを店に留めておくため」です。
店を人が集まる空間にすることで、より客数を増やしたい、親がゆっくり買い物をするために、子供に時間潰しをさせたい。子供がそのゲームをやる事で、より利益率の高いおもちゃ、食玩を買って欲しい。そういう目的のために置いてある、いわば子供をメインターゲットとした広告塔なんです。
だから、ACG自体で利益が出なくとも、置いておきたい。
さらに言えば、DTは店舗が筐体を買い取る方式を取っていた(バンダイのデータカードダスは、筐体無償貸与及び修理サポート有(だったはずです。バンダイはカード代及びアップデート代だけで利益を得る)ため、DTでは筐体代+本体のアップデート代+修繕費+電気代+人件費等その他維持費で、販管費を除いた営業利益はもっと低かったはずです。

そんな中で、一番最初の問題に立ち返ります。大人がカードを買い占めちゃったんです。
すると、DTでは子供が寄りつかない。広告塔にも、時間潰しにもなってくれないんですよ。よりにもよって、利益率の低いDTだけ売れちゃう。
こういうことがあって、DTを手放す小売店が徐々に増加。最後の方では、機械が置いてあるだけでず~っと稼働してないみたいな個体もちらほらありました…。
こうして、DTは衰退。2013年を以て稼働を終えることとなったのです。カード自販機になってしまったこと、コナミがその商法から抜け出せなかったこと、それがこのDTの大きな失敗だったのかなぁ、と僕は思います。ただ、現在子供向けACG自体かなり稼働率が低くなっているので、これも宿命だったのかもしれませんが。
唯一の救いは、これが2013年に終わったということです。湯毛さんもやられていた、2014年~の遊戯王第9期に、DTが稼働していたら…と思うと、ゾッとします。もし、プトレマイオスやサイドラインフィニティが、DT産のカードだったら……。
以上、決闘者の激アツコンテンツ語りでした。

最後に、このコラムを執筆するにあたり協力頂いた、当時ゼンマイハンデスで俺の手札を先攻で5枚ハンデスしてきやがった、現マシンナーズ使いC中尉に、最大の謝辞を送ります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?