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映画 『妻への家路 帰来』

たった一つのボタンのかけ違いで人生は大きく変わってしまう。
それは 私が今までの人生で何度も感じてきたことだ。

自分の身に降りかかったイレギュラーな事柄には みんな「日頃の行いがどうだ」とか「そうなる運命だった」とか色々な言い方をしながら対処している。そうしないと「あのときああしていれば」と後悔してしまうからだ。後悔しながら生きたい人などいない。

文化大革命の影響で家族と引き離されてしまった男性。途中で脱走を試みたものの あと一歩のところで妻と再会することができなかったばかりか妻の見ている目の前で連行されてしまう。その後 文化大革命が終結し、なんとか命は奪われず家に帰ることができた。実に20年ぶりだった。しかし、やっと再会できた妻は離れている間に心の病気にかかり記憶障害を起こしてしまっていた。
妻は夫である自分のことを全くの別人だと思い込んでいる。「自分は夫だ」と言ってもどうしても信じてくれない。妻の記憶の中の夫は自分ではない。自分のことだけがわからない。
夫の帰りを延々と待つ妻。夫への愛を語る妻。目の前にいる自分が夫だというのに。

妻が記憶障害を起こしてしまった原因はいくつもある。全てがもう取り返しのつかないことでこれから変えることはできない。恐らく永遠に妻の記憶は戻らない。それでも一番近くで支える赤の他人として生きていくのか。

テイストはかなり違うが 前々回見た『ベティ・ブルー』と同じような感情になった。

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