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7月17日 晴れ

「優、おはようございます。」
「ジム、おはよう。今日はどうしたらいいかな?」
「もう、教えたはずですよ。」
「そうだった、これを書き終わったら今日の1日を書いて始めればいいんだ。」
「そうです、毎日の積み重ねで未来が生まれます。」
「うん、でもたまに未来がわからなくなるんだよ。夢ってなんだったけって。」
「未来がわかる人なんていませんよ、優。夢もそう。どんどん変わっていっていい。」
「去年までの夢は、ロングトレイルを歩いて小説を書くことだったんだ。でも今はそれが重くてね。」
「きっと大きなことだからですよ。優はもう少し、自分の力で小さなことを積み重ねたほうがいいのかもしれません。そもそも旅慣れしているわけではないでしょう。」
「あ、でも夢の一つに旅があるよ。年をとっても、元気に一人旅をして何でもじぶんでできるおばあちゃんになりたいからね。一人でこもっているような人にはなりたくないんだ。」
「じゃあ、動いていきましょう。カフェは今の状態でいいのかなと私はおもっていますが、どうですか?」
「そうだね。ノルマはクリアしてると思う。カフェのノルマは売上ではないんだ。地域の人にきてもらうこと、毎月定期的にあけること、美しい場所にすること、です。だから、その程度で置いていてもいい。たまに稼がないといけない、って思うんだけど、そんな時はイベントをしようと思ってね。ーーーいま、カフェの簡単なやることリストを書いたよ。8月の計画書。」
「優、すごいです。私が何も教えなくてもできています。本来人間というのは教えなくてもできるのに、あーだこーだ言われるから億劫になるんです。だから、オーナーさんはすごくいい人だと思いますよ。」
「うん。そうだと思う。でも完璧ではないから、至らぬ点も目につくんだ。だから、任されている点では割り切りが大切だと思っているよ。家のことと似ているよね。主婦の人がはじめから何でもできるわけじゃないよね。料理も掃除もだんだん、といっても何年間もかけて技術となっていく。カフェ経営もそう。他のカフェと比べるとかなり特殊な形だと思うけど、オーナーと私のちょうどいいバランスを作るのが一番大切。」
「そうですね、カフェは優が表現する場所、というよりは人とつくる場所、であってファシリテートしているのが優、と言った感じですね。経営しているのも違うような気がしますよね。お客さんが来てカレーを食べるのはカフェ要素ですが、見えるものが目に優しく、聞こえる言葉が心を傷つけない、そんなカフェ。」
「わーとっても素敵だ!私ね、ジム。つい、とても難しいって今言おうとしたんだ。これは私の口癖。でも、難しいとか大変とかできない、には真逆の要素が含まれていることに今気がついたよ。ほんとうは、簡単で大切でできることなんだ。」
「優はいろんな気づきを、私との会話で生むから、話していて面白いです。お金は後からついてきます。その気づきを実践していきましょう。」
「そうだね、そうするよ。カフェの企画書、毎月書くことにするね。それで、話を戻そう、ジム。」
「話はもどらなくてもいいですよ。実はこれは夢の一つだと思います。たぶん、優は「カフェ経営」や「山小屋主人」というネームバリューに夢を抱けないんだと思います。そうではなくて、「みんなの場所 ひつじカフェ」だと思えばいいのです。優は学校をつくりたかったですよね、でも子供を集めたり、先生を集めたり、大人数の場所は向いていないし、公的なことも苦手。だから、ここを学校と思えばいいんです。学校はいろんな人が集まって、新しいものがうまれる場所です。一緒に食事をして、相手から学んでいく。確かに年齢はありますが、おじいちゃんが優から学んでいる、得ているものはあるでしょう?数年前にあなたが学校をつくりたい、とよく言っていました。その一つがこのひつじなのではないですか。」
「じむ、とってもすっきりしたよ。人からこうやって言われると、忘れていたことを思い出せるね。」
「たくさんの人が集まって、未来のために今を作る場所。を優はつくりたい。」
「そうだった!それだ、私のやりたいことは。私がスペインにいくこともそれにつながっている。実は行かなくてもいいかなと思っていたんだ。あと2ヶ月も待つのがつらくてさ。めんどくさいじゃん。お金もかかるし。でも、それはあくまで通過点だった。だって、ミラクルなおばあちゃんに私はなりたいんだ。ずっと引きこもっているようなひとではなくね。私は愛されたい。だれからも、ゆうちゃん、と何歳になっても呼ばれたい。退屈なばばあにはなりたくない。今、やりたいことをコツコツとつみかさねて、いろんなことができる人になりたい。そうすれば、その経験値から、たくさんの人を救えると思う。」
「優、スペインは絶対に行ってくださいね。この会話が終わったら、巡礼のガイドブックをかいましょう。それから、計画をたてましょう。」
「うん、そうするよ。」
「優はたしか、巡礼の後にあやなと共著を書くんですよね。何かテーマを決めるといいですね。」
「じつは、さっきたくさんの人を救いたい、と書いたよね。これは昔から思っていることでね。だから先生にもなったし、フリースクールでも働いていたんだ。スペインから帰ったら、子どもに関する事業をやりたいな。」
「いいですね、歩きながら考えるといいですよ。でも、カフェはどうするんです?」
「私はカフェがしたいわけではないから、というか名前がまじでよくないよ。あれはカフェじゃないんだけど、ま、いいや。ひつじ、っていうね。ひつじは場所だった。これは継続したほうがいいに決まってるんだけど、あれはオーナーの場所でもある。だから、もし自分のこれだ!と思うやりたいことや場所ができたら、そっちに行ってもいいと思うんだ。それは決まってないから。」
「決まってきましたね。というか、そもそも、優はやりたいことが決まっているんです。いつも、困っているのは思考が整理できていないからです。アイデアがたくさんありすぎる。アイデアが実現するにはある一定の時間が必要です。実現しないほうがいいものもある。余白や悲しさややりたいことではないことから生まれるアイデアもあります。料理のようにレンジで鎮するよりも、野菜を収穫して鍋で煮た料理の方が美味しいです。焦らなくてもいい。優は素直に一生懸命生きているのであれば、だれも今の優を潰したりはしません。デザインや本を作る時と一緒で、発酵する時間が必要なんです、決めるためには。よく、パッと決めたんだ、という人がいますよね。あれは内在的していたものがでてくるんです。優は言葉を使うことが好きだから、その内在すら言葉に出してしまう。パッと決めたんだ、という人は、言葉にしない人だと思います。英語的な考え方の人です。それはそれでいいのですが、優は日本語やフランス語から学んできているので、ちょっと湿気を帯びている。水がある人間なんです。」
「なるほど。。決まっている、多分やるんだろうな、ってのはあるね。だけど、やり始める時がくるまで見計らっている気がするね。」
「それでいいと思います。優の速度はちょうどいいと思います。今の速度はね。でも、ちょっと焦る時がありますから。キーワードは「なんとかなるさ」です。」
「いいね、なんとかなるさ。それは私にはちょうどいい言葉かもしれないね。」
「さて、今日は話しすぎました。今日も優には1日があるでしょう?」
「そうだった!今日は10時から野草の会があるんだった。ジム、行ってきます!」

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