誰でもない誰かになりたかっただけ

ただ、唯一無二になりたい。

誰でもない自分に。

でも、どうしてもなれないんだ。


なれない理由なんてわかっている。

努力が足りない。

気力が続かない。

体力が持たない。

誰でもない自分になるためには、人並み以上の力が必要だ。

人並みに生きていては、人並みの人生になるだけ。

いや、人並みになれたらよいほうだ。

もともとは人並みになりたかったのだろう。

でも、なぜか周りといつも何かが違っていて、とてもできることもあれば、どうしてもできないことや、うまくいかないことがあって。


気づいたら、人並みを追い求めるのではなく、唯一無二な自分となるよう理想を追い求めるようになっていた。

理想ばかりどんどん高くなっていき、理想の自分の立ち位置や視線は高くなっていく。

現実の自分を理想の自分が見下していく。責めていく。

「なんでこんなできないんだ」と苦しくなる。息ができなくなる。

それでも、見ている理想に近づけば、きっと世界が変わるのだろうと、また理想が高くなる。

そして、また打ちのめされて、絶望の淵に立たされ、死にたくなる。


「異端なくらいがちょうどいい」


いつになったら、どうしたら、この負のスパイラルから逃れるのだろう。

「本気をだして」頑張ってみたら変わるのだろうか。

どうしたら自分は変われるのだろうか。

年齢の割に幼いことは十分理解している。

変わりたくて、変われなくて、でもきっと変わりたくない何かがあるから変われなくて。


抜け出す方法は、「ありのままの自分を受け入れる」という平凡なことなのだろう。

人となにか違って、人並みになれないことをずっとコンプレックスに思い続けてきたけれど、「異端なくらいがちょうどいい」のだろう。

私の好きなアーティスト矢島舞依さんの言葉。

三部作ミニアルバムの最終作に入っている「ヴァリアント」という曲が今日も心の奥底に響く。


生きていくって難しい。そんな一言で済むようなモヤモヤではない。

それでも、生きなければ。







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