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曲のミックスバランスを整えるために見落としがちな「当たり前」のことについて【DTM初心者向け】


僕はでっかい音が大好きだ。
ミックスでもとにかくでっかい音にしたがる。

でも、ある時気がついた。

「あれ、なんかそんなにでっかく無くね?」

その気付きから考えるミックスについての至極当たり前だけど見逃しがちな要素についてのお話。


❶ミックスの一番大事なところ


ミックスという作業を聞いた皆様は何を思い浮かべただろうか。

EQ処理とか、コンプレッサーとか、リヴァーブとか、トランジェントピーク処理とか、何かカタカナや英語のクールで小難しい言葉じゃなかっただろうか。

ミックスで本当に大事な部分を考えた時、この手のカッコイイやつはマジで結構どうでもいい。

音作りの時点でのEQやコンプ、これは比較的大事だろう。でもミックスに於いてはそういうのの10億倍大事なことがある。

それは【トラック毎の音量】だ。

は? と思った方も居ると思うけれど、こんな当たり前に気付くのに僕は結構時間がかかった。理由もちゃんとある。

Googleで「ミックス コツ」とか調べて見て欲しい。
ググッたら分かるんだけど、どのサイトも音量調節の部分が何故かサラッとしか触れられない。

僕の知るサイトのほとんどは、二言目にはEQだコンプだリバーブだと言い出す。
だから僕も大事なのはそちらで音量調節はノリでやればいいか、と思ってしまったのだ。

今ではハッキリ分かる。音量調節がほぼ全てだ。そこからの色んな要素はもっと良くする為のエトセトラであり、音量調節が出来てないうちからそんなのやってもしょうがない。スポンジがクソ不味いショートケーキみたいなものだ。

だからみんな、まずは音量調節をやろう。

❷ミックスはお弁当箱

音量が0dbを超えると音割れする。なので0db以内に収めるようにしよう、というのは当たり前の概念なのか全員が知ってる。

ミックスというのは容量が決まってる箱の中にどんな感じの料理を詰めようかなって作業だ。


冒頭でも話したけれど、僕はでっかい音が好きなので、大きな音を作る為に色んな楽器を大きく入れて最終的にリミッターで抑え込む、というのをずっと続けてきた。でも、それでは大きい音にならないのだ。

これは何故かと言うと、聞く側に音量調節されるからである。

10しか入らないお弁当に無理くり12入れたとしても、リスナーはサッと10くらいの音量に下げる。
なので極端な話、音を大きくする為にめちゃくちゃなリミッティングをするというのは極めて無駄な行為だ。

まあ、それでもやはり一定の音量を確保する為にリミッター使うのだけれど、無理やり12も15も詰めるのはやめよう。
変な音になるし、多分キック辺りが割れる。

でっかい音を作るにあたって大事なのは10しか入らない弁当箱に15とか詰め込むことじゃない。
聞かせたい楽器のバランスを考えることだ。


ここに10の音量が入るお弁当箱があるとする。
僕はギターの音が好きだからギターを大きく聞かせる曲を作ったとしよう。

ギターが大きい方がいいから5は必要だ、ドラムは大事だから4、ベースは1だと聞こえないなぁ3にしよう。あ、ボーカルもあるね、ボーカルは3にしよう。
あ、15になっちゃった。まぁ、いいか。Ozoneのリミッターがなんとかしてくれるでしょ。

これが音がでっかくならなくて悩んでる時の僕の思考だ。そして完成するのは言うほどギターの大きくない曲だ。

何故このやり方ではギターが大きくならないのか。

今、僕は15のうち5をギターにしてリミッターを掛けた。お弁当箱は10の大きさだから15は無理やり10になる。約2/3だ。

つまりギターも当然2/3の3.3くらいになる。

本来はギターを5で聞かせたかったのに、無理やりなリミッターや無計画な音量調節が招いた結果だ。

ではどうすれば良かったのか。

「ギターを5で聞かせる」のがコンセプトならギターを5にした時点で、他の楽器やボーカルの音量を諦めればいいのだ。仕方ない、お弁当箱は10のサイズしかないんだから。
ギターを大きくするんじゃなくて、他を小さくする。これが大事なのだ。

これを《引き算の思考》と言うらしい。誰かが言ってた。

結局、曲の中の音量というのは極めて相対的なものだ。小さい音があるから大きい音だと認識出来る。
実際そういうコンセプトの曲だとボーカルがギリギリ聞き取れるか否か、みたいなミックスな場合もある。

だからミックスをする時には『何をどれくらいの音量で聞かせる』のかをハッキリさせるのがとても重要だ。
それがミックスにおける音量調節である。


❸迫力は音量じゃない

とは言っても、やはりこの世には迫力のある曲というのが存在する。
どの楽器も際立っていて粒立ちがあってでっかい音。

それを実現する為には、迫力がある曲の楽器のバランスを覚えるのが手っ取り早い。

さっきはギター5で〜とか言ったが、多分それをやるとうるさいだけで迫力の無い音になると思う。ギターはでかいけども。

なのでまずは好きな曲を色んな音量で聞いて、バランスを覚えると上達しやすい。

この時のコツは、何か音量の基準となる1つのパートを決めることだ。
例えば、ボーカルの音量と比べてギターはどれくらいの音量だった、という具合に。

人間は複数の音のバランスを認識するのは苦手だが、1対1の音のバランスを把握するのは出来るらしい。

なのでまずは1対1を何度も繰り返して、参考曲のバランスを掴んでいこう。


❹まとめ

ミックスは
①EQとか弄るよりも先に音量をバッチリと決める
②音量調節は計画やコンセプトをもって望む
③自分が好きなバランスを掴む

これがとっても大事!!


・最後に

ここまで読んでくれてありがとうございます。
僕の言っている事は僕の経験や知識を元に話していることで、多分に正しくない情報が含まれていると思います。貴方にとってプラスとなりそうな部分だけを抽出していって下さい。

もしこの記事が役に立ったなら、貴方の持っている哲学や理論を追加して、また誰かに伝えてあげてくださいね。

皆さん、楽しく音楽をやっていきましょう!

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