医療費削減について、論を飛躍させて考えてみた②

前回の医療費削減について①、の内容を簡単にまとめると、
・予防的視点を獲得することが医療費の削減につながる。
・健康な状態で予防的視点を獲得させるべきである。
・それを可能にするための「教育医療」。
・「教育医療」を実現するために3つの必要事項がある。
このような話を書いていました。
今回は「教育医療」実現のための必要事項の一つ、「予防医療教育の導入」について考え、書いていきます。

まず、一つ質問をしましょう。
『あなた自らがどうやって生きているか説明してください』
こんな趣旨の質問を無垢で好奇心旺盛な子供から投げかけられたとします。
あなたはどう答えるでしょう?
とても抽象的な質問で、答えもそれぞれだと思います。人によっては抽象の度が過ぎて答えられないかもしれません。
仮に私が答える場合でも、社会的、経済的、生物学的、その他色々な視点、切り口が考えられ、いざ答えろと言われると言葉に詰まるかもしれません。

では、質問により具体性を持たせて、
『あなた自らが“生物として”どうやって生きているか説明してください』
と文章を改めてみましょう。
こうなると、呼吸をして、食事をして、睡眠で休息して、など答えることができるようになるでしょう。
しかし、相手は子供です、無邪気にその内容を掘り下げる質問を続けてきます。
その時、呼吸の仕組み、食事から連なる体内の活動、睡眠のメカニズム、などを説明することはできるでしょうか?私もすべてを説明することはできません。
つまり、私たちは、自らがどうやって生きているか、その仕組みをほとんど知らないといえるのです。
もちろん、医療関係者や研究者、アスリート及びそれらに関連する分野の方々はその知識を持っていると思いますが、社会に占めるその割合は多くはないでしょう。

人の行動は持っている知識によって限定されるといいます。
とても簡単に言うと、知らないことはできない、ということです。
そのため、健康を維持する行動のためには、健康についての知識、ひいては自分の体の正常な状態の知識が必要になると考えます。
その知識を修得し、結果として予防的視点を獲得しようというのが「予防医療教育の導入」の目的です。

前置きが長くなってしまいましたが、具体的内容について書いていきます。
予防医療教育は義務教育の九年間で完成とします。
学問分野としては、生物学、生理学、医学、病理学などの生物的医療的学問分野の初歩的知識をできる限り広範に扱います。
教育内容によって段階を四つに分類します。低学年期、中学年期、高学年期、中学期の四つです。

低学年期は、身体や生命活動についてのごく簡単な概要の理解を目的とします。例えば、息をするのに肺を使います、食べたものは胃でバラバラにされます、といった内容です。
しかし、ただ座学的に教えるのでは身に付きません。そのため、自らの体や模型などを題材とした体験型の学習を行います。興味を刺激するということを主眼として、教育プログラムを組みます。

中学年期は、低学年期の内容の深化とより詳細な理解を目的とします。また、筋肉、骨と運動や、成長と食事などについて知識を付与していきます。これらは、体育や家庭科などと連携して、実践的体験学習を行います。

高学年期も中学年期の内容の深化を行います。加えて、生活の中でよく見聞きする疾患について学習を行います。例えば風邪、インフルエンザなどのウイルス疾患や、頭痛腹痛などです。

中学期も以前の内容の深化は続けます。しかし、主題は三大疾病や生活習慣病のメカニズムの概要などに移行します。また、生殖や老化、死などについても扱います。それらのメカニズムを理解したうえで具体的な予防方法などを病理学や栄養学などの観点から学習を行います。

予防医療教育は九年間で完成ですが、中学三年次は受験等もあるため、新規知識の習得を無くし、既存知識の定着を目的とした期間とします。
そして、予防医療教育は成績を付けず、受験科目ともしません。あくまで教養知識として取り扱います。そのため、授業も頻度を低めとし、大学では3年以下で完成する内容を、理解能力等も鑑み、9年間で行ないます。

以上が、「予防医療教育の導入」です。
現在、高校進学率は、ほぼ100%となっているため、高校でも予防医療教育を実践すべきとも考えたが、高校では生物学の科目があるため、そこでより詳細な内容については補足を行うというのが理想的と考えた。
しかし、この内容を現在の教育カリキュラムに組み込む、付加するというだけであれば、これは間違いなく失敗するでしょう。
それを防ぐために、2つ目の必須事項として「教育の改革」を行います。

次回は、「教育の改革」について書こうと思います。

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