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2022年4月4日 牛女の新作漫才10本VS自分語り思い出ジジイライブ

牛女の新作漫才10本VS自分語り思い出ジジイライブ@阿佐ヶ谷アートスペースプロット
出演:牛女、イケナイ太陽、栗原、高木払い、大久保八億


12月、2月に続いて3回目の新作漫才10本シリーズ。前回同様、あまりにも凄すぎてどんな感想も陳腐に感じられて無言になるしかありませんでした。しかしながら配信もあるのでこの素晴らしい空間を少しでも多くのかたに目撃してもらいという思いもあり!結局ありきたりな表現にはなってしまいますが漫才10本全部が完璧に面白かったということを伝えたいです!!!配信の期限は4/18(月)23:59までだそうです(おそらく購入期限は4/18(月)21:59まで)。

おもしろ新ネタをハイペースでおろすようになったのは、牛女の活動全体が良いサイクルに乗ってきているのも一因としてあるのかなと感じます。主催ライブに安定した集客があって、ゲストとしてライブに呼ばれることで新しいお客さんにアプローチする機会もあって、信頼して幕間を任せられる芸人仲間がいて。面白いことをやっているからといって必ずしもこういった好循環に恵まれる訳ではないと思うので、非常に嬉しいことですね。




⚠️以下、ネタバレありのためライブや配信を見てないひとは読まないでね⚠️




















①カラオケが不評な理由
 創価ネタをライブの一本目に持ってくる牛女が!大好きだ!!!!こんなの絶対良いライブになるに決まっている!!!
 会話形式で始まる漫才で、佐野さんがツッコミ。最後にしらすさんが角田伸朗の漢花という曲(元の曲が分からなくてアーカイブ動画を見ながら検索した)の創価替え歌をワンコーラス歌って終わり。替え歌にする元の曲って多分本当はもっと有名な曲が良いと思うんですが、この曲は創価替え歌を作るために存在したのでは?と思えるくらい歌詞がばちんとはまっていて最高でした。Bメロに創価学会独自の用語や理念だと思われる言葉が詰め込まれていて少なくともその部分はしらすさんが書いたのかなと思いました。そして漫才の前半部分が、知らない曲の替え歌でも不自然に感じないような作りになっていて、牛女のコントの特に好きな点である「導入の丁寧さ」が漫才にも表れていて良かったです。


②扇風機付きの服が欲しい:使用目的〜相談〜試着〜値引き交渉〜支払い〜着て帰る
 佐野さんが扇風機付きの服を買いに行って、しらすさんがコントの外側からツッコミを入れるコント漫才。扇風機付きの服というテーマが良いですよね。扇風機付きの服って工事現場の人が安全のために夏でも長袖を着なきゃいけないから着てるだけで工事現場に行かないひとは半袖を着れば良いから別に欲しくないと思うんですけど、佐野さんだと扇風機付きの服でストリートスナップとか撮られてそう。



③ババア同士の喧嘩:枝の越境〜仲裁役〜息子〜旦那〜警察
 佐野さんが一人で何役もやって、しらすさんがコントの外側からツッコミを入れるコント漫才。息子の悪口が特に面白かったです。佐野さんがブログに、本当はお笑いなんかやってる場合じゃなくて権力に抗うための行動をしないといけないのにみたいなことを書いていて、この漫才のオチがその葛藤への一つのアンサーのように感じられて熱かったです。お笑いを通じた左翼活動。ご本人としては表現にとどまらず実力行使しなきゃってかんじなのかもですが。


④広いスーパーで品物の置き場が分からない時:全然無くて〜バイトの人じゃないか〜いたるところに〜こっち〜健康は買える
 会話形式の漫才。しらすさんのお喋りに出てくるワードを拾って、〇〇と言えば〜と全然違う話題に繋げる佐野さん。佐野さんの話は全てあるジャンルに通じていて、それが佐野さんの思想そのもので、でも思想が強すぎてまともに会話ができない奴っていう俯瞰のお笑いで、そんなお笑いをやる牛女が、、本当に好き。
 オートミールって確かに売り場を探す商品のチョイスとして一番ちょうど良いと思うと同時に、牛女しらすはオートミール絶対食わないだろとも思っちゃった。



⑤レジ袋の貰い忘れ:かわりにあげる〜夫〜電話〜かわりにあげる〜応援〜次のお客様〜レジ袋無しで持って帰る
 しらすさんが買い物客役、佐野さんがレジの店員役のコント漫才。牛女が本格的に漫才に取り組み始めてまだ一年も経っていないのにスーパーマーケットの設定のネタがやたらあるのは何かこだわりがあるのでしょうかね?作りやすいから選んでるだけ?漫才をいっぱい作ってみての佐野さんの感想が聞けるライブなどあれば面白そうです。
 世相を斬る!みたいな文脈じゃなくボケの一部として男根中心主義のワードが出てくるの、牛女しかやらない漫才をやっているの象徴というかんじでたまらないですね。



⑥漫談中に歌うと…:星野源の恋〜DA PUMPのUSA
 新作漫才10本ライブで恒例となりつつある、明らかに漫才とは言えない形式のネタシリーズ。今回は遂にしらすさんが舞台上にいないまま始まって佐野さんが漫談をしていました。
 


⑦ソーイング教室:先生の自己紹介〜エアコン〜窓〜才能がある生徒〜前職〜雨
 佐野さんがソーイング教室の先生役で、しらすさんがコントの外側からツッコミを入れるコント漫才。このネタに出てくる変な人は他の牛女のネタに出てくる変な人よりもやや現実寄りというか本当にいてもおかしくなさそうな範囲のおかしさで、つよつよボケを言わせるための箱ではなくてちゃんと人間味のあるキャラクターに感じられるのが良いと思いました。



⑧マンション建設反対運動:最初に話しかける人〜町内会長〜座ってる人〜のぼり〜説明会
 佐野さんが一人で何役もやって、しらすさんがコントの外側からツッコミを入れるコント漫才。最後の説明会の部分が特に凄くて、説明会というテーマからあのボケを考え出したのかボケ先行で設定に当てはめたのか?どちらだとしても天才すぎると思いました。牛女が活動してくれる限り今後もお笑いでこの感覚をきっと何度も味わえるんだと思うと生きる意味しかないです😭😭
 私は建築業界と不動産業界を経験しているので、国立マンション訴訟やル・サンク小石川後楽園などの過度な反対運動に対してどうしてもデベ側に肩入れして見てしまうんですよね。だからこの漫才のオチの突き放し方も痛快で良かったです。要望を主張する権利があるのは当然だけど不合理な因縁を付けて妨害するのであれば、そういうヤバい奴らが住むエリアとして人が寄り付かなくなって彼らが所有する不動産の資産価値も下がれば良いと思う。



⑨自転車撤去の人の一日:寝言〜住環境〜朝の過ごし方〜テレビ〜ラジカセ〜同僚の死〜撤去された人〜移動〜集積所〜飯
 佐野さんが自転車撤去のジジイをやって、しらすさんがコントの外側からツッコミを入れるコント漫才。



⑩スロットをしてみたい
 「俺スロットやったことないから一回やってみたいんだよね」「じゃあ今日は気分だけでも味わわせてやるよ」「こんなところにスロット屋があるな、入ってみよう」ウイーンみたいなドベタな入りと、その先の漫才ないない。昨年M-1グランプリに初めて出場するにあたって「ちゃんと漫才師っぽい衣装を着る」という社会性を身につけたと思われた牛女でしたがこのネタの衣装と小道具がめちゃくちゃ適当で、いかに最小限の支出でネタを済ませるかの精神はまだまだ健在でした。
 しらすさんはこのネタのセリフの順番を全然覚えられなくて、間違えずにできるか自信が無かったと言っていました。ネタを見ていてしらすさんのセリフは大きい流れだけ決まっていて細かい部分は任されているのかと思っていたので、そんな緻密な台本だったんだ!と思い、ふざけたかんじのネタとの対比が面白かったです。

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