滑り台はなぜ大人の方が速いのか

とある大学の教授がこのようなツイートをしていました。

自由落下では重さに関係なく速さは同じである事が知られています。にもかかわらず、滑り台では子供に比べ大人の方が速く落ちる。
単純に、子供と大人の違いを重さの違いとして考えると、この結果の違いは矛盾と言わざるをえない。何か合理的な理由があるはずだ。というわけで考察してみました。

ここからは考察したプロセスに沿って説明していきます。どのような思考を経たかを記録する事で後の検証も容易に出来ます。

自由落下との違いは傾斜にあります。傾斜が速さに影響があるのだろうか。試しに傾斜に玉を落とすモデルを考えてみると、重さの違いは位置エネルギーの違いにより、跳ねる距離に現われる事になります。

図1

ゴールの位置を横方向だけに限れば、跳ねる距離が長い重い玉の方が速い事になります。しかし落ちる速さは変わらないので、速く滑り降りる理由にはなりません。つまり上の図ではどちらも同時に着地する事になります。

もっと長い距離で考えてみます。距離が長くなれば跳ねる回数に違いが出てくる。跳ねる回数が変われば落ちる回数も変わってくる。落下とは加速度がつくので、落ちる距離が長いほど速く落ちる事になります。つまり落ちる回数が少ない方が、一回の落下で落ちる距離が長くなるので、重い玉の方が速く落ちる事になります。

図2

図1では落ちる回数がどちらも1回なのでどちらも同じタイミングで落下するはずです。しかし図2では落ちる回数に差があるので、加速度がつきやすい重い玉の方が速く落下する事が分かります。また、跳ねる回数が多いほど、傾斜との摩擦が増えるので減速しやすいと言えます。

滑り台は小さなバウンドが連続して起きていると考えれば、重い方が速いという理由にはなりそうです。

ここで疑問が生じるのが、摩擦が少ない場合ではどうか、というものです。小さな凹凸のある滑り台では摩擦が大きいので跳ねやすいと言えますが、例えば氷同士の接触では摩擦はかなり抑えられるので、この場合は跳ねるほどの摩擦は生じないのではないか??

氷の傾斜を氷が滑り落ちるモデルで考えてみます。滑り落ちる場合でも加速度はつくので、重い氷ほどエネルギーを持ちます(E=MC^2)。
そのエネルギーは接触する氷表面の摩擦力を高め、閾値を超えた時にやはり跳ねてしまい、前述した働きが生じ、落下を速めるのだと思います。
氷の表面には水の膜が生じる場合もありますが、この場合は水切りのように跳ねるか、浮きながら滑るのだと思います。いずれにせよ、重い方が氷との接触が少ないので速いという事になるでしょう。

図3

恐らくどんなに摩擦を減らしたとしても、接触している以上は加速による摩擦力の増加が生じるので、跳ねが生じて速度差が現れると思います。何か意見や反論があればツイッターまで。

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