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「願立剣術物語」を読んでみました。

原文

そのままの道というは天性そのままの身なり。
敵と面向かいの時不動不変にせしめ敵そのまま討つこと
飛火の来るが如し。
その飛火の来る内に像を転ばし心を及ぼすことは神妙も及ばず。
敵そのまま討つ時我そのままにせしめ当たらずを一之道という。
この一之道をいずこまでも続けたる物ぞ。
敵よりまた二と変わりせしめ打つは敵の変動なり。
その変動のところへは我そのままの道を行くは
ひききえ水のさくるがごとし。
敵また過半延べ上がり過半下りて討つは敵の角外の動きなり。
その動きを取りひしぐ事、なおもって自由自在なり。

解釈

そのままの道ということ。
そのままの道というのは、天地自然の動きにしたがった身体で動くということ。
その動きは、火事のとき飛び火が飛んでくるようなものだ。
その飛び火が飛んでくるときの動きは、どんな動きになるのかだれにも予測できない。
天地自然の法にしたがって敵を討つとき、敵は我を討とうとしても当たることはない。
これを「一の道」という。
この「一の道」をどこまでも続けていくのだ。
敵がいかなるフェイントを使おうとも、我はそのまま「一の道」で行く。
あたかも流れる水を切り割るように。
敵が上を討とうとして途中でやめ、また下を討とうとして途中でやめるというようなフェイントをかけても、我が自然の動きは自由自在に敵を討つ。

コメント

フェイントは自然の動きに逆らった動き。
そこにつられて動けば、こちらも不自然になる。
自然の動きをやめずにどこまでも行けば、外側に角ができるような不自然な動きは、そのまま打ち砕かれていく。

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