美しい破綻

【桎梏】桎梏の夜を突き刺した鋼がわたしをも貫いたメビウスは帰ることを赦さない永遠の鳥籠飛ばされることなど最初から求めてなどいない白さを穢された指先から滴る水脈に掛けた舷梯は瑠璃の白鳥の渡り道となり赦された銀河の糸を手繰り寄せる、 

 【アーチ】点が転じて天へ駆け上がり連続した幾何学模様で君と僕はアーチをつくり君の手で植えた薔薇が君になった頃、僕は君を空へ返してあげた小高い丘の旧きに眠る土の僕はもう飛べないから君にだけは教えてあげるよ陶酔の故に立ち昇るかぎろひの中、人柱が立つことを、 

 【憑依】わたしを眠らせ搾取するのは脳の断面に刻まれた皺がシーツに憑依した悲しみの歌をうたうカナリアか飛べぬ羽など毟りとり飛べるものに差し出すよもう遅いよ君はここで眠っていればいいんだ僕が身投げしてあげるよ代わりに君の羽を口に詰めて 

 【そして、破綻】耽(美)こそが虐(し)いたげられた数々の鉱石の祈(い)のりを構成する(破)調であるならば(綻)びた言葉の礎となれ  

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