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公正取引委員会の損保4社への課徴金命令について

2024年8月6日の日経新聞に「損保4社課徴金命令へ」と記事にありました。損保4社が企業向けの保険で事前に価格調整をしていたことが問題で、公正取引委員会は独占禁止法の疑いがあるとして、損保4社に計約1億5千万円の課徴金納付などを命じる処分案を通知したとあります。

この保険は「共同保険」と呼ばれる引受けかたで保険金額が大きすぎて1社では保険契約が出来ないものを数社で一つの契約にする手法です。

そもそも、損害保険は「損害保険料率算出団体に関する法律に基づくカルテル」や「内航海運組合法に基づくカルテル」等の様にカルテル適用除外が一般的な取引形態であります。

なぜなら、損害保険会社が過剰に価格競争になり、保険料の引下げ合戦をして、正しい保険料が集められなくなり保険金が支払えない状態になったり、その逆で損害保険会社が特定のリスクに対して過剰に高い料率を課して、保険に加入したいが加入できない状態(アメリカにおいて一時期のPL保険)にならないように、カルテルは必要なのです。

それよりも問題なのは大手企業が自分の子会社である損害保険代理店で保険契約をする事です。自分の為にする損害保険代理店を規制する自己特定比率は存在しますが従業員が特定者にならない等で形骸化されています。

その為にリスクマネージメントの知識が無い、関係ない部署で働いていた人が子会社の損害保険代理店に出向して損害保険会社の担当者の言いなりに保険契約をしているのが実態で、これでは、リスクマネージメントの専門家は育ちません。

日本の企業でリスクマネージメントを専門とする役員・部署を設置している企業は、まだ、多くないと思います。

今回の問題は、損害保険は、そもそも競争にはむかない分野である。旧ビックモーターの時にも指摘した通り「利益相反がある会社を損害保険代理店にしている」が、問題の本質だと思います。

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