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「願立剣術物語」を読んでみた。

原文

五体天地のつり物なり。
片つりなきように心得べし。
頭の俯くも一物、仰向くも一物。
腰ひねり腹を出し、肩を指し、足を使い、あるいは大股に行き、あるいは踏ん張り、是皆片つりなり。
物に取り付きそのとまる所に閉じられ氷となり、水の自由なる理を知らず。
水の自由なるを知らんとならば、まず五体の病を去り、そのままの身のカネを定め、それを本の定木として、手の上げ下げ身の内滞りなく左右前後の道を能く骨肉に覚え知るべし。
火のあつきを身にふれ、その味を口に入れて知る如くなり。
理にかかわらず詞にのべず、唯一向に教えの道に入るは、跡より来るぞ。

解釈

身体は天地のあいだに吊り下げられているようなものだ。
いびつな形で吊り下げられているようではいけない。
頭が上をむいてしまうのも、うつむいてしまうのもよくない。
へっぴり腰でも、肩を怒らせても、足を使うことも、歩幅を大きくとって踏ん張ることも、みないびつな形になってしまう。
相手の手足に寄りかかり、そこに支点を作ってしまう。これは氷の中に閉じ込められたようなものだ。
水のように自由であるにはどうすればいいかを知らないからだ。
水の自由であることを知ろうとするならば、まず相手の支点となってしまうからだの癖を無くして、自分が天地からまっすぐに吊り下げられているようにし、その姿勢を基準にして手の上げ下げ、左右前後の動き方を身に着けることだ。
とにかくそれを心得て稽古し、ひたすら道を進んでいけば、あとから理解できるものである。

コメント

相手にとっての支えにならない。
地面と癒着しない。
空気のように接触すること。

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