おわり

ふたりで行こうと柔らかい約束をした。わたしの好きな場所に。その約束はもう果たされることは無い。

寂しくはあるけれど仕方の無いことだ。彼はわたしのこの薄情さに満足できなかったのだろう。わたしは彼の踏み切れない臆病さを愛しきれなかった。

お互い燃えるような情熱を持って接することを望んでいたわけでは無いと思うけれど、もっと寄り添っていたかった。それをしなかったのはわたしだと、思われていると分かっている。

ひとりでしっかりと立っていたい。
両足を踏ん張っている傍らで、そっと指先を触れていられるような。

それを伝える努力をしなかった。

彼もきっと自分が大切で、わたしと似過ぎていた。

触れた指先の温度が心の支えになる相手が、彼の人生に現れますように。

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