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【日記】赤毛のアンもといモンゴメリに関する一考察

こんにちは、唐梨です。
さて、前回、紅茶にまつまる想い出を書いてみて、そのまま『赤毛のアン』にハマっていた時代の記憶が蘇ってきたので、今日はそれについて考察してみます。



圧倒的知名度

『赤毛のアン』といえば、原作がカテゴライズされるであろう少女小説/児童文学の枠の中でも、アニメ化された世界名作劇シリーズの中でも、圧倒的知名度を誇る。

その人気たるや、何周年記念などの節目に続編アニメや再編集版映画が制作されたり、赤毛のアンがモチーフの雑貨やイラストがたくさんあったり、様々なバージョンの翻訳や新装版があったり、朝ドラ『花子とアン』のモデルにもなったり。

他にも『フランダースの犬』とか『若草物語』とか『あしながおじさん』とか『ロミオの青い空』とか、錚々たる名作が色々あるなかでも抜きんでているように思う。



なんであんなに流行ったのか?

じゃあなぜあんなにも流行ったのだろう?私の思う理由を2つ挙げてみた。


①今でいうInstagramの役割を果たしていた

赤毛のアンの中には、それはもう魅力的なシーンが出てくる。

食べ物ならばレイヤーケーキやいちご水や砂糖漬け、服ならばたっぷりとふくらんだパフスリーブ、他にも教会へのお祈りや聖歌隊など、西洋の風俗や日常や手仕事が細かく描写されている(モンゴメリは日常描写への筆がとても冴えていると思う)。

これって、今のInstagramと同じ役割ではなかろうか。何にでも簡単にアクセスできる時代ではかったから、雑誌や小説が貴重なソースになっていたはず。インスタ女子の先駆けが、当時の少女小説や少女漫画の愛読者ではなかったろうか。

そうして、お菓子作りにいそしんだり、わくわくしながら洋服をおしゃれにコーディネートしていたのかもしれない。


②癒しと再生、救われるストーリー展開

赤毛のアンは最っ高のシンデレラストーリーだと思っている。

だって、みなしごで学校にも行けず過酷な労働環境で恵まれた人間関係もなかったという、人生どん底でデメリットしかない出自なのに、実は美人で賢くて愛嬌もユーモアもある性質の持ち主で、それがグリーンゲイブルズに来ることで花開き、蛹が蝶になっていくってスーパーサクセスストーリー。

成長と共に美人になり、学業も優秀で無償の奨学金もとっちゃって、ギルバートというイケメンに好かれている。

だから、良いのである。
それが、良いのである。

私はそれってご都合主義でしょ、ふわふわ夢見る夢子ちゃんでしょと言いたいわけではなく、それって救われるよね、希望を持って努力できるよね、と言いたいからこの作品が好きだ

もしかしたら、自分の生い立ちの都合で「そんなの無理だよ」「お前はこうだから」と決めつけられレッテルを張られた経験のある人がいたかもしれない。でも、赤毛のアンを読むと思うのだ。

「それって本当にそうなの?」
「それって誰が決めたの?」

と。赤毛のアンのストーリーは確かにシンデレラストーリーかもしれないが、その内実は、自分で自分の本来の性質に気づいたアンが、自助努力と周囲のサポートの掛け算を経て成長していく、至極真っ当な育児や教育のプロセスだと思っている。

ただ、アンは元々のステータスがかなりハイスペックに設定されているので(偏差値高くて鼻が整った美人で太りにくい体質でおしゃれも興味津々)確かにそこは個人差があると思う。でも、誰にでも美徳はあって、問題はその美徳を自分で自覚して、自信を持って伸ばしていけるか、そこが本質なのではなかろうか


③人生を色づかせる工夫

これは『赤毛のアン』だけに限らないが、作者であるモンゴメリの、日常のちょっとしたことに楽しみを見出す力、ものごとをおもしろがる力は非常に高いといつも思う。夢見るメルヘンかと思いきや、意外に痛烈な皮肉や、ピリリとしたユーモアもたくさんあって、むしろ私はそこが好き。モンゴメリの作品の舞台は狭い村社会がほとんどなので、なおさら。

今自分が置かれている制限された縛りのある状況の中で、いかに快適に過ごす工夫をするか、と同時に、いかに現状打破も同時並行で行えるか

それって言ってしまえばまぁめんどくさいんだけど、そのめんどくさいことも愛しく思ってやっていけたら人生楽しくない?と思わせてくれるので、そこが私がモンゴメリを好きな理由である。

そういう意味では、実は私は『赤毛のアン』よりも、それ以降の続編が好き。何気にこのシリーズは全10冊あり、夢見がちな側面が大きい『赤毛のアン』と違って、続編の方がより現実的なしがらみや地に足が着いた泥臭さの割合が増して好きだ。

何にせよ、とにかくモンゴメリは人間臭い人間の味方である、と私は思っている。

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