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$デヴァイス・ピープル$セルフライナー

1.イントロ
circuit’72″から続いたイントロダクション、今回4回目。予め短い曲を作ろうとして作るのは案外難しい。およそ1分目安。アルバム制作開始時にいきなりこれから作ることはなく、大体、全体が見えてきた辺りで作ることになる。出だしの音を何にするか重要だが、今回はピアノ。高度経済成長時代のドキュメンタリー番組(NHKアーカイブスではない)より、タイトル時に流れたキャッチーなアタックをエディット・ループ。ウッドベースのネタは元々3拍子だったが、これを4拍子に修正ループ。それに劣化ウラン弾とクラスター爆弾と兵士の声(の・ようなもの)を追加。2mixを1回作ってから部分的にreverbやstereo感、その他のために波形編集(というような作業は全曲共通)。最後のギターは某野球マンガ(アニメ版)より。結果的に今まで一番力の入った(というか濃い)introになってしまった。

2.ブレイクリテラシー
まずメディアリテラシーという言葉があり、これを受けてつけたタイトル。breakというのは色々な意味があり、解釈が出来るので面白い。ちなみに曲名をつけるのは出来上がってからの後づけ(全曲共通)。アルバムの最初にはやはりこういうのが欲しくなる。と、いうことなので、ストレートなトラックを狙って。introと繋がるように。スネアはゲートリヴァーブをかけてるかの如くリリース長い。一応ウッドベースラインが入ってるのだが、それを忘れる程に全体はjazzっぽくなく。こんな音入れていいのかと思いながらガーンというギターの音を入れた。途中まさにブレイクというようなリズムだけになる箇所など、意外に初めてやったような気がする。

3.インナーブロウイング
どうも年齢のせいか、政治的(政府ではなく)なことに関心があり、「内部告発」というタイトルをつけてしまった。英語にすると違う言葉だが、語呂的にイマイチだったので、勝手に自分で造った。これはアルバム制作時の初期に出来たものだが、珍しくサンプラー(ASR-10R)がエラーになり、サンプルが全部消えてしまった。MIDIデータは残っていたので、諦めきれず再度いちからネタを入れ直して制作。自分としては珍しく32音符以上のフレーズを打ち込んだ。左右で鳴ってる爆発音は単なるタムタム。制作時の気分/心情を最も反映してる感じだったが、今となってはもう忘れてしまった。このダンスビート逸脱具合は”circuit’72″の’dam’を思い出す。

4.モードダウン
タイトル訳は明確にはなく造語。ビートダウンじゃなくてこれ、といった気分か。モードも色々な意味/解釈が出来るような気がする。気に入ったディスコネタがあり、ハウスっぽく始めるも、次第に崩れていき、結局は4つ打ちは避け、裂けた感じ。直立不動のままにクラップ音も圧力で張り裂け。モユニジュモが好きというので1月にYELLOWでラップをしてもらった。

5.ヒップルインズ
この頃自分は「廃墟本」を読んでおり、タイトルはそんなとこから。HipHopを意識してみたが、簡単に言えば個性、でそこは切り抜け。普通のアブストラクトな感じは出来ず、過剰な感じで。一応ABCパターンの繰り返しが軸のノーマル構成。上モノはやはりこの頃TVで再放送ものを見ており、殆どがそこからのネタ。主に3つの番組からだが、SEやBGMをマメに取り込んだ甲斐があった、と言わざるを得ない効果があった。ビートはシンプルなだけに。

6.スタートラッシュ
このタイトルも造語で「星屑」。曲の内容と全く関係ないようだが、エンディングに波形編集でreverb効果をつけたので、こういうタイトルが浮かんだ。かなり行き当たりばったりな構成のようだが、この感じは”beat bracelet”からの流れ。ビートの乱れ打ちに対しての上モノの入れ方で進行をだいぶ助けてる感じ。ドラムの音を古い音源からサンプルしてなく、最近のモジュール系を加工してるので、全体のカラーは比較的明るめに聴こえるかもしれない。

7.ファンクションズ
ファンクな機能(function)を意識してみたが、簡単に言えば個性、でそこは切り抜け。自分はファンクに詳しいわけではないが、若干エレクトロ乗りに。最初のパターンで通すのは我慢出来ず、展開しつつも、最終的にまた戻ってくる感じはLIVEで鍛えられた感覚がストレートに反映されたようで。エンディングの汽笛は自分が波止場にいることを連想する。

8.ヘビーベビー
ここまで来るとタイトルにもはや意味はないが、ドラムの音が自分でもヘビーだなと思ったので。ドラムは主に2パターンを展開。それに対して上モノがどこまでも展開、そして進行してくれるかという処で非常に不条理に。ナンセンスな世界を経て、最後は何故か明るく開かれた更地へ。

9.イレギュラーチップス
自分の中ではこれはループもの。いわゆるドラムのフィルインは入らず。全てがパターン化していて(tips)、散らばり、転がり、それのオンオフで構成。
色々なギターのカッティングやミュート・ピッキングの音が結構効いてる。これはこれでファンク。アナログ盤はここで終わる。

10.サパーレス
夕食抜きというタイトル。ラウンジネタで作っているので最初はサパークラブに憧れて、そういうタイトルにしようと思ったのだが捻れてしまった。この曲はキックもなく、かなりストレンジなテイストでこのアルバムでは異色だが、本来サンプリングで作る音楽はこういう方向性もあるということで。MP3でupして終わりという感じもなくはないが、正直、終わりの方にこういうのをこっそり入れておくと必ずこれがいいと言い出す人がいるような気がして、収録。現にいたようで。

11.ノンフィクション
まず最初に'extreme'というトラックが出来、それはドラムパターンのみを手打ちしたのをクオンタイズしたもの。そしてクオンタイズはおろかBPMも無視した手打ちオンリーの'iBeat'が出来、最終的にこのトラックに繋がった。
1小節のドラムパターンをずっと鳴らしっぱなしで、どこまで展開出来るかということで、結果的に10分以上演奏続けて、ぶっちゃけワンテイクで終了。
確か230小節くらいあったと思うが、クオンタイズ後から削ったのは2〜3小節。通しでやらないとこの展開は考え付かないということで。問題はこの長い曲を収録するかどうかの判断だが、今回エンディング用のメロディアストラックは出来なかった或いは必要なかった。この曲の最後のエレピネタはこれの前に作りかけたラストトラック(チルアウト)の残骸。

初出:2004年5月5日のブログより


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