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映画 『架空OL日記』

私はいわゆる「OLさん」と呼ばれるお仕事をしたことがない。

それは この作品の脚本家であり主役であるバカリズムさんにとっても もちろん同じ。

でも なんとなくわかるのだ。
この架空のOLさんたちは 存在する。
みさと銀行練馬支店に!!!

私は 一人で映画館へ行くタイプである。
それは こだわりとかそういうんじゃなくて、
単純に 映画館で映画を見る頻度が高いからなわけだが。

さて、この「映画館で映画を見る」という行為は実はかなりのギャンブルなのだ。

そもそも 映画というのは自分の目で見るまで 良し悪しがわからない。
実際、「うん、DVDまで待ってもよかったかな」と感じる映画に遭遇することもゼロではない。
ただ 私は基本的に映画が大好きなので、どんな難しい映画や重たいストーリーにも比較的 ポジティブな感想を持つようにできている。(ホラーを除く)

「映画館で映画を見る」という行為がギャンブルであるという最大の理由は
周りの環境 (観客) を選べないことにある。

例えば
映画館以外で買ったであろう ガサガサ音が鳴る何かから
さらにガサガサ音が鳴る何かを取り出し
ガサガサ音を鳴らして豪快に食べる
「物音ガサガサさん」。
彼らは わりとそこらじゅうにいる。
気になってそっちに心が持って行かれてしまうこともしばしば。

しかし、ガサガサさんのたてる物音にはいずれ終わりがくる。
「完食」というタイミングが訪れるのである。
そのタイミングにさえ到達すればそこからは問題がないので、
座席としては中の下といったところだろうか。

この時期の一番の要注意人物は他にいる。
その名も
「鼻息ピーピーさん」
である。
ピーピーさんは花粉と戦っている。
狭くなった鼻腔の隙間から一生懸命空気を取り込んでいるのだ。
しかし、おわかりいただけるだろうか?
こちら映画が終わるまでノンストップなのだ。
むしろ 突然ピーピーが止むという事態が訪れたとしたら
それこそ 映画どころではないのである。

話を戻そう。

今回の映画における「当たり」は
「笑いの感覚が近い人たちが近くにいる」
ということではないだろうか。
その点において、今日の私の座席は完璧に近かった。
最初から極端に大笑いする人がいるわけでもなく
うっかり吹き出してしまっても 白い目で見られることはない。
映画が進むにつれて みんながだんだんだんだん 自然に声をあげて笑うようになっていく
という絶妙な感じ。

そのうち、
「隣の席の人は こういう笑いがツボなんだな」
なんてことまでわかってくる。
顔すら見ていないのに
「この人はきっといい人なんだろうな」
なんて軽く親近感さえ覚え始める。

そして観客全員に なんとも言えぬ一体感が生まれ
最後の展開に 驚くのだ。
「もうこれ以上続きはないのか」
という寂しさと共に映画が終了し、
一緒に笑いあった観客たちは解散する。

かくいう私も映画のお供に 必ず大きなポップコーンを抱えているタイプなので
ひょっとしたら
「ポップコーンポリポリさん」として
誰かの「ハズレ」になっているのかもしれない。

映画館が好きだ。


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