胸の上の寝息と重みを抱き締める

初めての子育てで感じたのは、嬉しいと寂しいや、安心と不安のような相反する気持ちが、全く同じ割合で常にあるということだ。9:1でもなく7:3でもなく、本当に全く同じ割合で。
生後70日を迎えて、子は凄まじいスピードで成長している。ゴールデンウィークに帰省したときは、まだ表情が乏しかったのに、この1ヶ月で表情が豊かになってきた。顔を覗けばニコッ、絵本を見てニヤり、いないいないばあなんてしようものなら嬉しそうにクシャッと笑うようになった。涙も出るようになった。言葉も真似っこし始めた。抱っこ紐に埋もれてた頭が出てきた。ぶかぶかだった帽子がジャストサイズになってきた。首のグラつきが減ってきた。ふとした時に成長を感じて嬉しいけど寂しい。いつのまに、いつのまにこんなに大きくなったの。そんなことできるようになったの。子の世界が少しずつ広がっていくのは嬉しいし、まだまだ出来ることが少なくてもどかしい思いをしているかもしれないと思うと心が締め付けられる。早く自分の気持ちを自分の言葉で言えるようになるといいね、早くたくさんお話したいね、自分で歩いて、見て、触れて、感じられるように早くなるといいね。そう思うのと同じくらい、なるべくゆっくり成長してほしい、私の手を離れていかないで、できるならこのまま腕の中でずっと抱いていたい、そんな気持ちも湧いてくる。おっぱいをきゅぽんと離して満足気に眠りに入った我が子を見て、こんな風に胸の上で寝息立てて寝てくれるのはいつまでかなあ、と思ったら思いが溢れてきた。睡眠不足が続いて早く横になればいいと頭では分かっているのに、せめてこの瞬間の、寝息と子の重みを忘れないように抱きしめていたいと思った。

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