ボーカロイドサムネイル概論 後編

↑こちらの記事を先にお読みいただくと、よりお楽しみいただけます。

なんと六か月も放置していたらしいです。ちょっと春の間は心身ともに具合が悪かったのですが、いい加減このシリーズを畳みにかかりたいと思います。書く書く詐欺にトドメを刺しに来たよっ。

ボカロの歴史を、サムネイルの流行という観点から振り返っていく記事、の、三本目です。前回は再興の兆しが見えた2016年頃まで振り返っていきました。
今回はその続きから、そして現代へ続く話をします。

2017 ⑬祝賀

2017年、初音ミク10周年! おめでとう!
『2016年ボカロ四天王』
など、昨年から勢いを取り戻しつつあったボカロ界隈は、10周年の節目をお祝いムードで迎えました。
この大イベントを見てか、あるいは去年のryoの『罪の名前』での電撃復活を見てか、5月のkemu『拝啓ドッペルゲンガー』、7月のwowaka『アンノウン・マザーグース』、9月のkz『never ender』、12月のじん『失想ワアド』と、かつてボカロ界隈を盛り上げたレジェンドたちが次々と復活しました。

kemu!?!?!?!?

wowaka!?!?!?!?

じん!?!?!?!?

kz!?!?!?!?!?!?!?

kz!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?(当時のぼくの反応)

提供楽曲は間に挟まるものの、本人のアカウントでの投稿はなんと『Last Night, Good Night.』以来9年ぶりとなる電撃復活。
……9年!?!?!?

このようなレジェンドの復活は、カゲプロ時代の前後にボカロ界隈を離れたおじいさんたちや、カゲプロに青春を捧げたもののプロジェクト終了以降はボカロから離れていたカゲプロ世代たちに、ボカロのことを思い出させるきっかけになりました。話題になったから、久々に目に入るようになったということですね。

さらに、同年のマジカルミライでは、『ドーナツホール』以来となるハチの書き下ろし新曲『砂の惑星』がテーマソングとして起用
さらなるレジェンドの復活に、期待は高まりました。

やったー!!!
復活だーーーーー!!!!!

ハチ「今のニコ動とかボカロとか、つまんないですね」
ハチ「あとは誰かが勝手にどうぞ」

これには現役ボカロPたちもたまげてしまいます。

今も昔と変わらず、新しい人たちが次々に出てきて面白い作品を作り続けている。僕はハチさんが投稿した「砂の惑星」を聴いて、彼が音楽ナタリーでryoさんと対談したのを読んで(参照:初音ミクの10年~彼女が見せた新しい景色~| 第1回:ハチ(米津玄師)×ryo(supercell)対談 2人の目に映るボカロシーンの過去と未来)、そこで話していることに正直めちゃくちゃ怒ってたんです。

https://natalie.mu/music/pp/wadatakeaki/page/3

当然ですが、2012年頃のバブルが過ぎ去っただけで、当時も数多くのクリエイターが活動していましたし、多くの名曲が生み出されていました。
一方で、カゲプロや千本桜に代表される2012年頃や、ラグトレインやヴァンパイアに代表される現代に比べると、「ボカロをわざわざ聞いているボカロオタク」以外への求心力は下がっていました。千本桜やカゲロウデイズやラグトレインやヴァンパイアはボカロに詳しくなくても耳に入ってくるけれど、メリューや恋愛裁判はそういうわけではない……という感じ。でもメリューも恋愛裁判も数字は持ってるんですよね。

「ボカロ界隈の外」から観測するとオワコンになっているのに、「ボカロ界隈の中」から観測すると流行は続いているという二つの状況が、数々のボカロ論を生み出していきました。そして現在まで、『砂の惑星』のメッセージを取り巻く解釈はボカロへの解釈に深く影を落としています。

2017の続き ⑭合流

さて、『砂の惑星』やリバイバルブームによって良くも悪くも再度注目されたボカロ界隈は、今度は若者文化として完全に希釈されていきます。象徴的なのは『シャルル』ですね。

このように、ハチやwowakaが築いてきた「ボカロ音楽」のセンスが、いわゆる邦ロックやアニソンなんかにも接近してきました。

必ずしもニコ動育ちではない、ネットカルチャーの虜ではない人も、このあたりから流入していきます。youtubeの流行なんかもあって、触れやすくなりましたね。

人が増加するということは、ライト層が増えるということです。ヘビー層はバブルが終わろうが衰退しようが聞き続けてるんだから関係ないでしょ。

するとキャラが大きく映るキャッチーなサムネが再び目立つようになります。


また、この潮流はコンパス曲の影響も受けていると思います。中編で記述した通り、各自のキャラのキャラソンという色の強いコンパス曲は、そもそもキャラの立ち絵を大きく打ち出す必要がありました。

一方で、2014~2015頃に流行した、雰囲気重視の洒脱なサムネもまだまだ多く存在します。

2012年頃の雰囲気を持つキャッチーさの盛り返しに負けず、2015年頃の雰囲気重視な派閥もしっかりと受け継がれていきました。

2017の続き ⑮音街

ここで注目したいのが、音街ウナの存在です。はっきり言って、ぼくは彼女がボカロ再興、ひいては現代のブームに対して与えた影響はかなり大きいと考えています。あんまりそういうこと言ってる人は見ない印象なんですが、実は隠れた功労者。

彼女を起用した人気動画には、サムネイルに彼女自身が登場するものが多いという傾向があります。

そこそこ流行したライブラリとしては久々の、アイドル的なキャラ人気をつけたライブラリです。クリプトン六人組以降に流行してきたGUMI、IA、flowerは、むしろキャラが希薄だったことでさまざまな表現がしやすいという特徴で支持されてきましたが、ウナはどちらかといえばそうではなかった。

ちっちゃい女の子がどたばたする感じの曲にめっぽう向いている声やデザイン。キノシタと並び、これに目を付けてヒット曲を生み出したのがカルロス袴田です。

(『∞まわる∞』の間奏の画面)

彼は「動画内でミクとウナに漫才をさせる」という作風を確立しました。見ての通り、インターネットのユーモアを取り入れる中で、当時流行したネットミームもふんだんに取り入れられています。

雰囲気重視のオシャレな楽曲が時代の代表だった数年前に比べると、「ボカロのキャラを使って面白いことをする」という、いわば初期のような空気が再評価されるようになってきました。これはニコ動全体が再び活気づき始めることを軌を一にします。

2017の続きの余談 ⑯結月

このような曲調の流行には、セリフ素材である「EXvoice」の影響が大きいといえるでしょう。自由に歌わせる機能とは別に、担当声優が喋ったセリフがそのまま入っている素材集が存在しているライブラリがあって、音街ウナもそのうちの一人です。

そのようなセリフ素材がキーなら、結月ゆかりもキーとなっているのでは? という議論は可能です。

界隈のブームを動かしたかは定かではありませんが、結月ゆかりの代表曲も、サムネへの出演は多いです。

ボイスロイドは、本人のキャラを前提として語られるセリフが作られたり、またゲーム実況などに用いられますから、ボカロよりも「キャラ」に注目しやすい構造があります。音街ウナ自体はボイロではありませんが、このような視点を「ボイロからボカロに持ち込んだ」といえるでしょう。

そして、これがこの後の時代につながっていきます。

2017の続き ⑰真夏

さて、漫才を動画に取り込んでユーモアを打ち出したカルロス袴田を追いかけるような形で、「ボイロのノリ」をもってしてこの時代のボカロの看板に上り詰めたのがGYARI(ココアシガレットP)です。
彼の動画はもともと『ボーカロイドたちがただテッテーテレッテーするだけ』とかの段階で「漫画」の体裁をとっていましたから、セリフ中心の動画作りや手書き動画っぽいノリにはめっぽう強かった。結果として2017年末に発表されたのが『何でも言うことを聞いてくれるアカネチャン』です。

彼の最大の特徴は、平気で淫夢ネタをぶち込んでくることです。単にそれ自体が面白いというよりは、「ネットの面白いもの」として受容されているミームを全て取り込んで、だいぶ行儀の悪い――あるいは、「ニコニコ動画っぽい」――ネタでファンを集めました。

【この段落は読まなくていいです】たとえば「せやな」「知らんけど」は関西弁の定型句をネタにしたネットミームとして広まっています。「あほくさ……やめたら? このゲーム」は淫夢語録(元ネタでは「この仕事」となっています)。ギターソロパートの弦巻マキのポーズは「ダサいジャケット」としてパロディされる「Fire & Ice」。「わかる(天下無双)」などの、フレーズの最後に熟語で態度を示す言い回しは「(小並感)」「(名推理)」など、なんJ語録でよく使われていた手法です(もともと(笑)などの用法は一般的でしたが、すでにこれらは若者言葉としては廃れていましたし、ネットミームとして引用したものだと解釈したほうが自然でしょう)。そもそもタイトルの「何でも言うことを聞いてくれる~」というのは、成人向け同人誌のあるあるネタとして流行していた「催眠」ものの定型句として使われていたものです。ぼくの観測範囲が偏っていることは承知の上ですが、たぶんネットミームとしては東方界隈の「催眠? ありえないわ」が火元だと思います。【早口 おわり】

ネットミームにうるさいオタクなので早口で一気にまくしたてましたが、つまり何が言いたいかっていうと、GYARIの動画のユーモアというのは、ほとんど元ネタがあって、それを踏まえていることが面白いという構造なんですよね。ヒットして以降のGYARIはずっとこの芸風です。

ボイロはどういうわけか淫夢ネタをはじめとするネットミームとの親和性が高い(ファン層が被っている?)といえます。
その後に投稿された『楽曲バトル!紲星イキリと化した後輩』も、CDの紹介動画という立ち位置ですが、この動画は楽曲としての性質と手書き紙芝居動画としての性質を併せ持つ……♧

音楽性の確立とともに初音ミクが失った「キャラクター性」を、ボイロ界隈から再輸入してきたという形になります。

ボイロは、キャラクター性を失ったボカロから離れた人の受け皿ともなっていたコンテンツです。東方からボイロに移行した人も珍しくないですね。これがボカロ再興のキーとなるというのは、伏線回収っぽくてぼくは好きな見方です。

2018 ⑱配信

この時期の二次元コンテンツにおいてもう一つ大事なこととして、2017年末に「バーチャルyoutuber」という表現が流行を始めます。「バーチャルyoutuber四天王」の確立が2017年末なだけで、ほんとはもう少し昔からあった表現なんですけどね。

彼ら彼女らは、これ以降の二次元コンテンツの支配者として現代まで君臨し続けます。一過性のブームではなく完全に定着するのはにじホロの出現(2018年半ば頃)を待つことになりますが、ともかくこの頃、ネットカルチャーは大きく変容することになります。

さてVtuberの流行は、実はボカロと無縁ではありません。今からその話をします。

「バーチャルyoutuber四天王」に「ただ3Dが扱えただけの個人のおじさん」であるねこます(バーチャルのじゃロリ狐娘youtuberおじさん」が含まれていたことも象徴的ですが、まだ市場として未発達でした。

ゆえに、盛り上がってこそいるものの、全体の俯瞰が可能な規模でした。今は無理ですね。

多くのクリエイターが個人として参入してくる黎明期、活動者の開拓や発掘は求められましたが、youtubeの最大の弱点である貧弱な検索機能のおかげで、新人を見つけるのは意外と難しかった。

そんな中で流行した「布教」の手段がいくつかありました。たとえば「10分でわかる」とか、「よくばりセット」とか。その中の一つが、『ダンスロボットダンス』の音MADでした。大量に投稿されたこれらの動画は、Vtuberの布教という意味合いを帯びていたわけです。

ここで、背景や文字の配置を原曲に合わせ、キャラをそれぞれに張り替えるという表現が、誰にでも手の届く、簡単な定型として流行したことになります。

同時期(2018年初頭)に、歌ってみた動画の体裁をとる実況動画『何でも言うことを聞いてくれるヒナタチャン』が投稿されます。この後、インターネットでは数々のキャラに置き換えたイラストが投稿され、「トレス素材としてのボカロ曲」という路線を決定づけました。

たとえば、ボカロとして流行する映像表現が『LOL -lots of laugh-』や『日本橋高架下R計画』のようなものを中心としていたら、このようなブームは怒らなかったでしょう。
ここでは、中編で少し触れた、「真っ白になった人」が踏襲されていることなど、トレス改変しやすい、作画コストの低い絵柄であることが、流行に拍車をかけたといえそうです。

2019以降 ⑲代入

さて、ここで一つ、独自の用語を導入します。それが「代入」。つまり、構図やデザインの核になる部分は同じで、キャラクターだけを入れ替えるという手法です。昔から「手書きトレス」などと呼んで、たとえば「ウッーウッーウマウマ」とか、「ボスラッシュ」なんかで流行っていたものですが、この時期からはボカロ曲や歌ってみた動画のサムネイルがこの形を取り始めます。これにはVtuberの影響があるでしょう。

代表的なのは『ヴァンパイア』と『KING』でしょうか。

このように、原曲と配色や背景、絵柄の部分はそろえたまま、サムネに登場するキャラを差し替えるという動画がかなり一般化します。少なくとも、Vtuberによる歌ってみた動画はほとんどがこの形式になりましたし、大物歌い手の動画もこの形式のものが目立ちます。

2020年頃から加速するこのブームは、ボカロの流行にも影響を与えていそうです。Vや歌ってみた、MADといった外部のコンテンツへ流れ出ることと「バズる」ことは似たような意味合いを持ちます。こういったコンテンツに選ばれやすいことが目につきやすいことを意味する以上、改変しやすいバストアップの一枚絵が選好されるのも、まあ、道理と言えるでしょう。

これらの動画は、ボカロという流行コンテンツのファンを取り込みつつも、あくまで自身のファンに向けた動画であって、「ボカロのファン活動」という意味はこれまでの歌い手に比べても薄まっています
まあ、そもそも売れっ子のVって普通に商業レーベルのタレントみたいなもんなので、そりゃあサムネイルを自分にするのも当然でしょう。

2020年以降 ⑳狂気

現代ボカロにおけるもう一つの潮流は「音MAD」とボカロ文化の接近です。ひとつは『フォニイ』のように音MADの素材として使用される楽曲が増えたこと、そして音MAD文化に立脚した表現が取り入れられるようになったことの二点があげられます。

音MADの素材・原曲としてボカロが使われることは、最近まではかなり珍しいことでした。
たとえば「カゲロウデイズ 音MAD」で検索すると29件、「音MAD ワールズエンド・ダンスホール」で検索すると78件ヒットします。
で、「音MAD フォニイ」だと621件ヒットします。ひえ~。

音MADのファンとボカロのファンは、かつてあまり仲が良くありませんでした。層がかぶっていなかったということですね。また、音MADが文化として定着していた例のアレ界隈には、ボカロを「キッズの文化」として毛嫌いする人も多かったのです。

証拠というわけではありませんが、この動画なんかはボカロに否定的な淫夢厨のコメントが今でも多数残っています。

しかしこのころから、音MADの原曲としてボカロ曲を使用するものが増えてきました。投稿者も当然のようにボカロに親しみながら育ってきた層が担うようになってきたからというのが一番大きいかもしれません。また、先述した「ダンスロボットダンス」のブームや、GYARIの影響もあるでしょう。

アニソンやCMなどでボカロ曲がモチーフになることに抵抗がなくなるのと同時に、音MADでもボカロ曲がモチーフになることへの抵抗が薄れ、ニコニコ動の内部コンテンツとして切っても切れない関係になっていきました。

音MADにボカロが広がったのと同じように、ボカロの表現にも音MAD育ちのセンスが広がります。典型的なのははゆ茶、南ノ南、ぬ(略)などの作品群でしょうか。

GYARIが楽曲内にネットミームネタを仕込んでバズったものの後継的な立ち位置と言っていいでしょう。いつの間にやら、商業ボカロ的なyoutubeでの流行の裏で、ニコニコでの草の根的な創作活動の場としてのボカロには音MAD育ちなセンスがはびこるようになりました。はびこるって言葉はトゲがあるような気もするけど、いうて実際まちがった言葉選びじゃないような気もする。

また、この影響はネタ曲だけではありません「界隈曲」についても触れておく必要があるでしょう。かつて『イワシがつちからはえてくるんだ』などの楽曲を投稿し、カルト的人気を誇ったものの姿を消してしまったボカロPがいました。

この人物は、音MAD界隈で活躍した2号という人物と同一人物なのではないかと噂されており、彼の楽曲もまた、長い間、音MAD界隈で課題曲とされてきました。有名なのは『表情を付けられた歌声』とか『柴又』とかですかね。『柴又』、音MADとかニコニコメドレーとかの界隈ではマジで知らない人が一人もいません。

この人物は注目されることを嫌ったそうですが、意志に反してか、それともそうでないのか、彼の楽曲を模倣した作品群が次々と生み出されていくというブームが発生しました。音MAD界隈はまあまあ狭い内輪なので、界隈内で見られたネタのサンプリングやN次創作、界隈内パロディなどが非常に速いサイクルで循環するという特徴があります。

その代表例が全てあなたの所為です。の作品群です。

この動画はyoutubeで900万再生。すごすぎ。

2号兄貴リスペクトの楽曲をバズらせ、商業展開方面にサブスクなども開始していったことには賛否両論がありました(元凶である彼は注目を嫌っていたし、名前を出されることを嫌っていたので)し、ぼくも基本的には「否」側のスタンスなのですが、とかく、ボカロに隣接するクラスタとして、独自の界隈を形成していきました。これが「すべあな界隈」であり、そしてその中の作品群は「界隈曲」と呼称されます。この層は出自からしてボカロにも音MADにも親しんでいるという特徴があります。

このブームは希釈されながらボカロの本流側にも取り入れられることになります。現代ボカロにおける代表例はなみぐるなどでしょうか。この文脈を引き継ぐPたちにはずんだもんや琴葉姉妹が人気なようです。

こちらの作品にも、『Big Brother☆』という例のアレ系音MADのパロディをしたパートが含まれていますね。(55秒あたりの時計の動きが『Big Brother☆』の冒頭のるりまさんの動きに酷似)

また、『おどロボ』がボカコレルーキーで優勝するなど、完全にボカロの本流の中で一つのパターンとして認められた感がありますね。

その他、『ゴー・トゥ・大都会』でバズった月裏は著名な音MAD作者ですし、『黒塗り世界宛て書簡』のフロクロも音MADやニコニコメドレーで鳴らした投稿者です。このように、「ボカロの音MAD化」と「音MADのボカロ化」が両輪で進んでいるのが、今のニコニコ的ボカロ界隈の状況といえるでしょう。

そして商業方面、ボカロやニコニコに親しみのない層には、「代入」されたVtuberの動画などを通して、DECO*27やピノキオピーなどの作品を中心として若者文化への浸透が進み続けています。

Q.サムネの話は?
A.数年後に振り返ったときに見えてくるものがあると思う。よくわからん。

ただ、ここ一年くらいで伸びてる曲を見ても、バストアップのサムネは多いので、もうしばらく「代入しやすいサムネ」の潮流は続くのかな~という肌感覚はありますね。

DECO*27の『マネキン』シリーズや、また直近ではポケモンとのコラボにより18種類の初音ミクが発生したことなんかも影響して、「あらゆる姿に変化するミクの偶像」みたいな描かれかたは主流に居続けそうです。一時よりは初音ミクの登場率は高い気がする。これはある意味、『千本桜』あたりで話題にした「コスプレもの」の潮流の復権っぽく見えなくもない。(前編参照)

というわけで、サムネイルを一つの軸に、ボカロ文化の趨勢をだらりと総括してみました。三つの記事あわせて2.3万文字くらいあるらしいです。

当初は公式一枚絵で統一されていた画面は、
ファンアートの増加に伴い、オリジナル一枚絵に歌詞を載せる形式へ。
技術は進歩し、映像を動かせるようになるとアニメPVが流行するも、
時を同じくしてボカロらしい音楽が確立。
初音ミクのビジュアルは不要となり、
文字が大きく打ち出されたサムネが増加。
初音ミクを写さなくてよくなったボカロ界隈の風潮は
オリジナルキャラクターによる「プロジェクトもの」の流行を呼び、
大量のミーハー層の増加、そして数年後の「衰退論」を呼ぶ。
ミーハー層が少なくなるとキャッチーなキャラの絵よりも
雰囲気が重視されるようになり、作画コストも低下。
そんな中、ウナを足掛かりにする形でボイロ文化が流入、
リバイバルブームとあいまって再度人口が増加し
キャッチーなキャラクターのアップになったサムネが増加。
Vtuberブームにより、構図をそのままにキャラデザを変えやすい
バストアップの一枚絵がサムネイルになるパターンがブームに。
次の時代は? カミングスーン。

というような流れでした。いろいろ取りこぼしてる気がしないでもないですが、ざっくりした総括としてはこんなものでしょう。

というわけで、「ボーカロイドサムネイル概論」でした。最後にぼくの一番すきなボカロ曲のサムネイルを紹介して終わりとします。

ありがとうございました。