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遠くへ行ってしまったあなたへ。

「幸せにしてくれて、ありがとう」 これだけは絶対に言いたかった。 あの日、一番最初に別れを言われたその時に言えなかった言葉。 私は確かにあなたを思っていて幸せだった。 一緒に居られて幸せだった。 あなたのことを考えて過ごした日々は間違いなく幸せだった。 あなたと笑いあえた時間は確かに幸せだった。 あなたとの話をみんなとしていた時間は本当に楽しかった。 あなたを思って泣いた日も、私を想って言葉を濁した瞬間も あなたを恨んだ日も、もうあなたのことなんてどうでもい

    • 燕子花

      何回も繰り返した「さよなら」が、自分をこれ程までに傷つけていたことに気づいたのは、もうずいぶん嘘の笑いがうまくなった後だった。 「いってらっしゃい」 そんな風に送り出して。 静かに閉じたドアの内側で情けなく泣いたりした。 「いかないで」なんて言えるわけもなくて。 「一緒にいてほしいなんて」お願いできるわけもなくて。 ただただ頬を流れる涙を感じながら、誰にともなく笑ってみせるのだ。 自分の気持ちは嘘ではなかったんだと。 恋に昇華したこの想いだけはきっと嘘じゃなかったんだと。

    遠くへ行ってしまったあなたへ。