東池袋52_バナー

東池袋52の楽しみ方

東池袋52(ひがしいけぶくろ・フィフティーツー)というアイドルグループがあります。デビューは2017年5月19日。まだ2年目ですが、たまにテレビCMに出てきます。そのたびに「また秋元がグループ作ったのか」とネットがざわつきますが、秋元氏と直接の関係はありません。セゾンカードを運営する株式会社クレディセゾン(とその関連会社)の女性社員数千名の中から出てきた、49名のグループです。クレディセゾンの本社が、東池袋にあるサンシャイン60の52階にあるので、「東池袋52」と名付けられました。

CDショップでCDを買えない、音楽配信もしていない(※2019年8月からサブスク配信が始まりました/2020年9月追記)、でもAlexaスキルで聞くことができる。たまに百貨店やショッピングモールでライブをやってる。でも物販もチェキも売ってない、代わりにカード新規入会キャンペーンをやってる。ちょっと不思議なアイドルグループ・東池袋52について、1曲ずつ聞きどころやライブでの見どころをお伝えしたいと思います。

東池袋52ができるまで

2016年11月、欅坂46の「二人セゾン」という曲が世に出ました。作詞の秋元康氏がなぜフランス語のセゾン(saison)という言葉を持ち出してきたのかは分かりませんが、この曲を聴いたクレディセゾンの広報部長さんが、まるでセゾンの応援歌みたいだ、セゾンカードの広告に出てもらえないだろうかとて八方手を尽くしたものの、欅坂46は別のカードの広告に出ることが決まっていたため、希望はかないませんでした。
「二人セゾン」から2ヵ月後、セゾンカードのコピーライティングを1983年のセゾンカード発足以来ずっと手掛けてきた仲畑貴志さんが、曲の歌詞を1曲分書いてきました。タイトルは「(勝手にアンサーソング)わたしセゾン」。これを見た広報部長さんが、外部のアイドルやタレントに頼らず、“わたし=自分たち”でやってみよう、と思い立ち、メンバー集めに東奔西走することとなりました。

作詞は前述のとおり、コピーライターの仲畑貴志さん。作曲はAKB48や嵐にも楽曲を提供したシンガーソングライターの多田慎也さん。振り付けはハロープロジェクトなどアイドルの振り付けに定評がある、振付屋かぶきもんさん。MV監督は乃木坂46やゲスの極み乙女などのPVを手掛ける中村浩紀さん。

各界のプロが寄ってたかって、女性社員をアイドルに仕立て上げました。

1. わたしセゾン

上記のようないきさつで生まれたのが、「(勝手にアンサーソング)わたしセゾン」です。ステージやライブではほぼ毎回必ず1曲目に披露される、まさに“名刺代わりの1曲”です。MVに出ているのはオリジナルメンバーの24名ですが、ライブでは途中から加入した新メンバーも含めて「わたしセゾン」は全員参加です。フォーメーションがくるくる入れ替わるので、後列で緊張しながら踊ってたメンバーが前列へ出てきて、頑張る姿を目の当たりにできます。両腕で作る大きなSポーズ、両手で胸の前に作る小さなSサインが何度も出てくるのが特徴的です。

セゾンを連呼する頭サビに続く歌詞は「一人で笑うより 二人で笑おうよ」というフレーズで始まります。1983年、セゾンカードの最初のキャッチコピーが「一緒なら、きっと、うまく行くさ」でした。このコピーを書いた仲畑氏が、34年の時を経てアイドルソングの歌詞にメッセージを落とし込むという、セゾン文化全盛期を知るおじさんには胸が熱くなるところですし、そこら辺をご存じでない方も、いいことばっかりじゃない世の中だけどそばで見守っててくれる存在の温かさが心にじんわりしみてくるような、優雅でさわやかな1曲です。

コード進行が乃木坂のあの曲っぽいとか、耳ざとい方はいろいろお気付きになるかもしれませんが、そこらへんは作曲・多田慎也さんと編曲・中村友さんの腕ですね。この「わたしセゾン」だけ、カラオケのJOYSOUNDで配信されています。ただし公式MVは1コーラスだけですので要注意。

2. なつセゾン

2017年8月発表、初披露が横浜アリーナの「@JAM EXPO 2017」、しかも一番大きいストロベリーステージという、素人同然の彼女たちにデカいことやらせたな、と驚きながらネット配信を見ておりました。

上のMVでは、夏を楽しんだり持て余したりしている女性(52メンバーではなく、モデルのあおいみどりさん)の姿をはさみつつ、ダンス選抜7名による練習風景と@JAM EXPOでの初披露の様子がまとめられています。よく聴くと「まだ悲しみは 見えない季節~」なんてせっかく夏を楽しんでるのに水を差すような歌詞がありますけれども、ライブで見るならそんなことお構いなしに、夏のボーナスでちょっと奮発したのか、水辺で楽しくはしゃいでるような笑顔きらきらダンスを楽しみましょう。

「なつセゾン」のセンターは、“ひまわりスマイル”こと高柳茉里さん。長い髪をひっつめに結わいて、表情豊かなキレキレのダンスが印象的。しかも、ダンスしながら目線を配ったり手を振ったりウインクしたり投げキッスしたり、あらゆる手段で観客を楽しませ魅了します。

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左は@JAM EXPO 2017「なつセゾン」、右は「雪セゾン」MV。
楽しげにウインクするかと思えば、切なそうな横顔を見せたりもする。

「なつセゾン」初披露の時、ステージ上のダンス選抜7名(前田・渡邉・磯・高柳・池田・藤本・青柳)を誰かがAKB48の神セブンになぞらえて「神セゾン」と言ったのが客席マイクに拾われ、ニコ生や公式映像でも聞こえてきました。青柳さんはこの初披露以来ライブ出演がなく、また藤本さんは福岡県にいるので横アリなどの大舞台以外ではあまりお目にかかれず、ライブでは残る5名のうち高柳さん+2名で披露することが多いようです。

3. あきセゾン

2017年10月公開。公式は「3rd single」という表記ですが、CDもネット配信も出ていません。秋ならではのバラード曲で、ライブで披露される機会はあまり多くないのですが、欅坂ファンの間には「良曲」「うちの推しにも歌わせたい」など評判が広がりました。というのも、文化放送のラジオ番組「レコメン!」で、欅坂46のメンバーが出演する曜日に「あきセゾン」の20秒CMを繰り返し流していたからです。

音源を聴く限りでは、コーラスも含め何人かの歌声が聞こえますが、ライブでは“52の歌姫”こと喜多村明日香さんが生歌で披露します。振付は特にありません。喜多村さんはアマチュアバンドのボーカルの経験もおありのようで、不慣れなレコーディングでも「歌えば歌うほど気持ちよくなっていく」とか「OKが出たのに歌い直しを志願した」とか、とんでもない会社員がいたものです。最初は名前を出さずコーラスなどで参加していたのが、2017年11月のココカラファインのイベントにvocalサポートという肩書きで登場し「あきセゾン」初披露。2018年8月「愛セゾン」発表と同時に正式にメンバー入り、全員参加の「わたしセゾン」にも加わっています。

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「あきセゾン」初披露のときの喜多村さん

あきセゾンMVには、クレディセゾンが運営する「赤城自然園」の風景を映したバージョンと、池田佳穂さん・渡邉ゆりえさん・磯梓咲さんのおしゃべりを楽しめるコメンタリーバージョンの2種類があります。アイドルというよりごく普通のOLさんのおしゃべりですが、三者三様にチャーミングですよね。ライブ出演が比較的多いお三方ですので、こんど見に行ったら会えるかも。

4. 雪セゾン

2017年12月リリース。「なつ」「あき」と来て次は「ふゆ」かと思ったら「雪」でした。雪とつくからふんわりした曲なのかと思ったら、ギターをバリバリかき鳴らす激しめのダンスナンバーになりました。雪というより氷。2018年1月から3月にかけて地上波テレビでCMが何度も流れたので、世間での認知度は高いようで、1年たってまた冬がめぐり来たら「雪セゾン」を思い出したという方もちらほら見受けられます。
「雪セゾン」MVに参加しているのは、2期生17名全員と、1期生から15名の合わせて32名。……1期生の選抜7名だけでやった「なつセゾン」よりもダンスの難易度が上がって見える「雪セゾン」を、2期生全員参加でやり遂げたというのは、すごいの一言に尽きます。

「雪セゾン」のセンターは、九州支社所属の藤本栞菜さん。セゾンのApple PayのテレビCMで、美容室で髪を短くしてもらっていた、クールなまなざしが印象的な方です。ダンスの腕前は高柳さんに勝るとも劣らず、なつセゾン選抜にも参加。大舞台の「わたしセゾン」で、前後に大きく開脚しながらジャンプする“グランジュテ”を高柳さんと一緒に披露してくれます。 @JAM EXPOのMCでは「遠方から来たメンバーには出張手当が出ています」と出張ネタで観客の心をつかんだりもします。地元福岡のクリスマスマーケット以外は @JAM EXPO・クリスマスライブにしか出演されませんが、九州方面に東池袋52が呼ばれる機会が増えれば、藤本さんの出演機会も増えるはず。

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左は@JAM EXPO 2017ステージ、右はセゾンのApple PayのCMメイキング。

藤本さんがいないときはMVで脇を固める高柳さん(たまに渡邉さん)がセンターを務めることが多いです。縦長・横長・対角線とステージを縦横無尽に使い、めまぐるしくフォーメーションが変わるこの曲。スペースが広くないときなど、一部メンバーが2番のサビから後列に合流するという演出もあります。また、神奈川支社所属メンバー6名全員が「雪セゾン」に参加しているので、神奈川県内でのライブでは季節を問わず見ることができます。

5. 愛セゾン

「雪セゾン」から8ヵ月。それまでのリリースペースが早すぎたとは思いますが、四季の4曲が揃ったところで打ち止めかも……とファンはやきもきしておりましたが、2018年8月20日にようやく5th single「愛セゾン」が発表されました。
「なつセゾン」ではそう遠くない別れの季節を案じ、「あきセゾン」で恋人との仲に秋風が吹き、「雪セゾン」では独り待つ身の切なさに凍え、このまま救いはないのかと心配していましたが、「愛セゾン」では仲直りというかヨリを戻すというか、不安は払拭しきれないけど希望が見えてきたという内容に。ずっと東池袋52の曲を聴いてた一ファンとして、正直ホッとしております。

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愛セゾンMVより。左はセゾンカウンターの制服、右は東池袋52の衣装。

「愛セゾン」のセンター・橋口真琳さんは、鹿児島県の沖永良部島出身。MVの冒頭ではセゾンカウンターで接客していますが、実際にはネット広告制作のオムニバスに所属しており、残念ながらどこのカウンターにも勤めていません。しかしその笑顔といい歌声といい、加入即センター抜擢もうなずけます。欧州最大のクルーズ会社・コスタクルーズとセゾンカードのキャンペーン企画では、船内紹介のショートムービーに渡邉さんと橋口さんが出演。すっかりリラックスして楽しんでる笑顔が印象的です。

このショートムービーのBGMにも使われている「愛セゾン」、ボーカル・コーラス・ダンスと参加メンバーをはっきり分けたことが今までと異なる注目点です。ライブではスタンドマイクで2~3名が生で歌い(時にハモリも入れ)、他のメンバーは左右で弾むようにダンス。大サビではボーカルメンバーもスタンドからマイクを外して前列に出てきて、一緒に踊りながら歌い上げます。「大人かわいい」という最近の造語は彼女たちのためにあるんじゃないかと思えるくらい、ダンスも歌詞もかわいらしくてハッピーな雰囲気満点の「愛セゾン」。ライブでは手拍子で盛り上げましょう。

ライブ・予習復習

東池袋52のライブは、基本的には写真も動画も撮影オールOKです。運営側もSNSでの拡散を推奨しています。ただし、何組も出演する有料イベントではイベント全体が撮影不可になっていたり、観覧スペースが広くないので三脚使用不可だったりするケースもありますので、その都度の指示に従いましょう。

百貨店やショッピングモールでのライブのときは、ライブの後に(物販やチェキ会の代わりに)カードの新規入会受付が行われることが多いです。東池袋52メンバーも申込みに立ち会い、グッズをもらえることも。また既にカードを持っている人向けに、当日カードで買い物すると特典を受けられるケースもあります。セゾンカードは年会費無料のカードが多いので、これを機に永久不滅ポイントを貯めてみるのもいいかもしれません。

東池袋52のCDは、今のところ(2018年12月10日現在)「わたしセゾン」のシングルCD(ジャケット違い3種)と、「雪セゾン」までの4曲が入ったアルバム「人生楽しい人の勝ち」の合計4種類があります。セゾンカード・UCカードの永久不滅ポイントの交換アイテムとなっており、市販されていません。まだCDをお持ちでなければ、200ポイントためてアルバム入手を目指しましょう。

前述のとおり、東池袋52のライブはほぼ全て撮影可ですので、YouTubeで「東池袋52」を検索すると、各地のライブの模様が動画で残されています。同じ曲でも振付やフォーメーションが違ったり、同じメンバーでも数ヵ月たってパフォーマンスが変わったりしていますので、あれこれ見比べてみてください。YouTubeで「東池袋52」を検索した結果がこちら↓

各曲のセンターを任されているメンバーを中心に何人か紹介しましたが、それ以外にも魅力的なメンバーがたくさんいます。ライブ出演メンバーは当日の開演まで明かされないところも、セゾン流の演出なのかもしれません。大部分のライブは観覧無料ですので、買い物のついでにどうぞお楽しみに。一度お越しください。

……

ナントカ48ではありませんが、職場でテキパキ仕事してる同僚のあの人が、デスクにおやつを欠かさない後輩のあの子が、青い衣装に身を包んでステージでいきいきと踊っている。それだけで、応援したくなりませんか。

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