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さくら前線ツアー 前半

きっかけ
4年前。初めて車で鹿児島まで旅をして、季節は冬から春になった。
桜並木をゆっくり進んでる時、「桜の開花を予想して桜前線ツアーしたら面白そう。日本各地の開花のニュースに全部このよのはる映ったりして」と何気なくしょうごが言う。
その話がずっと頭の中にあって機会を待っていた。

桜の咲き方は、日本の南から北まで薄い布が風でなびいたウェーブのイメージ。
フワッと包まれながらくすぐったいうちに、あっという間に風は止み布が取りはらわれ。
現実が、ばん!とクリアに見え夏の準備が始まる。

そのウェーブを追っていくと、その空気や感覚に近づくかなと思っていた。
生も死も溶け合う目に見えないものに惹かれる。
このよのはるという言葉があって、その存在になろうと引っ張られる動きを自然にしてしまうことはよくある。言葉ってすごい。

桜の時期の3、4月で全国を回りきるのはとてもハード。
いつでも出来ると思っているけれど、5年間このよのはるで色んな旅をしてきて、精神的にも体力的にもこのツアーをするならあと3年の間がいい。
そして時期。
ツアーや路上がしづらくなって、タイミングを伺っているうちにあれよあれよと3年くらい過ぎちゃいそうな。
どうみんな過ごしているのか、今何がどうなっているのか、各地にいる知り合いに会いたくなった。
モヤモヤしている空気をひっくり返してみたい。このよのはるでライブすることで、一瞬でもそこにいた人が今がいちばん楽しい!と思えて満ち足りる空間になるのをしっている。それは春に似合う。
けれどライブがなかなか決まらない不安もあり、全て治ってからツアーしたほうがやりたいことが思う存分やれるとも考えていた。

今ツアーをすることはどんなことなのか。
わからないことが多い今を、このよのはるにとって一番いいツアーの時期と思った。
旅はいろんな思いを連れて、流れに乗っていくことかもしれないから。

2月。桜前線ツアーの旅支度の企画を東京で行い、たくさんの人の協力のもとツアーをあたためて出発した。

ツアー中の面白かったこと

・「このよのはるという言葉はただハッピーで幸せだけじゃなく、暗さや死などの意味もあるよ」と鹿児島のおしゃべりおじさんに言われた

・途中から逃げてきたものに向き合う、しょうごのカルマを解く旅へ

・新しいことに触れると楽しい

・日本海の荒波を初めて見た

・四国はお祭りを待っていて、期待している空気を感じた

・結婚や出産の話がすごく多い

・卒業や転勤の時期、記念に絵を描いて欲しいと言われ、その人たちの人生の中で大切な場面にたまたま関われた

・一緒に旅したヒロさんは全部を受け入れてポジティブにしていく旅のプロ

・久々に会った人は生活スタイルはそれぞれ変わっていたけれど、印象は誰も変わってなかった

・大阪で昔ライブをしたお店に久しぶりに行った。同い年の店長と当時お互いバチバチしてしまったけれど、時が経って打ち解けたのが嬉しい。

・二人とも大人になったねと言われた

・南下中に愛媛で桜の満開とすれ違う。桜三里という山の道、ずっと続く桜と朝もやの空気がとても素朴にマッチしていた

・出会う多くの人がライブを見て、春が来た!と喜んでくれた
他にも、たくさんある。

このスピード感での移動は今まで初めて。毎日初対面の人たちと夜中まで話し、毎回新しいライブの内容を考え、食事や寝る場所を見つけ、車を走らせる。
ふと自分たちは何してるんだろうと思って、お互いを励ます時間が増えた。
首の痛みが続いて、ついに寝返りが打てなくなり病院へ行った。

残り少ない精神と体のエネルギーをパフォーマンスに込め、西日本を廻り切れたことにほっとした。
そして桜と一緒の北上を諦めた。

桜のツアーは大切にしていて文字に残そうとしたが、自分にとってなんだったのか本当のところ分からなかった。
時間が経って見えてくるのかも。

毎日景色は変わって、そのときどきで色々なことを考えてた。
でも直撃していない。感じていたけれど、感じていない。
生きていくために体と心のどこかがニュートラルでフラットへ変わっていったように最近感じる。

路上も旅も、ゲリラも、その場に溶け込むことも感情の変化にも慣れてきた。左右され過ぎなくなった。
どんなことが起きてもわりとだいじょうぶ、ぐにゃぐにゃ形を変えてよみがえる。

このことを私は大人になっていくことだと思った。
だから喜んで受け入れていきたい。

年を重ね続けて、さらにこの先に見えるものはどんななんだろう。

少し、言葉にできない何かがどかんと体を打つ感覚を期待していたのかもしれない。
だから音楽をする。ときどき演奏が進むにつれてこころが解放されて別の世界にいる気持ちになる。その世界はやわらかい感情も激しい感情もあって、全部むきだしだ。
その世界をこの先もずーっと持っていたい。

このよのはるがあって、しょうごがいるから扉が解放する。しょうごは鍵だ。頼むよ。

会う人、音楽、移動中の景色、生活はどれも本当に本物ですてき。
それが心の手前までしか染みてこないのはもったいないから休むことに決めた。
北海道までの旅を楽しみにしていたから、楽しめる状態になってから。

迎えてくれる優しい人がたくさんいて、応援や手助けをしてくれた旅。
いつも感謝してもしきれなくなる。ありがとう。
少し休んでリハビリと編み物していたら、けろりと回復しました。

北上は6月から。5月も少し続く。
桜の時期は終わったけれど北海道稚内、日本最北端の桜の木を目指して。
北海道は梅雨がないらしい。本島を抜ければフリータイムが待っている。
この先これから。ららら

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