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2022年8月22日 牛女の新作コント10本VS GOLF恋愛サロン

牛女の新作コント10本VS GOLF恋愛サロン@新宿バッシュ!!

出演:牛女、イケナイ太陽、高木払い、栗原、大久保八億、GOLF

私の中ではシリーズ最高傑作でした!配信いっぱい売れてほしい!!!




⚠️以下めちゃくちゃネタバレあり⚠️










コント①声優

 内容:アニメ「アイシールド21 」のアフレコ現場。ひるま役の田村淳(しらす)がアフレコしていると、ブース内をハエが飛び回り始める。スタッフ(佐野)が殺虫剤を撒いて仕切り直すも、今度は大量のハエがブース内に。しょうがないのでそのままアフレコを続行するよう指示された淳は、決めゼリフの「ヤーハー」を言うと同時に口に侵入してきた大量のハエを飲み込んでしまい…。

 感想:お笑いにおいてドラゴンボールやワンピースが必修扱いされているのですらついていけてないのにアイシールド21なんて当然知らねえよなので上記の文章はネットで調べて書きました。アイシールド21を知らなくても面白がりポイントは分かるネタではあるんですが知っていた方がより面白いものと思われます。牛女ってこういう絶妙な知名度のラインをついてくる人達なのでネタを一気に10本も見たらそりゃあ元ネタが分からないコントも一本くらいあるよなと思えるようになりました。訓練されたファン。オチで盛大に舞台汚し芸をしてオールスターズから一本目に持ってくるネタじゃなさすぎると指摘されていて最高でした。


コント②100均

 内容:ゆで卵と調味料を入れておくだけで簡単に味玉が作れるグッズがツイッターで話題になっているのを見て100円ショップに買いに来たものの、商品を見つけられない客(しらす)。店員(佐野)に訪ねると、売り場まで案内すると言う。店員についていくと、店を出て改札を抜け電車に乗ることに。おかしな状況に戸惑う客だったが、あまりにも堂々とした態度の店員を問いただすことができずにいた。電車を降りタクシー移動して着いた先は、アパートの2階の部屋。なんと、ここは座間9人殺害事件の現場となった場所だというのだ。そして満を持して店員は言う「ここになければないですね」。もう商品はいらないと拒否する客だったが、せっかくここまで来たのだからと店員に背中を押され、恐る恐る部屋の中を探し回ることに。

 感想:まず味玉メーカーと座間の事件だけでも落差が凄すぎるのにオチがさらに突拍子なくて感情の揺さぶられ方が凄かったです。牛女のコントって純愛がフリになっているものは結構あるけど純愛ボケは初めて見た気がします。牛女がそのパターンやることあるのか!想定してなかった!と、してやられた気持ちになりました。会場の笑い声の余韻も凄かった。
 店を出て移動するところ、普通だったら少なくとも改札を通るあたりでどこに向かってるんですか!って聞いてなきゃおかしいだろって見てて感じると思うんですけど、佐野さんの佇まいの圧倒的な説得力とそれに気圧されて言い出せないしらすさんの小市民感で全く気にならなかったです。


コント③母親

 内容:産後間もない新米ママ(佐野)に、先輩ママでもある親友(しらす)が会いに来ている。子育ての悩みや分からないことがあれば何でも聞いて頼りにしてほしいと言う。親友が気遣って母乳はちゃんと出ているのかたずねると、新米ママの反応がおかしい。なんと新米ママは赤ちゃんに母乳ではなく、母マン毛(ぼまんげ)を与えていた。

 感想:大西ライオンのマン毛多いさシリーズ。シリーズ化するんだ。母マン毛(ぼまんげ)って言葉自体面白いのにしらすさんの言い方ツッコミで発される母マン毛(ぼまんげ)の強烈さよ!!母乳出てるか聞いて反応が無かった後にあっ粉ミルク派か!粉ミルクより母乳の方が良いなんて全然ないからね〜ってフォローするところめちゃリアルで普通の若手芸人は母乳マウント文化なんて知らなさそうだから佐野さん鬼女速とか読んでるのかなって思っちゃった(読んでても別に良い)。


コント④失踪

 内容:子供が失踪してうろたえる父親(しらす)と担当警察官(佐野)が向かい合って座っている。子供に万が一のことがあったらと最悪の事態を想像して憔悴する父親に、防犯カメラの解析など捜査を進めているところだからどうか冷静に待つよう警官が声をかける。警官がトイレに行くと言い席を外した時、父親はおもむろにポケットから何かを取り出して警官のお茶にそっとそれを混ぜた。戻ってきた警官がお茶を口にすると、次第に身体に熱を帯び始める。異常を訴える警官に大丈夫ですか?体調が悪いんですか?と心配する父親だったが、何故か身体が熱いと言う警官に対して父親は悪びれる素振りもなくこう言い放つ「僕が刑事さんの飲み物に媚薬を混ぜたからだと思います」。なぜそんなことをしたのかと問い正す警官に、趣味でやっているYouTubeチャンネルで媚薬を飲んでみたという企画を撮影する予定だったが子供が失踪してそれどころではなくなったので警官の飲み物に入れてみたのだと父親は答える。企画ではなく本当にただ入れてみただけなのでもちろん隠しカメラなどは仕掛けていない、と。意味が分からず混乱する警官。父親は男性には興味が無いので性的ないたずらが目的という訳でもないという。警官は必死になって意図を汲み取ろうとするも会話が噛み合わず、次第に父親の中では警官の方が非常識だという認識になっていく。終いには、勃起している警官に子供の失踪事件を担当されたくない、他の警官と交代してくれと言い出す始末。あまりに理不尽な言いががりに警官も怒りを抑えられなくなり、二人は口論に発展する。

 感想:おかしな人がおかしなことを言うコントなんだけど全てが変という訳ではなくて、概ね常人なのに一部だけ異常という絶妙なずらし具合が凄く不気味で気持ち悪かったです。日本語は成立しているし何なら論理的ですらあるのだけれど、まともに反論すればする程その話の通じなさにヤバさが滲み出てくるのが凄い。こういうコントって佐野さんがヤバい人役をすることが多いから、そっちがヤバいんだ!ってなったししらすさんの演技力によってコント全体の印象に仄暗さが醸し出されていてそれもとても良かったです。


コント⑤災害

 内容:倒壊した建物の下敷きになっている男性(しらす)。下半身が瓦礫に挟まれて自力で抜け出すことが出来ず大声で助けを求めていると、それを聞きつけた通行人(佐野)がやってきた。これで助かると安堵したのも束の間。ここ、創価学会の建物ですよね?ということはあなたも創価学会の人ですよね?と確認される。非常事態なんだからそんなことは関係ないでしょうと訴えかけるも、勧誘されるのではないかと警戒してなかなか手を貸す気配がない。埒があかないので、過去に他の創価学会員が迷惑をかけたのであればその分まで自分が謝ると言いひたすら謙虚な姿勢を見せ、救助を懇願する。そこまで言うならと通行人は瓦礫を持ち上げ、男性は脱出に成功、九死に一生を得る。しかし、助かった次の瞬間には男性の態度は一変していた。捲し立てるように創価学会に勧誘し始める男性。通行人が呆れて立ち去ると、男性はまた瓦礫の中に戻り、大声で助けを求めるのだった。

 感想:上記の文章への記載は割愛してしまいましたが牙城会の部分とももの部分もめちゃくちゃ面白かったです。このネタは牛女らしさが全部詰まっていてとても良いコントだから色んな場所でやってほしいと思ったんですがよく考えたらしらすさんが創価をオープンにしていて尚且つ勧誘は一切しない人だという前提知識がないと素直に面白がれなさそうな気がするのでできる場所が限られそうですよね。自分が牛女ファンであるおかげでこのネタをストレートに面白がることができてラッキーでした。この台本を学会員ではない佐野さんが書いて学会員のしらすさんにやらせているという構図がもう牛女でしかありえないことで本当に尊いです。


コント⑥死

 内容:子持ちの売れない若手芸人が死んだ。自宅の仏壇で弔問客(佐野)が手を合わせている。遺された息子(しらす)は小学校中学年くらいだろうか。母親は別居しており、面倒を見てくれている伯母も外出中で今は家に息子一人しかいないと言う。弔問客が故人との思い出を語り始める。自分はお笑いライブ制作会社の人間で、仕事の繋がりで故人と親しかったこと。亡くなる直前に自分が主催するエントリーライブに故人が出演していたこと。その際のエントリー費2,000円を徴収できていなかったこと。そしてネタ中に舞台上で亡くなってそのインパクトで客票一位になり上位ライブへの出演権を獲得していること。大人の人が不在なら伝言を頼むと言い、弔問客は息子に一方的にこう伝えて帰っていった「故人の代わりに未納のエントリー費と上位ライブで披露する3分程度のネタを用意しておいて下さい」。

 感想:実際はライブ名とか固有名詞がんがん出てます。弔問客がおじさんはお父さんの仕事仲間で…と言うと息子が水道検針の?と聞いたり、エントリーライブを配信で見たことがあるという息子に面白かった?と聞くと口をつぐんだり、ディティールがいちいちあるあるで笑えます。普段見聞きするライブ主催者たちの強烈なエピソードとも相まって、実在するストーリーをちょっと誇張しただけだと言われても信じてしまいそう。


コント⑦老人

 内容:自宅が突然”ワンオペの何も知らないジジイが一人で切り盛りするPCR検査場”にされてしまったジジイ(しらす)と、”ワンオペの何も知らないジジイが一人で切り盛りするPCR検査場”であることを分かった上で検査に来ている人(佐野)。二人が何も分からないなりに探り探りでPCR検査をやってみることに。


コント⑧治験



コント⑨電気代

 内容:家に届いた電気代の請求書を見て、その金額のあまりの高さに驚く佐野。同居人のしらすに心当たりは無いかたずねると、使用量の問題ではなく電気料金の値上げが原因ではないかとのこと。東電への文句を言いつつも、これからは節電に努めようと言う二人だった。
 時計に目をやるとちょうど約束の時間に差し掛かっていた。しらすは椅子に座り頭に銀色の装置を装着する。佐野が大声で「白須康平死刑囚の死刑を執行します」と宣言して大きなレバーを引き下げると、高圧電流が流されしらすは喚き声を上げブルブルと震え、息絶えたかのように見えた。
 佐野が何事も無かったかのように日常生活を送っていると、しばらくしてしらすは意識を取り戻し、また死ねなかったわ、と呟く。そして電気代高騰の原因は度重なる死刑の失敗によるものだと指摘し、次回以降は電気代のかからない首吊りにしてはどうかと思案する。
 一旦食事を摂ろうとしらすが冷凍庫にあった弁当を電子レンジで温めてから取り出していると、その様子を見た佐野が、温め時間が短すぎる、電気代が高いのは業務用の1500Wのレンジを使っているせいじゃないかと激昂する。勢いのままにしらすをボコボコに殴り首を絞め殺してしまった佐野は、図らずも電気代ゼロ円で死刑を執行していた。


 感想:日常とファンタジーそれぞれはきちんと丁寧に描かれているのに、日常からファンタジーへそしてファンタジーから日常へ、何の説明もなく行き来する荒っぽさがたまらなく好きです。なぜこの人が死刑になったのか、なぜ死刑囚と執行人が共同で生活しているのかなどの説明は一切なくそういうものとして提示されている。牛女のコントって他のお笑いが手を出さないテーマをあえて選んでいたりフリとボケの落差が大きかったりで一見“ぶっとんでいる”ように見えるんですが、それが単なる突飛なアイデア・飛躍したストーリーで終わらないのは、台本が物凄く丁寧に作り込まれているからだと思います。こういう書き方をすると崇拝しすぎてキモいと思われるかもしれませんが、私にとっての牛女のコントって、ため息がもれる程美しい。


コント⑩津波

 内容:地震の揺れがおさまり、男性(しらす)が部屋に散乱した食器や本を片付けようと取り掛かったその時、スマホのアラートが鳴り津波の速報が届いた。詳細を確認すると、男性の自宅のエリアまでがちょうど避難勧告の範囲に含まれている。ひとまず逃げようと表に出ると、道路を一本挟んだ向かいの避難勧告が出ていないエリアでTOSHI(佐野)が記者会見をしていた。TOSHIの記者会見の内容はとても興味深く非常に引き込まれるもので、本来の目的である避難を忘れて夢中で聞き入ってしまう。そうこうしているうちに津波は男性のところ、ちょうどTOSHIの手前まで到達。記者の質問に真摯に答えるTOSHIの横で男性は波に飲み込まれていくのだった。

 感想:見る人によってはしんどいテーマかもしれないなと思いながら見ていました。性的なことや暴力的なこと、死に関わることはフィクションだと割り切って見るのに慣れているので不謹慎だと感じませんが、津波を茶化すのって、自分は大丈夫だけどいない誰かを想像して少しはらはらしてしまうかもしれない。TOSHIの記者会見って世代的に絶対通ってるはずなんですがなぜか見たことなくてどこからが本当でどこからがボケなのか分からなくて(分からないなりに楽しめはしたけど)後から調べて当時の動画を見てみたら、長いアゴがコンプレックスってフレーズとかもちゃんと本家が言っててそこはボケじゃないんだ、と面白かったです。

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