明治モダン歌劇「恋花幕明録~前日譚~」感想

知っているキャストが多いから見に行ってみるかの気持ちで行きました。
乙女ゲームが苦手のため、原作に触れてません
(すみません)

余談、公演時間3時間(休憩10分)に10分⁉短っ!と思ったけど体感15分ぐらいあった(?)


◆内容

アプリゲーム「恋花幕明録」の前日譚として公演された今作。
恋愛的要素は一切なし。

新選組の斎藤一を主人公とした激動の幕末の話。
国を思う強い信念と忠義がぶつかり合うシリアスな話の中、歌とコミカルな会話が効いて最後まで集中力が途切れることなく見られました。
オープニング・エンディングなどソロ中に役名・キャスト名が映し出されるのが大好きなのでテンション爆上がり。
あと演出家繋がりで「扉が動いて花紋が映し出される・人が現れる」という演出が多かった印象です。
最後の立ち位置やポーズが齋藤 対 土方の構図となっていたけど、ゲームはその流れになるのかな。

舞台の内容としては一旦完結しており、続編を作るとしたら原作に沿う2.5として正しい形になるのではと思います。
個人的には楽しめましたが、原作ファンの感想が気になるところ。

◆キャラクター

斎藤  一:木原 瑠生

歌うま…
知っていたけれど歌が上手い。
一の回想という形で話が進んでいくけれど、主体的に物語を動かしていくというよりは時代がどんどん動いて行ってしまうので観客は彼と同じ目線で
物語を追えるのかな。
役柄の青年性と役者のイメージが近くて好印象でした。
近藤さんのアドリブ(二回目でも近藤さんは格好いいです)にも全力だけどあからさまに媚びてなくてかわいい。

土方 歳三:上田 堪大

時代に吞まれていく鬼の副長。
舞台後半の歌声が澄んでいてとても綺麗でした。
荒々しい一面と近藤さんを失った後の脆さが表裏一体で、今後を示唆するエンディングがつらい。

木戸 孝允:北園 涼

飄々とした食えない性格の中にも義に篤いことや、憎まれ役を引き受けるところが大変ズルく、大変人気ありそう(適当)
あまりの細長さに細長いなって何度も思ってしまう程のスタイルの良さ。
歌も演技もとても良かったので、休演が勿体ないけど仕方ない。
原作では舞台中で話していた恩師を処刑した人物が登場していて新たな闇を想像してしまった。

西郷 隆盛:spi

歌うまぁ…知っていたけれど歌が上手い。
さすが演出もポストするだけの歌唱力。
利秋のエピソードや近藤との一騎打ちからも窺えるように人望と命を預けるに値する人間性が体現されていたように思います。
個人的には原作ファンに感想を聞きたいキャラ No.1

桐野 利秋:坪倉 康晴

前世は犬だと言わしめるほどの忠犬力。
「(西郷)さーーーーん!!!!!」や包帯を絞めるときのアドリブなど、彼のシーンでの笑いが一番多かったのでは?
役者さんにアドリブが多いイメージがなかったのでちょっと意外でした。
西郷さんに一身に尽くす様と木戸にきゃんきゃん噛み付くやんちゃさなど犬に例えられるのがよく分かるかわいさでした。

ウィッグぶっちぎりでやばいなってポスト見るたび思ってたけど、元々の形が複雑なんだね…(フォローにはならない)

勝 海舟:川上 将大

幕府側の人間として政府軍として交渉するなど、個人的には齋藤一と並ぶぐらい大きな役どころの印象。
演技はとてもいいのに、歌唱力の面で勿体ないと思いました。
あとメインビジュアルの白い衣装の時間が短くて、それも勿体ねえ~!!
ゲームにも和装衣装あるのか不明だし、前日譚という設定上仕方がないのは分かってはいるけど自分がキャラファンだったら驚くぐらい短い。

榎本 武揚:輝馬

歌うま…低音の伸びずっと聞いていたい。
己の信念に生きる様が格好良く、「顔に似合わない」と言われるほど好戦的なのも好きだし、ビジュアルも良いのでもっと出番を!!!と懇願したい。

近藤 勇:宇野 結也

事前の宣伝動画でオリジナルキャラクターというのを知っていなかったら、物語に存在していると疑わせない違和感のなさと説得力があるのがすごい。
ばくおぺの新選組を引っ張っていくのがこの近藤であるというのが描かれていると思います。
世間一般的な近藤像との親和性(?)
種に支配されることはあっても、決して味方を傷付けず武士としての死を望み受け入れることで肉体としても死せるというのは美しい最期だった。

森 鴎外:京典 和玖

すぐ抱きしめちゃう系男子。
元々メインビジュアル最高だなと思っていたけれど、実物が細くて薄すぎて目を疑う。内臓とは??
キーパーソンではないも、人物像としても物語を補佐してくれていた印象。
達観しているように見えて慈悲を持つ人物に見えます。

エドワルドとずっと何かある関係性を匂わせていたけれど、まさか兄弟だとは思わなかったし、そしてこちらが兄とも思わなかった。
エドワルドとのシーンが多い分、どうしても比べてしまうので兄としての説得力が弱いように感じました。
冒頭など奇抜を演じるときは大層若く見える(狙っているかは不明)のでエドワルドと二人で話しているときは大人びているようには見えたかな。

エドワルド・スネル:藤田 玲

歌うっま!!圧倒的な歌の上手さに改めて驚く。
無邪気さと何を考えているのか分からない笑顔と、ジョンに見せる脆弱性に一気に手の平を返す冷酷さ、演技の圧がすごくて登場すると「何かあるぞ」とゾワゾワする物語を率いるキャラでした。
彼らの幼少期がどんなものであったのかなんとなく想像できるものの、理想とする世界がどんなものであるかはあまりよく分かりませんでした。
通路を通った時にとてもいい香りがした。

思ったこと

前日譚ということで物語を作り上げるのが難しかったのではないかなと勝手に想像しましたが、ここから主人公となるプレイヤーが入って原作の世界が完成していくと思えば味わい深いのかもしれないです。
歌が上手いキャストが多く、劇場で見て良かったと心底思いました。
史実ベースなので歴史をもう少し勉強して行った方が良かったかもとちょっと後悔。
繰り返し見るのには歴史的なストーリーが重くてきついかもしれないけど、もう一回見たいと思える舞台でした。
続編は内容的に難しそう。
ヒロインを登場させるなら可能かも。

2024/2/24 13:00 公演



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