武術的老子解説
原文
生まれ出れば、死に入る。
生の徒、十に三あり、死の徒、十に三あり。
人の生きるは、死地に動くもまた十に三あり。
それ何故ぞ。
その生を以って生の厚きとす。
蓋し聞く、善く生を摂する者は、陸を行けども睨む虎に遇わず、軍に入れども甲兵を被らず。
睨むもその角を投ずる所無く、虎、その爪を措く所無く、兵、その刃を容るる所無し。
それ何故ぞ。
その死地無きを以ってなり。
解釈
生まれれば、死に向かっていく。
生きることに執着する者は、十人のうち三人はいる。
死にたいと思っている者は、十人のうち三人はいる。
人が生きていくうえで、死地に赴く者は十人のうち三人はいる。
それはなぜか?
みな、生に執着しすぎるからだ。
こんな言葉がある。
「生のなんたるかを知る者は、陸地を行っても虎に遇わない。軍隊に入っても戦争に出ない。睨む獣もその角をたてるところがなく、虎もその爪で引っかくことができない。兵もその刃で切る所がない。」
それはなぜか?
寿命が来なければ、どんな死地も切り抜けられてしまうからだ。
コメント
どんなに技を磨き、高尚な境地に至っても、勝つときは勝つ。
負けるときは負ける。
それでも、そのときの一挙手一頭足に術が宿るように稽古する。
見る者が見ればわかる。
武術を使う者の美学。
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