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わたしの本棚

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わたしが読んできた本の感想をまとめています。週1〜2回の更新です📚本好きの方、小説をよく読まれる方、ぜひ覗いてみてください♪
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#読書日記

読書|卵の緒

家族の結びつき方は、いろいろある。血の繋がりのない家族やバラバラの姉弟の物語。 卵の緒 自分は捨て子だと思っている育生。親子の証明に「へその緒見せて!」とお母さんにお願いするも、のらりくらりかわされます。 やっとのことで辿り着いた箱の中には、卵の殻が入っていました。お母さんは突然、育生のことを卵で産んだのよ、と伝えます。 そんなわけあるもんか!と思いつつも「親子の証は目には見えないの」と育生をぎゅーっと抱きしめる母。 何度も大好きと言葉にするお母さんが隣でいるだけで

読書|噛みあわない会話と、ある過去について

ふとした時、頭によぎる過去の出来事。向き合うことも逃げることもできないまま、大人になってしまった。 短編全4作。自分の一部となっている過去の思い出ってありますよね。 それが嫌な記憶の場合、自分一人の出来事ならまだしも、誰かと共有してしまっているとあらぬ方向にモヤが行き渡ります。 昔の教え子だった”パッとしない子”が芸能人になった。 "誰からも嫌われていた子"が、世間の注目を集める塾の経営者になった。 自分目線で過去の出来事を見つめた時と、他人が思っていたことのチグハ

読書|少年と犬

昔、祖父母の家でパピヨンを飼っていました。パピヨンの割には体が小さく、チワワのような女の子でした。 蝶々のお耳に艶やかな毛並み、小顔のパピちゃんは本当に可愛くて、亡くなった今でも大好きな存在です。 小学校が夏休みの間だけ自宅でパピちゃんを預かることもあり、夜寝る時、クーラーにあたりながら足元にふわふわのパピちゃんがいるのが幸せでした。 犬が主人公である「少年と犬」 孤独や死と隣り合わせである人々が、どこからかやってきた”多聞”に出会います。 多聞の力強い眼差しや立派な