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京都魔界めぐり その2 鞍馬寺・貴船神社

ところで、京都の魔界ですが、それはどこから?

平安京以前の都は710年に遷都した平城京でした。が、天智天皇系の50代桓武天皇は旧勢力(天武天皇系天皇に仕えた貴族や大寺院)排除のため784年に奈良から京都盆地南西部の山背国の長岡へ遷都を宣言します。

そういえば平城京から平安京への遷都の前に長岡京って名前は聞いた記憶があるなぁ。いつの間に長岡京は消えたんでしょう?ここに魔が関係しているんですねぇ。

長岡京は造営に着手したものの、旧勢力により造営責任者の藤原種継が暗殺され、これに連座した疑いで桓武天皇の弟で皇太子の早良親王が淡路島へ配流中に死亡、その後桓武天皇が見舞われた不幸な出来事(母后・后の死、皇太子となった安殿親王の病、疾病の流行、洪水など)は早良親王の怨霊の祟りだとしてこの地を断念しました。

その後に選んだのが京都盆地の北のはずれで当時は周囲を山に囲まれた辺境の地、この山々を自然の城壁とみたようで国名を山城国に変えて794年に平安京と命名して遷都します。

日本の都は中国の長安や洛陽がモデルで、平安京は基本構造は平城京を受け継ぎましたが、中国と違い朝廷に敵対する異民族がいないため城壁の建設は不要でした。異民族と違い怨霊は目に見えないので城壁は役に立たないと考えたようです。

ではどうやって怨霊から守ったか?平安京は陰陽道の風水思想にのっとり四匹の神獣を東に青龍、西に白虎、南に朱雀、北に玄武と配置、陰陽道では鬼は艮(うしとら)=北東からやってくると信じられていたので、北東に鬼門として天台宗の比叡山延暦寺が。

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現地の地勢を神獣に見立てています。(諸説あり)
巨椋池は干拓して現在はなく、木嶋大路は認められていないそうです。

平安京造営中には東北地方の蝦夷征討も重なり、負担の重さから民の不満が強くなった結果、805年平安京の工事は中断され未完成のまま造営を終えました。

土木工事を未完にしてしまった結果、京都盆地は北東から南西に向かって土地が傾斜しているため、右京(西)では洪水の被害が多く人が住まなくなり、平安京は左京(東)を中心に発展します。バランスが崩れたんですね。
結局、四神の防衛は役に立たなくなり、平安京は異界と人間界が混在する空間となった、そうです。。

史実と空想が入り混じってますが、平安京の魔界の入り口についてはこんなところで。


さて、丸一日使える2日目。幸い、台風は近づいてくるものの午前中は天気が持ちそう。鞍馬寺と貴船神社へ行きたいというのでそちらに向かいます。京都駅から行き方はいろいろありますが、地下鉄とバスで1時間少しのところ。京都市左京区内。

事前知識としては鞍馬寺は源義経が天狗と修行?していたところで、貴船神社はパワースポット(私はこの旅行時に知りましたけど)ということぐらい。なんか隣でいろいろ言っていた気もするけど。

京都駅から地下鉄烏丸線に乗ると当初は混雑していた地下鉄からだんだん人が少なくなり、降りる頃には人はまばら。バス停に行くと今にも雨が降りそう。バスはほぼ観光客で満員だけど、山に向かうのでだんだん寂しい風景に。晴れてればもう少しピクニック気分でいい景色が見えそう。

貴船口で大半の人が降りて貴船神社に向かうのでしょう。バスはそのまま鞍馬寺へ。我々は逆に鞍馬寺から貴船神社に向かいます。

鞍馬でバスを降りるとすぐに鞍馬山をバックに鞍馬寺があります。
http://www.kuramadera.or.jp/annai.html

鞍馬寺参道

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本殿まで上りは歩きコースもありますが、鞍馬山ケーブルで行けるところまで。ケーブルの距離は短いですが、鞍馬寺から貴船神社まで体力温存。


本殿金堂・金剛床

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ケーブルを降りてから少し歩くと本殿金堂です。
突然、目の前で女性が靴を脱いで裸足になり、両手を広げている姿が!
(六角形の上)
夫いわく「宇宙と交信してるんだね」。どういうことでしょう?

鞍馬寺でいただいた栞には以下が書かれていました。

太古から護法魔王尊(活力)のエネルギー(元気)に満ちた鞍馬山には、その気をうけて多種多様な「いのち」が安らぎ、豊かな自然が育くまれてきました。この地に奈良時代末に毘沙門天(光明)が、平安時代初めに千手観音菩薩(慈愛)が祀られて寺院の形が整い、多くの人々が真摯な祈りを捧げ続けています。
鞍馬寺は、この三尊を三身一体の尊天(宇宙エネルギー)として尊祟しています。

これですね。ここは宇宙と交信できるところなんですね。交信しないけど、なんだったのか一応わかりました。

ここには文化財や他の建物もありますが、魔界巡りが主目的なのでスルーしてここから約1.5キロの山道を歩いて貴船神社へ。距離が短いからと甘く見ていたら台風がくるので蒸し暑くて、思ったよりきつい。
山の中は2018年の台風21号で倒れたままの巨木もありました。HPにも森の再生にはまだ時間がかかると掲載されています。


途中にある背比べ石

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鞍馬寺では牛若丸(源義経)が修行していました。鞍馬から奥州に去るときに名残を惜しんで背を比べた石だそうです。

ところで、山は都や里に対する異界で怪奇現象が頻繁に起こる魔所で、ここ鞍馬山の僧正坊・もとは天台宗の壱演僧正は修験道に取り憑かれ、鞍馬山の奥ノ院に棲む天狗・魔王尊に弟子入りして自ら天狗となりました。鞍馬寺に幽閉されていた牛若丸に武術を教えたのが僧正坊との言い伝えがあります。
仏教側からすると修験者や僧侶の天狗の神通力の利用は仏道を踏み外した邪道ということになります。
もちろんHPにはそんなことは書いてないですね。

山道は最初上りで途中から下り。滑りやすくなるし、蒸し暑く汗はかくうえに、水分を持って歩かなかったので最後は足を止めると痙攣しそうで止められない。痙攣しそうなテニス選手の気持ちがわかりました。山歩きには水分は必須です。
でも雨が降る前に行けて本当に良かった。雨の後だと滑ってさらに大変。

なので、到着後に食べたソフトクリームは歩いた満足と共にとっても美味しかった。歩いた甲斐がありました。


貴船神社

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パワースポットと縁結びで有名な貴船神社は鴨川の上流にあり水の神様の高龗神(たかおかみのかみ)を祀っています。参拝客が多く、スペースは広くないので日曜日だし混んでます。この行列の先に厳しめな水占みくじがあります。

http://kifunejinja.jp/info.html

ここ地名としては「きぶね」ですが、神社の読み方は「きふねじんじゃ」で濁らないで発音します。湧き出るお水がいつまでも濁らないようにという祈りをこめているとのこと。

パワースポットのいわれはこれでしょうか?(HPより)

「きふね」は万物のエネルギーである氣が生じる根元の地、という意味で
「氣生根」でその御神氣に触れるだけで元気がよみがえるといわれている。
元氣回復すれば運氣も上がる、まさに「運氣龍昇」の神が鎮まる地であり、古来、運氣発祥の信仰が盛んで、色々な願い事で人々は参詣している。

氣を感じるというより人が多すぎて人混みなんですけど。

貴船神社の縁結びでは和泉式部の伝説。歌人の和泉式部が心が離れた夫の浮気に悩み(和泉式部も恋多き歌人でしたが)貴船神社に参詣して、夫の愛情を取り戻したそうです。

で、貴船神社の魔ですが。
平家物語異本の剣巻で嫉妬に狂った女が貴船で丑の刻参りの願かけをしたところ、貴船の神から鬼神に変わる方法を告げられ従ったところ、生きながら鬼となった(宇治の橋姫)。恨み相手だけでなく誰彼かまわず襲うようになり、最後は一条堀川の戻橋で渡辺綱に腕を切られ、愛宕山に逃げ、綱の手元に残った鬼の腕は陰陽師の安倍晴明に封印された。ちなみに最初の丑の刻参りから安倍晴明に封印されるまで200年ほどかかってます。

「宇治の橋姫」って源氏物語の宇治十帖内の和歌にも出てきますが、鬼神じゃないです。後世に書かれた平家物語の原本でなく異本(読み物として編纂されたもの)で鬼神にされてしまったらしい。

なお、Wikipediaで丑の刻参りを見ると、「貴船神社は24時間開門していないため実際は着手不可能である」と書かれています(笑)。

貴船神社参道
ちょうど和服の方がいて風情がありました。川沿いのお茶屋さんでレンタルできるみたいです。

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本来ならこちらから参拝しますが、我々は逆から入ったため、こちらから出てきました。。。

貴船口まで戻り叡山電鉄で次の魔界いえ市内の中心部へ。

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