雑感③ろくでもない?

私は自分のことを、ろくでもない人間だと、そう思っています。

だって、あんなこともこんなことも考えるし、このご時世、文字にすることさえ憚られるようなことだって、たーくさん考えてる。

言わないだけで。
気取られないようにしてるだけで。

前は、そんな自分に気付く度に自己嫌悪でした。
ああ、またこんなこと考えちゃった、何でこんなこと考えちゃうんだろうって。
私ってダメな人間だなあって。

でも、ある時ふと思った。
もし自分が、映画とかドラマの主人公だったら、小説の中の主人公だったらって。

主人公の私は、めちゃくちゃ頑張っていた。
頑張って生きていた。
完全アウェイみたいな、孤立無援みたいな中で、とっても健気に生きていた。

そうして、この主人公が、今私が思ってるようなことを、セリフとして言ったとしたら。

めちゃくちゃ人間らしい、正直なキャラクターじゃんって思った。
主人公の私は、一面ではろくでもない、眉をひそめる人だっているだろうけど、でも愛すべきダメダメキャラだった。

私は私が愛おしくなった。
可愛くなった。
大好きになった。

それからは、ろくでもないことが頭に浮かんでも、自分を責めなくなった。
こんなに頑張ってるんだもん、つらいんだもん、それくらい考えたって当然だよって自分に言ってあげられるようになった。

その頃から、新しい出会いがあったり、新しい挑戦をする機会に恵まれるようになった。

人からはどう見えていたか分からないけど、私が私として生きられるようになったはじめの一歩が、この、自分の中のろくでもない部分を認められた瞬間にあったと感じています。
実際、生きるのもラクになった。

ろくでもない人間だからって開き直るのとはちょっと違うけど、ろくでもなさを引け目に感じることはない、みたいな感じ。

私は多分、これからもろくでもないままだと思う。
少し大人になったり、改心したり、考え方が変わったりしても、それはそれで、別のろくでもなさに移行するだけなんじゃないかなと思ったりする。

そうしてその時々のろくでもない私は、その時々で誰かを愛して、私のろくでもなさと、その男のろくでもなさが相容れなくなった時は、それは多分、愛が冷める時だ。
ただそれだけのことだって思えば人生が少し軽やかに感じられる。

ろくでもなさの共鳴。
ただそれだけ。


愛とは違う話だけど、私は、人の心の中には誰でも秘密の箱があると思ってて、そこには、人には見せたくない秘密とかが入ってる。みんな多分持ってる。

私みたいに、ろくでもない気持ちとか。
傷付いた、あるいは傷付けた記憶とか。
誰にも言ったことのない罪とか。
人には言えない性癖とか。

秘密の箱なんだから、そのまんま、カギでもつけて心にしまっておけばいいと思う。
誰に見せなくてもいいんだし、箱の存在自体を重荷に感じる必要もないと思う。

でももし、箱を開けてみたくなったら。

その時は開けてみればいいと思うし、誰か似たような箱を持っていそうな人に話してみればいいんじゃないかなって思う。

おんなじような箱を持ってる人って、必ずいると思うから。

同じような経験をしたり、傷付いたり。
同じような癒やしが必要な仲間。

魂の同士、みたいなイメージが私にはあります。

誰かが勇気を出して、自分の箱の中身を取り出して見つめて、癒やしてあげれば、それはきっと、同じような人をも癒やしています。

目の前の何かが劇的に変わるわけではなくても。

あなたの勇気と、自分自身を愛する気持ちが、あなた自身のみならず、どこかの誰かをも救っている、私はそんなふうに思っています。


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