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武蔵小杉ヘイト街宣へのカウンター - 2021年9月12日(日)/神奈川県川崎市

2021年9月12日(日)、神奈川県川崎市中原区(武蔵小杉駅東口)で行なわれたヘイトスピーチ街宣に対する抗議行動(カウンター)の記録

 罰則付き差別禁止条例が施行された川崎市を目の敵にし、ねちねちと川崎駅前で外国人排斥を訴えた街頭宣伝活動を繰り返してきた「日の丸街宣倶楽部」が武蔵小杉駅前で街宣を行った。つい1週間前にも、在日コリアンに対して「日本にたかる寄生虫」「本国へ帰るべきだ」と露骨な差別発言を行っている悪質な団体だ。
 この日は午前10時から武蔵小杉駅前、午後1時30分から溝口駅前で街宣が告知されていて、多くの差別を許さない市民が集まった。レイシスト(差別主義者)に直接対峙して抗議するだけでなく、ビラ配りや周知活動、地元の共産党が改札前で街宣を行うなど、いわば反ヘイトスピーチの包囲網が展開されていた。

【動画】

2021.9.12武蔵小杉ヘイト街宣へのカウンター(3分20秒)

【写真】

 東急電鉄・武蔵小杉駅の東口バスロータリー3番乗り場前にレイシスト連中は陣取り、そこを囲むように私服の警察官が配置され、その外側に抗議者が展開した。
 この場所は単なるバスロータリーではなく、駅前の区画は「武蔵小杉駅東口駅前広場」という名称がある。道が少し広いくらいで広場感はないが、バス・タクシー乗り場だけでなく大規模地下駐輪場や防災設備等を備え、駅前広場と呼ばれている。


武蔵小杉の代名詞とも言える林立するタワーマンションが目の前に広がる
車道を挟んだ側からもカウンターは罵声を浴びせる
武蔵小杉駅・中央口2の前で街宣を行う日本共産党
ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワークによる周知活動


 レイシスト4人による街宣は1時間も行われず、午前11時前には終了した。この後13時半から川崎市高津区の溝口で次の街宣を控えていることもあり、そそくさと去っていった。街宣前も街宣中も街宣後も終始絶え間なくカウンターに罵声を浴びせられていた。



KOSUGI AGAINST RACISM !!!


【警察装備品コラム010:腕章の違いを見定める】

 神奈川県川崎市中原区にある「武蔵小杉」は、中原警察署の管轄区域である。今回の警備は同署の警備課が行なったのだが、制服の警察官が一人もいなかった。これは特に珍しいことではない。多数の制服警察官が警備を行うとそれだけで物々しくなり、街ゆく人々がギョッとしてしまうので、私服でソフトな感じでいこう……というくらいのことのようだ。
 警察官の制服からは様々な情報が読み取れることはこれまで何度も書いてきたが、私服姿の警察官であっても装備品等から情報を読み取ることができる。今回の警備を行なっていた私服警察官の左腕に注目してみると、青、白、緑という3種類の「警察」腕章をしているのが見てとれる。そこには職種や役割などが記載されているわけではないが、それぞれが違った腕章をつけているので所属がそれぞれ違っていることがわかる。

 まずは難易度の低い「青色の腕章」から見ていこう。この腕章を着装していた警察官を見てみると、無難で地味なモノトーンの服装をしていて、警備の先頭に立っていた。年齢層が20〜30歳台に集中していることから機動隊員だとすぐわかる。そう、答えは「直轄警察隊(管区機動隊)」である。直轄警察隊というのは、神奈川県内に54ある警察署のうち警察事象の多い15警察署の警備課に置かれている、弾力的かつ効果的な運用のための人員で、普段は事件や事故等が多発するような忙しい警察署で業務をこなし、大規模警備や大災害が発生した時には自治体という枠を越え全国的な活動を関東管区機動隊員として行う、少し変わった立場の警察官のことだ。実は中原区は川崎市にある7行政区のうち最も人口の多い区である。そんな中原区全域を管轄している中原警察署は多くの業務を抱える大規模警察署で、警備課には直轄警察隊が置かれている。ちなみに川崎市内の警察署では、人口数1位の中原警察署と犯罪数1位の川崎警察署にしか直轄警察隊は配備されていない。中原警察署に直轄警察隊がいることを知っていれば、この答えを導き出せるはずだ。

 続いて「白色の腕章」を着装していた警察官らについてだが、年齢層は広く服装は背広からカジュアルまでバラバラであった。街宣場所を囲むように展開し、通路の確保や周りに注意を払っていた。この場にいる警察官は所轄署員か県警本部所属のどちらかなので、警備をしていたとなれば警備課員になる。そう、警備をしていたので「中原警察署-警備課」である。
 そして残った「緑色の腕章」を着装していた警察官らも、年齢層は広く服装もバラバラであった。ただ、警備というよりは見守っているような行動をとっていて、別の現場でも見かけたことがある人物が複数いた。そう、警察署の管轄区域に捉われずより広域に活動している「警察本部-警備部」である。乱暴に言えば、いわゆる「公安」という方々で、現場に赴き情報収集や監視活動を行っている。デモの現場に来ている私服警察官ならば誰彼かまわず「公安」と呼ぶ場面によく遭遇するのだが、「公安」だと思っていても実際には公安警察ではなく警備警察だったりする。細かい話ではあるが、公安警察も含んでいる総称としての「警備警察」や「警備公安警察」と呼んだほうが間違いはない。ただ「公安」という言葉には「この犬め!」みたいな意味も含んでいそうなので、それはそれで間違いではないのかもしれない。

 おまけで中原警察署の写真を掲載しておこう。ご覧のように鉄筋コンクリート打ちっぱなしの外壁で、ちょっとオシャレ感が漂っている。中原警察署へはロケ撮影の道路使用許可申請をしに行ったことがあるが、2008年に建て替えられただけあって中もきれいだった記憶がある。
 この写真はちょうど直轄警察隊が署へ戻っていくところだ。一見すると私服の機動隊員らはスポーツ選手団にも見えるので、街で荷物を持っていない社会人スポーツチームのような集団がいたら、それは機動隊の可能性があるので心に留めておくといいだろう。

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