渋谷ヘイト街宣へのカウンター - 2020年6月14日(日)/東京都渋谷区
東京都渋谷区(渋谷スクランブル交差点)で行なわれたヘイトスピーチ街宣に対するカウンター(反対行動)の記録
小雨の降る中、渋谷スクランブル交差点で新型コロナウイルスの感染拡大に乗じた排外主義者による差別扇動街宣が行われた。大型スピーカーを備えた差別団体の街宣車から発せられる爆音にも負けず、差別を許さない人々が個々の拡声器や肉声で抗議の声をあげた。
【動画】
2020.6.14渋谷ヘイト街宣へのカウンター(3分54秒)
【写真】
コロナ便乗差別を行なっていたのは、韓国でのヘイトクライムによって起訴されソウル中央地裁で公判中の鈴木信行葛飾区議が代表を務める「日本国民党」やナチスドイツのハーケンクロイツ旗を掲げ外国人排斥運動を行ってきた「NPO法人外国人犯罪追放運動」など、ヘイトスピーチ常習者たちだ。
あえてぶつけてきたのか、この外国人差別街宣と時を同じくして、代々木公園出発のBLMデモ(Black Lives Matter Tokyo March)が行われ、渋谷駅前交差点を通過する予定であった。多くのカウンターは外国人が多く参加する、黒人差別反対を訴えるデモの壁になるべくこの場へ集まってきていた。
昨今のコロナウイルス感染拡大で人種差別が浮き彫りになってきている状況で、「ヘイト」との闘いが世界的な課題となっている。掲げられていた「RACISM IS A VIRUS(民族差別はウィルス)」というフラッグが指し示すように、レイシズムはウィルスであり、人類全てのリソースを割いて撲滅を目指すべき存在だ。
雨が降る中、抗議を行った人々に敬意を表したい。レイシストが存在し続ける限り、カウンターの突き立てた中指、発した罵声は止むことはない。「どっちもどっち」だとかそんなことはなく、カウンターの存在によってレイシストが堂々と活動ができなくなってきているのは紛れもない事実だ。差別主義者が安心して活動できる場所は絶対に与えてはいけない。
ベタベタしながらプラカードを掲げるカップル。傘をさしていると個室感もあり、案外良いデート場所なのかもしれない。動く必要のない街宣ならではのカウンター方法だ。
SHIBUYA AGAINST RACISM !!
【警察装備品コラム006:私服に略帽の警察官】
警察官の私服+略帽スタイルが絶滅の危機に瀕している。2018年に出動服のデザインが62年ぶりに一新されたことにより、将来的に下の写真に写っているような私服に略帽を被った警察官の姿がもう見られなくなってしまうのだ。
出動服というのは、災害救助、警戒、警備等に従事する警察官が着用する紺色の作業服で、略帽と呼ばれる小ぶりな帽子とセットで運用されている。略帽は作業帽のようだが略式制帽であり、作業用途に特化させ、装飾や意匠を簡略化し利便性と機能性を持たせた帽子のことだ。
服装としてはイレギュラーなのだが、略帽を私服時に着用している警察官が現場にはいる。家宅捜索などの報道で、背広やシャツを着た私服警察官が略帽を被っている姿を見たことがあるかもしれない。暴力団の事務所へ立ち入るヤクザみたいなお巡りさんの頭や、証拠品を押収したダンボールを抱えた捜査員の頭に略帽がちょこんと載っていたりする。
略帽のクラウン部には、全周にわたって白い帯が巻かれた状態で縫い付けられている。これは帯章(周章)という階級標識で、線の太さと本数と色で階級を表している。
写真の略帽には白い太線が2本入っているので階級は警部だと分かる。恐らくは所轄の渋谷警察署の何らかの責任者(隊長)で、私服でも見分けがつきやすいように着用していたものと思われる。
このように略帽は、階級の判別がしやすいので私服の警察官が被っていることがある。また、独特なデザインのため一般人は似たような帽子を着用しておらず、警察官と分からせることもできそうだ。
更に言うと、略帽はフニャフニャしているので折り畳んでも問題なく、ポケットやカバンにしまっておくことができて便利なことからも、現場の私服警察官に使い続けられきたのだろう。
実は、この私服に略帽を着用する服装は全国的なものではなく、地域限定スタイルの可能性がある。私が警備の現場で目撃したのも、北海道、東京都、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、広島県のみだった。
自分のデータだけでは限界があったので、インターネットを使い家宅捜索や現場検証などを報道している写真や映像を検索して分布を調べてみた。すると、関西全ての府県、中国四国九州の一部の県で私服時に略帽の着用が確認できた。
どうやら、主に関西以西で見られるスタイルのようだ。ちなみに東日本では、北海道、宮城県、栃木県、新潟県でしか確認ができなかった。いずれも暴力団の事務所への家宅捜索時の着用だった。もしかしたら非公開の場では多く見られるスタイルなのかもしれないが、今お知らせできるリサーチ結果はここまでだ。
今回はなんで略帽を取り上げたかというと、この日初めて警視庁で私服+略帽スタイルをしている警察官を発見したからだ。正直なところ本当に驚いた。2011年6月にデモを撮り始めて9年が経ち、東京都内では既に350回以上は撮影を行ってきているが、今回初めて略帽を被る私服警察官を目撃したのだ。新種の生物を発見した学者の気持ちだった。
この理由として考えられるのは、ヘイト街宣の裏で同時に行われていたBLMデモの存在だ。参加者3500名の大規模デモが同じ時間帯に行われていて、渋谷警察署は警備の人員をそちらにも割かなければならず、警備課以外から応援を呼んだのではないかと推測している。
現場に来ていた警視庁の警察官は、それぞれのグループが服装の斉一を図っていたので、恐らくは以下のような感じだろう。
本庁の公安警備警察が赤色「POLICE」ベストを合羽の上に着ているのを今まで見たことがなかったので、この日ベストを着ていたのは所轄署員のはずだ。階級線が入っている略帽は標識としての機能を有しており、特に今回のような複数のグループが合同で業務を行う際に便利なので、私服チームのリーダーが隊長章として着用していたのだと思われる。
蛇足だが、この日の驚きの2つ目は合羽の上にベストを着用するという着こなしだった。合羽が透明でないとベストが見えないからこうなっただけなのだろうが、びしょ濡れのベストはみっともないような気がした。
冒頭で少し触れたが、2018年4月から出動服と略帽が新型へと更新されていっている。まだ現場には全然行き渡っていないようだが、私は2019年1月に行われた栃木県警察年頭視閲式で実物を間近で見てきた。
デザインが一新されたと言っても出動服は、機能的な今風の作業服へとグレードアップしたという印象で、騒ぐほどの変化はないと感じた。しかし、略帽はもう略帽ではなくなってしまった。新型略帽はただのアポロキャップ (野球帽)で、階級章も全周表示ではなく背面の表示になった。これでは今までのような使い方はできない。
警察が使用している現在の独特なデザインの略帽の元は、ずばり大日本帝国陸海軍の戦闘帽型の略帽だ。実はほとんどそのまま旧軍モデルの形状を引き継いでいる。正確には、あごひもが帽子本体に縫い付けられていた帝国海軍の略帽がその元と言える。
昭和初期に設計された略帽はヘルメットの下に着用する前提で作られている為、頭にピッタリした台形のようなシルエットでバイザー(ひさし・つば)が短い。今でも機動隊員はヘルメットの下に略帽を被っているが、新しい略帽は野球帽型なのでライナーとしては使いにくいかもしれない。以前、埼玉県警察年頭視閲式で機動隊のヘルメットを試着したことがあるが、被り心地は悪くなかったが長時間着用していると頭が痛くなってきそうなので、中帽としてデザインされた略帽の存在は大きいように思う。
全国各地のデモや抗議などを自腹で記録しています。サポート頂けますと活動資金になります。よろしくお願いします。