見出し画像

サドル調整とネック調整

考え方のひとつとして。

ギターやベースはネックが完全に直線で、弦高ゼロの状態を理想とします。弦は限りなくしなやかに振幅ゼロで振動します。

しかし本当に残念なことに弦は振幅を持つので、サドルを上げて弦高を与える必要があります。
どの程度の振幅を持たせたいかによって弦高が決まります。

さて、弦高ゼロを出発点としてサドルをある高さまで上げた場合、12フレットではその半分だけ弦とフレットとの距離が開きます。
12フレットとナットの中間である5フレットでは1/4しか上がりません。一方12フレットとサドルの中間の24フレットでは3/4も上がってくれます。

このように、サドル調整による弦高の変化はハイポジションの方が大きく得られます。

サドルを上げてもローポジションでは弦とフレットとの隙間があまり得られません。そこでリリーフつまり順反りを与えればローポジションの弦の振動に余裕ができます。

順反りによって弦高そのものが上がるので、目指す弦高に合わせるにはサドルを下げることになります。

ところが順反りのネックというのは弦に対してハイポジションに向かってせり上がっていくことになり、そこで弦の振動の余裕を奪うことになります。

上図の弦が水平になるよう左回転させた。ハイポジションが持ち上がる。

まとめると
・ネックが真っ直ぐでサドルを上げるとローポジションがビビる
・ネックが順反りでサドルを下げるとハイポジションが詰まる
ということになります。
(フレットのレベリングが精確でロッドはネック全体にわたって均一に効く、という前提(そんな前提は大抵成り立たないが…))

間を取ってほんの僅かに順反りというのが一般性が高く妥当なセッティングでしょうが、実際のところはその楽器を使う人が弾いたときにどのポジションでどのような音を得たいか次第です。

演奏の際、右手のピッキングする位置が一定ならば左手の押弦がハイポジションへ向かうほど弦の振動する長さに対して中心に近い部分をハジくことになり、より振動するための余裕が必要になると考えることができます。真っ直ぐなネックを基準にサドルを上げてハイポジションに余裕を与えることはこの点においては理に適っているでしょう。

ともあれ、実際に弾いてローポジションがビビるなら順反りを与えてサドルを下げればよく、ハイポジションが詰まるならネックを真っ直ぐにしてサドルを上げればバランスが取れます。

その結果としてネックは真っ直ぐかもしれないし順反りをもっているかもしれないですが、ネックの状態というのは弾き手に合わせた結果であり、弾き手不在のまま『理想のネックの反り』が『目指すべき目標』として存在しているわけではないです。

どんなものにもそれぞれの正しさがありますが、だからこそ
『これが絶対の真理である』
という姿勢は、逆説的に、絶対に間違っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?