名づける

 いくつかのものごとが自分の中に渦巻いていく。それは複雑に絡み合ってもはやわかちがたくなり、それそのものをどう形容していかがわからなくなる。言葉にするということは、切断することであり、一方的にそういう名前だと押し付けることでもある。ただそうであるまま、ぷかぷか浮いている状態で置いておく。ただ置いておく。おいてあるそのものを扱うにはやはり名前が必要だ。だから、綻んで、消えゆくその名前にそぐわない、柔らかで微細なニュアンスは名前によってバッサリ切断される。

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