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バストリオを観た 感情の話

バストリオ『一匹のモンタージュ』リクリエーション@こまばアゴラ劇場、を観た。終盤の橋本さんのシーンに特にグッときた。

ここからはネタバレ含むので、ネタバレされたくない人は読まないでください。

「橋本さんは感情的に生きるのをやめました」(という旨の)セリフを坂藤さんが発話して、橋本さんはやってきた女性の方から取り出された橋本さんの心臓を手に持って、舞台上で立っていた。

まるで、自分がそこに立っているみたいだと思った。あのパフォーマンスに心臓を取り出されて、立っていた橋本さんはわたしの心臓だった。見つめていた。

感受性が高いニンゲンが生きていくには、この世界はあまりにも困難さが多い、とわたしは思っている。自分をガチでやった人間が、ガチでやった先で他人とつながりすぎる人間が、感情を捨てました。感情を捨てた先でつながる濃度って、もしかしたら高まるんかもしれんけど、それでもその言葉は重くわたしには、ことに響いた。

生きていると「正しく」あることを求められる。正しさを求めてくる人々は無意識に正しさの刃をこちらに向けてくる。抵抗する。外に出る。なんて窮屈なんだろうと思う。感情なのか感受性なのかは定かではないが、それらを捨てた方が色んなことがスムーズだ。

最後、「橋本さーん」「今野くーん」と名前を呼び合っていて、救われた。名前を呼び合うという行為は民俗学にもよく出てくる。宮崎駿もよく名前を叫ばせる。

わたしがたしかにわたしであるということを教えてくれるのは社会なんかじゃなくて、友達の存在だったりする。

スカンクさんがムニ新聞とフライヤーを補充して小さいコメントを添えていたことに気づいてコメントくれてうれしかった。とてもとてもささやかなことなんだけど、それを当たり前だと思ってないということがわたしには伝わって、簡単ではない日々の中でとても救われた気持ちになった。

演劇作品をつくっています。ここでは思考を硬い言葉で書いたり、日記を書いたりしています。サポートをいただけますと、日頃の活動の励みになります。宮崎が楽しく生きられます。