磁気探査で嬉しかった瞬間「オペレーターと仲良くなれた時」

 磁気探査とは磁気を検知する特殊なセンサーを使用して不発弾を探す仕事です。

 磁気探査をやっていてうれしかったことは、「オペレーターと仲良くなれた」ことです。
 磁気探査の仕事それ自体とは直接関係ないですが、特に嬉しかったことです。
 
 磁気探査の現場ではセンサーで探査をした後、反応した物を地中から掘り起こす作業があります。その時、人力で掘るのにはとても時間がかかる場合があるので、ある程度は重機で掘り起こしていくことがあります。
 重機で掘り起こすときは外注でオペレーターさんに頼むか、同じ現場の業者さんにお願いすることになります。自分としてはこの「身内ではないオペレーターに何か頼む」がなかなか苦労する。当たり前ですが人によってタイプが違うので、お願いの仕方を間違えると今後の作業がギクシャクしてスムーズに進まなくなったりしてしまうことが多々ある。上から物を言ってもダメだし(自分は若いのでなおさら)、下から出すぎると「気に食わない」と言われることもあります。
 
 ある日の現場、初めて会うオペレーターの方と作業をすることになった。 「お願いしまーす!」と挨拶から入りますが、自分にとっては嫌な瞬間である。なぜならこのファーストコンタクトで今後の接し方をいろいろ考えないといけないからです。ここで対応をミスると現場の雰囲気が変わってしまう。
 今回のオペレーターの方は口数の少ないベテランの方だった、いつも通り挨拶をしても一瞥をくれるだけなので反応が分かりづらすぎて、「怒鳴ったりしてくれればそっちのほうが分かりやすいなー」と今思えばおかしなことが頭をよぎった。
 いざ、作業を開始すると寡黙なオペレーターは素晴らしい重機操作で現場を進めてくれた。しかしこちらが「こっちも〇センチ掘削お願いします!」のような指示をしてもまた一瞥するだけで反応は変わらなかった。
 しかし、あきらめずに元気よく話しかけていくと休憩の合間になぜか黒糖をくれるようになった。さらに、「おい」とか「お前」ではなくてちゃんと名前で呼んでくれるようになった。
 先輩から「あのオペレーターの人、全然ほかの人と関わろうとしないのになー、珍しいなー」と言っていた。その一言でなんとなく自分が粘り勝ちしたんだろうということが分かった。

 その現場が終わった後も、次の現場でそのオペレーターの方と作業する機会があり、とてもスムーズに進めていくことができた。
 今でも職人かたぎの方々との接し方は難しいが、対応できた時の嬉しさも知ることができた。

 これから磁気探査をはじめる方だけでなく、土木や建築の現場作業に関わる方には、
 「現場の方とは諦めずにコミュニケーションをとる」
 「次の現場でも関わる人だと思って接する」
 ことをおすすめします。

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