終わりの予感
風の強い夜。
海の底に引き込まれそうになる。
抗えない。
きっと、こんなふうにわたしは、ここを去るのだから。
明日の来ない夜に、わたしは何を思うのだろうか。
いつも終わりの予感ばかりにフラグが立ってしまう。さよならが怖くて、出会わないことにした。何もうまないし、何も育たない。
生産性に乏しいわたしは、今、ここにいる意味などないことを知っていて、それでも、また耳をそばだててしまう。
一番明るかった夏の日に、パリンと割れる音がして、硝子が飛び散った猛暑の中で、わたしが笑っていること。
過ぎた記憶は、いつも笑っている。笑い声だけが目印のわたし。
笑い声だけが、わたしを知る術なのかもしれない。
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